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2023.04.17

代理販売の場合、どうなるの?

商売をするときにインボイスの発行が必要なのは分かった。でも、他社の商品を代わりに販売する場合にはだれのインボイスを発行すればよいのでしょう?というのも様々な取引の中には委託販売という方法があります。メーカーは作ることに専念、販売は営業が得意なお店や小売店に任せるという方法です。この時、販売店や小売店の買取という方法もありますが、売れ残ると処分に困ります。そこで、売れ残りの負担はメーカーが持つからとにかく販売してという場合などに使われます。こうすることで、販売店や小売店は売れ残りを心配する必要がなくなります。アパレルや書店で良く行われている方法です。
次のようにA社とB店を仮定して考えてみましょう。
A社:メーカー、販売をお願いする会社
B店:小売店、委託販売として受けている
 
この場合、モノの流れはA社→B店→お客様と流れます。この時のインボイス発行は次のような方法をとることができます。
A社もB店もインボイス発行事業者になっている必要がありますが、B店の名前でお客様にインボイスが発行できます。しかし、ちょっと考えるとおかしな幹事もします。確かに、お客様がB店から買っていることは事実ですが、A社とB店との間ではものの売り買いをしていません。つまり、本当はお客様はA社から買っています。では、その都度、A社からインボイスを受け取って、それをお客様に渡してはかなり手間です。そこで、B店がB店の名前で、インボイスを出して良い。しかし、お客様に出したインボイスの写しをA社に渡すことにしました。これで、実はA社から販売をお願いされたんだよと形式を作ることができます。これを媒介者交付特例と言います。
 
ちなみに、B店がA社の名前(とインボイス番号)でインボイスを出す(代理交付)こともできます。どちらの取引もOKです。媒介者交付特例と代理交付は実際問題、一長一短のところがあるので取引の実態に合わせてきちんと作りこむことをお勧めします。
2023.04.14

インボイス発行事業者の義務

インボイス出すようになるといくつが義務が増えます。
①インボイスを出す義務
②返還インボイスを出す義務
③修正インボイスを出す義務
④インボイスのコピーを保管する義務
 
①は相手方がインボイスが欲しいと言われたら出さないといけないよという義務です。請求されなければ出さなくてもよいし、消費税のかからない取引の場合もインボイスを出さなくても良いです。保険適用の医療などはその典型ですね。とは言っても経営上、なにも出さないということはないでしょう。また、課税と非課税で番号を出す・出さないをしていると手間なので結果的にインボイスに登録した事業者は全部出すということになるでしょう。
 
めんどくさいと言われていた(今は改善された)のが②です。
返還インボイスというのは返品や値引きがあった場合、返品や値引きをしましたよというインボイスを出さないといけません。しかも、面倒なのは絶対出さないといけないということです。相手から請求されるかどうかは関係ありません。一時期、これが問題になりました。元請け・下請け構造の鳥日における商慣習に、代金を受け取る側が振込手数料を負担する習慣があります。銀行で言えば振込手数料を振込料から引いて振り込むという手続きです。しかし、民法上はどうなっているかと言うと代金を払う側が負担する義務があります。商法・税法は民法を基本として成り立っているので、「税務上はこの分が値引きになる→返還インボイスの乱発→コストUP+手間UP」となりそうでした。結局、かなりもめたので、その後の改正で、税込み1万円未満は必要なくなりました。まぁ、手数料値引きはそのままで良いよと言うことですね。
 
③は①や②のインボイスが間違っていた時に出すものです。④は元の記録は自分のとこでも取っておいてねですね。こうしてみると、結果的には、インボイス開始前と、このあたりの取引は大きく変わらなかったということになりました。

インボイスを発行しなくてよい場合

インボイスを登録するといろいろな義務が増えるけどいつも出していると大変です。そこで例外的に出さなくてもよい場合があります。発行することでかなり手間がかかるからという現実的な問題です。さきほどの1万円未満の値引きもそうですね。
 
インボイス出さなくてもよいよというのは次のケースです。
 
①3万円未満の公共交通機関
バスでお金を払う時に逐一出していたら大変ですね。電車の券売機もレシートを出す構造になっていません。もし義務化するとパニックになるかと。さらに言えば、ICカード(Suica等)を使う場合、どうするのか?という問題も出てきます。
②出荷者が卸売市場で行う生鮮食料品等の販売
市場での大量の取引なので都度出すのが困難という判断かもしれません。というのも市場は生産者と購入者をつないでいる場なので、実際に、その場で生産者と購入者が直接取引をするわけではありません。そういった面から難しいのでということでしょうか?ただ、清算のタイミングで発行するものをインボイスにすれば可能だと思うんですけどね。それがめんどくさいというなら、他の事業者もめんどくさいわけですし。
③生産者が農協・漁協・森林組合に委託して行う販売
いわゆる農協特例です。小規模農家はまずインボイス発行事業者になりません。農協特例を作らないと、買取の場合農協がほとんど消費税を負担することになります。実際、商品の値段が上がるのかな?ただ、これってスーパーとかでも同じ問題が、起きると思うんですけどね。スーパー特例はないです。また農協が委託を受けるという場合だと、②の市場と同じようにどうやって受け渡しをするのか?という問題はありそうです。それでも農協と農業だけ優遇されているように見えてきます。
④3万円未満の自動販売機等で行われる販売
ジュースの自販機をイメージしていただければわかりやすいですね。コインロッカーなどもそうです。今さら日本中の設備をインボイス発行式に変更するのはまず無理でしょう。とんでもない費用負担が出てしまいます。
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便
 ※ポストに出したもの限定
 
一般的な会社だと①、④、⑤が多いですね。特に公共交通機関は都度発行すると考えるとかなり大変です。農業・漁業関係者等であれば②、③が加わります。ここは消費税に大きな問題を残しそうな気がします。
 

ETCはインボイスが必要

こういった事例は取引の状態から見て現状、インボイスを出すことにするとものすごくコストがかかるので例外にされました。自販機すべてに設置とか現実的ではないですからね。しかし、インボイス発行を義務化するうえでかなりコストがかかる事例が残されました。
・有料道路のETC利用
・コインパーキング
です。
コインパーキングは今でもレシートが出てきますが、仕組みがかなり古いものもありそうなので改修がかなり大変なのではないかと思います。
そして最も面倒なのがETCカードの利用料。これは従来はカード明細で処理してしまっていることが大半だと思いますが、インボイスが開始されると許されません。しかし、ETCを通る都度、インボイスを受け取るのだとしたら何のためのETCなのか…。というわけで、現実的には、ETC利用紹介サービスというものを使い、ETCの利用明細を出さなくてはいけません。ではこれ、印刷すればよいですか?と言うと。それもダメです。電子帳簿保存法が絡んでくるからです。ここでは電子帳簿保存法は置いておき、とりあえずETC利用紹介サービスからダウンロードするんだなと覚えておいてください。
2023.04.11

1枚目サンプル

 

2枚目サンプル

 

申請書の書き方補足

インボイスの登録申請書の書き方がこちらです。

ただし、ありとあらゆるパターンまで紹介するのは難しいので

こちらで紹介しているのは一番多そうな

9月30日までに申請をして10月1日から登録を受ける事業者です。

また、前もって消費税課税事業者選択届出書等を出しているケースでは

まず税理士がついていると思うので割愛します。

 

とりあえずインボイスの登録を受けるためには

この申請書を出さないといけません。

おおむねサンプルの図を参考に書いて出していただければ

ちょこっと問題があっても質問が来て対応できるので大丈夫です。

まずは出しておくこと、これが大事です。

また、免税事業者でも、今回は特例として

インボイスの登録をすると消費税の課税事業者になります。

本来は課税事業者選択届出書等が必要です。

 

注意すべき点としては2枚目があるよということぐらいです。

書くこともそれほど多くないです。

 

インボイスの提出はいつまで?

インボイスの登録は令和5年9月30日までに提出すれば

令和5年10月1日から登録を受けられることになっています。

当初は令和5年3月31日までの提出が必要でしたが

登録状況等を加味して延長されました。

一応、建前として出せなかった困難な理由がある場合だけ

9月30日まで伸びることになっていますが、

そのことについては記載がなくてもよいよとなっています。

登録申請は紙でもe-taxでも可能です。

 

また、同時に簡易課税制度の登録を受けることもできます。

提出時期の特例も用意されており、例えば、個人事業主の場合、

令和5年12月31日まで出せば、最初の年から簡易課税を使うことができます。

※元免税事業者の2割縛りについては別記事で。

 

補足として令和5年10月1日から令和11年9月30日までに

登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者となります。

出した日からではないので注意が必要です。

 

※本記事は記載時の税務上の取り扱いに基づいています。

後日、制度の変更等が生じる可能性が高いためご注意ください。

2023.04.08

インボイス制度で必要なもの

消費税の制度はざっくり言えば
 消費税 = 課税売上の消費税 - 課税仕入れの消費税
で計算します。
ではどうやって計算するかと言えば、インボイスを使って帳簿に記録して計算するという流れになります。電卓で一生懸命計算しながら帳簿に記録することもできなくはないですが、現実的ではありません。実際には会計ソフトを使い、「インボイスの情報を入力していくことで、帳簿が作成されながら計算される」というのが一般的になるでしょう。
つまり消費税の計算をしようと思ったら、必然的にインボイスと帳簿が必要(できあがる)になります。
 

インボイス制度が必要になった理由

インボイスが必要になってきた理由は複数税率(8%と10%)が原因の1つです。8%の代表は酒を除く食料品です。では水はどちらになるでしょうか?例えば、
 売り手:食料品(8%)
 買い手:工業用水(10%)
とすると整合性がとれません。これを明らかにするためにインボイスが必要になりました。とは言っても、もともとインボイス制度の導入ありきというのがずっと昔の大平内閣時代からの考えなので、必要な環境を着々と作っていったというのが現実かもしれません。

インボイスに必要な項目

さて、そんなインボイスでは、これが書いてないとインボイスとして認められないというルールがあります。余分に書いてある分には構いませんが、この項目がないものはインボイスとして扱われません。それは次の通りです。
①インボイス発行事業者(売り手)の名前
②インボイス発行事業者のインボイス番号
③売買の年月日(取引日)
④売買、サービスの内容
⑤④が8%対象ならその旨
⑥税率ごとに区分した売買・サービスについて下記いずれかの価格
 ・税抜き価格の合計額と適用税率
 ・税込み価格の合計額と適用税率
⑦税率ごとに区分した消費税額等
⑧書類を受ける事業者(買い手)の名前
 
かなりきっちり書いていないといけないので、手書きの伝票等で行うのは正直厳しいかなぁと思います。手書きの伝票を使いたい場合は、事前になるべく埋めておく工夫が必要ですね。

インボイス発行には登録が必要

インボイスの発行には事前に登録が必要です。
固く言えば税務署長の許可というのですが、要は書類を税務署に送ってねと言うものです。
書類を送ると「適格請求書発行事業者」というのになりインボイス番号がもらえます。
例5年10月1日から使いたい場合には令和5年9月30日までOKとなっていますが
実際にギリギリになってからだと番号が間に合わず取引先に迷惑がかかる可能性が高くなります。
書類をやり取りしたり後から伝えたりとか。
事前の届け出がおすすめです。

※本記事は記載時の税務上の取り扱いに基づいています。

後日、制度の変更等が生じる可能性が高いためご注意ください。

2022.10.11

令和5年10月からインボイスが開始されます。

その手続きの申請期限が令和5年3月にせまっており

今、免税事業者ではインボイスの導入にあたり

税理士に依頼するか?で大きな問題になっていると思います。

 

これを機会に顧客を増やそう!と考えている同業者も多く

同業他社にはかなり文句を言われそうですが、

現在、免税事業者でインボイスの導入が必要という場合なら

税理士を使う必要はないと思います。

自分で計算して申告をして不足分を調査で払うという形で

十分だと思います。

 

ただし、いくつかのポイントは抑えておく必要があります。

① 最も得な方法にこだわらない

② 簡易課税を使う

③ 税務調査でいくらか取られるのはあきらめる

 

 

① 最も得な方法にこだわらない

自分でやる場合、一番得な方法はなにか?ということにこだわると

専門的な知識が足りないため困難です。

むしろ、そのために使う時間で新しい売り上げを増やした方が得です。

どうしても最も得な方法を使いたい場合、

税理士を使うことで、あなたの会社にとって一番得な方法を相談できます。

ただし、結果的にこの場合、費用が高くつくでしょう。

 

 

② 簡易課税を使う

消費税の計算方法には、「本則課税」と「簡易課税」の2つの方法があります。

現在、免税事業者でインボイスを導入する場合、

「簡易課税」を選びましょう。

本則課税と簡易課税の違いは次の通りです。

 

●本則課税

売上の消費税と、支払いの消費税を使い正確な消費税を計算する

 

●簡易課税

売上の消費税のみをもとに業種別の割合を使って概算で計算する

 

簡易課税を選ぶ理由は2つ。

簡単に計算できる&得な可能性が高い。

簡易課税は売上さえわかれば概算で計算できるため

本則課税よりはるかに楽です。

税理士がやる場合、どっちも計算してより得な方を選ぶので

全然、簡易ではないのですが、最初から腹をくくって

簡易にしてしまえば、とても楽です。

さらに多少のミスを許容してしまえばもっと楽です。

 

また商売の内容によって違いますが、現在、免税事業者の場合、

簡易課税の方が特になる場合が多いです。

免税事業者でインボイス導入が必要な商売の場合、

時間をお金に換えるタイプの仕事が大半です。

こういった仕事の場合、おおむね簡易課税の方が計算上得になります。

 

 

③ 税務調査でいくらか取られるのはあきらめる

自分で計算する場合、税務調査は正しく計算してくれる場だとあきらめましょう。

がんばって正しく納税をしようとすれば、税理士を使うよりずっと得だと思います。

 

下記に例をあげてかなりざっくり計算します。

売上800万円サービス業、税理士の月額報酬2万円の場合、決算報酬4か月分の場合

 

この例の場合、税理士の年間報酬は2万円×12か月+8万円=32万円です。

次に自分で簡易課税で消費税を計算するときに

職種を間違えて10%足りなかったとします。

※下記の計算で0.5(第5種)を0.4(第4種)に間違えています

※職種については税務署で確認するのがベスト!

 

誤り:800万円 × 10% × 0.4 = 32万円

正しい:800万円 × 10% × 0.5 = 40万円

不足税額:40万円 – 32万円 = 8万円

 

これが税務調査で発覚した場合、通常であれば3年分の24万円が追徴税額になります。

この時、24万円はもともと払うべき金額で過去の支払いが不足していたものです。

税理士に依頼していた場合、前もって払っている税金なので、

追加で払ったとしても損にはなりません。

ですので、自分でやって損をする分というのは、

追徴税額に罰金的につく加算税や延滞税を追加で支払う分です。

仮に24万円の50%が加算税と延滞税で追加されたとすると、その額は12万円です。

1年あたりにすると4万円になります。

32万円と4万円なのでだいぶ金額に差がでますね

 

実際、職種を税務署に確認しておけば、ここまで大きな間違いになることはないでしょう。

例のように大きな違いでなく細かい違いがたくさん出ることの方が大きく

もっと少ない罰金で済みますので。

つまり、圧倒的に自分でやった方が得です。

 

さて、この①~③の方法を使う場合、重要なことが1つあります。

それは脱税はやめましょう。

特に売上を少なくして税金逃れをすると大きなダメージになります。

現在の税務署は、本人に正しく計算する気があいれば、無理難題は言いません。

頑張ってやった結果、納税額が足りないのなら

そこまで無茶なことを言ってくることはほとんどありません。

※調査官によっては変な人はいるので絶対ではない。

この件について税務署の職員と話したこともありますが、

現実的に資金的な面で税理士に依頼するのは無理だろうという認識も持っていました。

つまり誠実にやり納税をすれば大事にはなりません。

 

税理士を使う場合、もっと売り上げが増えて作業そのものを外注したいとか

経営相談をしたいという場合に活用することをお勧めします。

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