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2024.02.16

法人と個人における暗号資産取引の税務

法人であれば、暗号資産取引の結果は法人の収入・損失となるため、

とくに考慮する必要はありません。

しかし、個人の場合、雑所得となるか、事業所得となるかは

大きな違いがあります。

事業所得であれば、赤字の際に他の所得との損益通算が可能です。

暗号資産取引の分類:雑所得と事業所得

基本的には雑所得に分類される暗号資産取引ですが、

その取引が商業活動と考えられるレベルなら事業所得になる可能性があります。

事業と認められる基準は、

暗号資産取引の収入が300万円以上であり、取引の帳簿を保持していることです。

帳簿を作成する場合は、総勘定元帳の作成が税務署対策に推奨されます。

 

事業に付随する取引の場合

また、取引が事業に付随して行われている場合も事業所得に該当する可能性があります。

たとえば、事業用資産として暗号資産を保有し、それを用いて棚卸資産などを購入する場合です。

 

暗号資産の定義

ここまで話してきた暗号資産は、ビットコインやイーサリアムなど、

元々仮想通貨と呼ばれていたものを想定してください。

NFTに関しては、税務署からの別途取り扱い情報が出ているため、異なる場合があります。

 

NFT取引と税金

さてNFTの税務です。

自分で作成したCGにNFTを設定し、それを販売した場合、

税金はどうなるでしょうか?

NFTの場合も、基本的には雑所得になりますが、

事業所得になる可能性も高いです。

もし、サラリーマンが副業として

少量のNFTを扱う場合、雑所得となる可能性が高いですが、

事業の一環としてNFTを発行している場合は

事業所得と見なされる可能性が高くなります。

NFTは、自社の様々なアナログ商品・サービスと

連携が可能であるため、通貨的な扱いの暗号資産とは異なります。

これらのケースの取り扱いは複雑であるため、専門家への確認がおすすめです。

 

NFTの転売と税務

次に購入したNFTを転売した場合はどうでしょう?

法人の場合は、益金・損金に変更はありませんが、

個人の場合は原則として譲渡所得になります。

これは、絵や土地など、資産的価値のあるものを購入し、

利益を得るために売却するケースと同様です。

暗号資産がお金のように扱われるのとは違い、

NFTは資産としての考え方が基本になります。

譲渡所得となると税金計算が複雑になります。

NFTの転売は総合課税の譲渡所得となり、

特別控除額50万円が適用されます。

また、他の所得との損益通算も可能ですが、

生活に通常必要でない資産の場合、赤

字であっても損益通算はできません。

基準は、1つ30万円を超えるかどうかです。

営利目的で継続的に転売を行う場合、

事業所得または雑所得になる可能性があります。

 

産にかかる法律は未確定な部分が多くあります。
本記事は書いたときの法律や通達をもとにしているため、
後日変更になることがあります。
ご注意ください。

2023.08.24

インボイス制度において複数の請求書を活用する場合があります。よくあるケースは次の2つ。
①複数の請求書を合わせて1つのインボイスとする場合
②複数のインボイスをまとめた請求書を作成する場合

①は事務所や工場の賃貸契約の場合です。
事務所や工場の賃貸契約の場合、最初に契約書を締結し、その後は引き落としや都度振込などが行われることが一般的です。
この引き落としや振込の際には大家から店子へ請求書が送られず契約にそった継続取引が行われることが一般的です。
このような場合、更地を借りて利用しているのであれば、そもそもインボイスに関係する取引でないので問題がありませんが、
事務所や工場を借りて利用している場合には、インボイスが必要です。
とはいえ、このような場合にもインボイスを都度、発行してくれるケースは稀でしょう。
そこで、複数の資料をまとめることでインボイス要件を満たす方法が使われます。
先ほどのような場合では、「賃貸契約書+銀行での支払い情報」を活用します。
ただし、この場合、契約書に支払日を除く情報が記載されていないといけません。
少し前までの契約書の場合には、インボイス番号や10%の税額の記載がないことも多いので、この部分の修正が必要です。
そのため契約をやり直すかインボイス要件を満たすために足りてない部分を記載した書類を作り、
複数の書類で総合的にインボイスを満たす方法にします。

②は注意が必要です。
従来、商品・サービスごとの請求書を送る以外に、
振込依頼用に月額でまとめた請求書を出すような場合です。
この場合、サービスごとの請求書をインボイスとして利用するのか、
まとめた請求書をインボイスとして利用するのかを決める必要があります。
なぜならインボイスでは税額の波数処理は請求書ごとに1回しか認められません。
サービスごとのインボイスとまとめたインボイスが結果的に同じであれば、
結論は変わりませんが、端数処理の結果、数円の誤差が出てしまう場合、問題が生じます。
そのため、振込ように月額でまとめたものは振込用連絡書といった具合に表記を変えるか、
月じめ精算にする等、要件を満たすように工夫する必要があります。
内容が細かくてよくわからないという場合には、
同じ商品・サービスに関わる請求書を複数回出さなくて良い(再発行は別)ような仕組みが効果的です。

 

2023.04.20

事前契約により銀行から引き落とされる経費のインボイス

経費の中には事前に契約を行い、あとはすべて銀行で自動引き落としとなるものもあります。例えば、店舗や事務所の家賃などです。こういった契約も原則的な考えでは取引に対してインボイスが必要です。
とはいえ、現状、引き落としをされているだけで、その後に書類のやり取りを行っている場合など、ほとんどありません。また契約内容が変更されなければ、毎月の金額は全く変わりません。このような場合にまで、まめに発行してもらうのは現実的ではありません。じゃあ、年に1回発行してもらおうという考えもあります。もちろん、この方法でもインボイスの要件を満たせば問題はないのですが、現状、不動産を賃貸している人には高齢者も多く、今まで発行していなかったものをあえて出させるというのはかなりハードルが高くなります。
ところで、インボイスには1枚の書類でインボイスの記載事項をすべて満たす必要はなく、複数の書類を組み合わせることでインボイスとしての要件をすべて提示するという方法があります。今回例に挙げた店舗家賃の場合には次の2つの書類の組み合わせでインボイスとして対応することができます。
①取引年月日以外のインボイス要件を満たした書類
②取引年月日の事実のわかる記録
 
①は賃貸契約書です。賃貸契約書を作成するタイミングで、取引の双方の名前や金額等、必要事項が契約書に記載されます。これを活用します。とはいえ、インボイス施工前の賃貸契約書はインボイスとしての要件のうち、インボイス番号は書いてありません。そこで、インボイスが開始される前までに、実際の取引年月日を除く必要な情報(インボイス番号含む)を追加でもらっておきます。こうすることで、実際にお金がいつ移動したのか?という取引年月日以外のインボイス情報を書類として取得できます。
※金額は契約書に記載してある
 
②は銀行通帳です。銀行通帳の引き落とし情報は、実際の取引年月日情報を表します。したがって、実際に取引があった日がわかる情報になります。この取引日を示す情報と契約書をあわせて1つのインボイスと考えることで、単体ではインボイスとしての要件を満たさなくても、インボイスとしての取り扱い可能です。
 
ただしこの方法は1点問題があります。それは契約開始後のいつかのタイミングで、取引先業者がインボイス発行事業者から抜けるケースが考えられます。このような場合、相手がインボイスから抜けているかを把握する方法があります。それは、インボイス登録事業者の公表サイトで対象がインボイス発行事業者かどうかを検討すると良いでしょう。
2023.04.18

簡易インボイスって何?

インボイスには簡易インボイスと呼ばれるものがあります。これは、通常のインボイスを発行するのが難しい商売を行っている場合に限って認められる書く内容が少し減ったインボイスです。減ったと言ってもインボイスなので面倒なことに変わりはありません。
まず対象となる業種は
・小売業
・飲食店業
・写真行
・旅行業
・タクシー業
・駐車場業(※)
・その他これらに準ずる事業(※)
※不特定かつ多数の者に対するもの
です。
ポイントは、※の部分です。ようは、お客さんが固定されない商売です。例えば、飲食店にはいろいろな人がきます。接待に使うこともあれば、個人的に食べに行く場合もあります。つまり、不特定多数の一般のお客さんがたくさん来ます。経費にするつもりの人のほうがむしろ少ないでしょう。このような場合に、レジ打ちする都度、お名前は?とやっているわけにはいきません。そういった不特定多数の方がお客様になる事業の場合、一部、記載が免除されるわけです。
 
さて、インボイスに記載する内容と言えば、
①売り手の名前とインボイス番号
②取引年月日
③譲渡資産・サービスの内容
 ※軽減税率の場合、その旨記載
④税抜価格 or 税込価格を税率ごとに区分した合計額と税率
⑤税率ごとの消費税額
⑥買い手の名前
でした。
簡易インボイスになるとこの中で書かなくてよいのが、まず
 ⑥買い手の名前
です。この理由はシンプルです。相手の名前がわからないからです。会社間取引の場合、相手がわからないなんてことはあり得ません。でも、個人相手の商売ですと、むしろ相手が誰だかわからない方が一般的です。
もう1点、複雑なのがあります。
④が書いてあれば⑤が不要になる。もしくは⑤を書くことによって④の税率を書かなくても良いというものです。ただ、わかりにくいですし、状況によって使い分けるのも大変なので両方書かれた形式のものを出力するのが多くなるのではないでしょうか?
 
特例となる業種にかかわる人はとりあえず相手の名前を書かなくてもよいと覚えておくのがよさそうです。

会員証などがある場合は?

クリーニング店やスポーツジムのように事前に会員登録するような事業があります。こういった事業は事前に買い手の名前がわかるので、簡易なインボイスはダメ・・・とはなりません。このように会員情報を持っているような場合でも、「不特定かつ多数の者」に対して商売を行っていれば簡易なインボイスの対象業者となります。
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