『デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門』
長尾 一洋(著)
KADOKAWA (2022/10/20) 1,650円
【感想】
著者は、株式会社NIコンサルティングを設立し、経営戦略や人事制度のコンサルティングを展開する中で、日報を活用した組織改革と人材育成に着目しました。「日報コンサルティング」を開始し、自己啓発研修をはじめ、管理職向け研修や日報型SFA(営業支援システム)を開発。多くの企業で営業力強化と組織風土改革を支援しています。また、ITを活用した業務改善にも取り組み、CRMや可視化経営システムの導入を推進。多数の著書があり、実務的かつ実践的なアプローチで高い評価を得ています。講演活動も積極的に行い、企業の成長を支える営業管理や情報活用のノウハウを提供している著者が、中小企業のDXについてまとめた一冊です。
深刻化する人材不足と賃金の上昇は、企業経営に大きな影響を及ぼしています。人件費の負担増加は企業の収益性を圧迫し、持続的な成長の妨げとなる可能性があります。こうした環境下では、規模の大小を問わず、すべての企業が省人化経営への転換を迫られています。そのため、中小企業においても、テクノロジーを活用した業務効率化は避けては通れない課題となっています。RPAやAIなどのデジタル技術を導入し、定型業務の自動化や業務プロセスの最適化を進めることで、少ない人員での効率的な運営が可能となります。まずはできるところから始め、着実に取り組みを重ねていくことが重要です。DXを進める過程で、社内人材、IT人材、外部人材の適切な活用方法も明確になってきます。これらを踏まえ、来年度は自動化と外部リソースの活用を重要な経営課題として推進していこうと思います。
【以下、引用】
わからないことを理由に、外部の業者(ベンダー)に丸投げしてはいけません。企業としての知見がストックできず、ベンダー依存から抜け出すこともできなくなってしまいます。何をするにもベンダーに聞かないとわからない。頼めば、その都度費用が掛かってしまうから頼むのをためらう。そんな状況では、DXを進めていくことはできません。
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DXで大事なことはデジタル活用を習慣化し、継続していくことです。ベンダー依存、特に丸投げすればいいという意識からはきっぱりと脱却してください。自分自身で試行錯誤しながら進める、それが一番大事なのです。
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IT企業でもなく、大企業でもなく、わざわざ中小企業を選んで転職してくれる都合のよいデジタル人材はいないと考えるべきです。中小企業には優秀なデジタル人材は来ない、もし来たとしても長く居続けてはくれないという事実をまずは受け入れましょう。
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中小企業のDX人材に必要なのは、会社をより良くするために、当事者意識を持ち戦略を建てられるかどうか。デジタル化推進の先頭に立ち、業務に取り組めるかどうかです。