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ブログBlog

2024.12.01

『デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門』

長尾 一洋(著)

KADOKAWA (2022/10/20) 1,650円

 

【感想】

著者は、株式会社NIコンサルティングを設立し、経営戦略や人事制度のコンサルティングを展開する中で、日報を活用した組織改革と人材育成に着目しました。「日報コンサルティング」を開始し、自己啓発研修をはじめ、管理職向け研修や日報型SFA(営業支援システム)を開発。多くの企業で営業力強化と組織風土改革を支援しています。また、ITを活用した業務改善にも取り組み、CRMや可視化経営システムの導入を推進。多数の著書があり、実務的かつ実践的なアプローチで高い評価を得ています。講演活動も積極的に行い、企業の成長を支える営業管理や情報活用のノウハウを提供している著者が、中小企業のDXについてまとめた一冊です。

深刻化する人材不足と賃金の上昇は、企業経営に大きな影響を及ぼしています。人件費の負担増加は企業の収益性を圧迫し、持続的な成長の妨げとなる可能性があります。こうした環境下では、規模の大小を問わず、すべての企業が省人化経営への転換を迫られています。そのため、中小企業においても、テクノロジーを活用した業務効率化は避けては通れない課題となっています。RPAやAIなどのデジタル技術を導入し、定型業務の自動化や業務プロセスの最適化を進めることで、少ない人員での効率的な運営が可能となります。まずはできるところから始め、着実に取り組みを重ねていくことが重要です。DXを進める過程で、社内人材、IT人材、外部人材の適切な活用方法も明確になってきます。これらを踏まえ、来年度は自動化と外部リソースの活用を重要な経営課題として推進していこうと思います。

 

【以下、引用】

わからないことを理由に、外部の業者(ベンダー)に丸投げしてはいけません。企業としての知見がストックできず、ベンダー依存から抜け出すこともできなくなってしまいます。何をするにもベンダーに聞かないとわからない。頼めば、その都度費用が掛かってしまうから頼むのをためらう。そんな状況では、DXを進めていくことはできません。

DXで大事なことはデジタル活用を習慣化し、継続していくことです。ベンダー依存、特に丸投げすればいいという意識からはきっぱりと脱却してください。自分自身で試行錯誤しながら進める、それが一番大事なのです。

IT企業でもなく、大企業でもなく、わざわざ中小企業を選んで転職してくれる都合のよいデジタル人材はいないと考えるべきです。中小企業には優秀なデジタル人材は来ない、もし来たとしても長く居続けてはくれないという事実をまずは受け入れましょう。

中小企業のDX人材に必要なのは、会社をより良くするために、当事者意識を持ち戦略を建てられるかどうか。デジタル化推進の先頭に立ち、業務に取り組めるかどうかです。

 

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2024.11.01

『メタバース未来戦略』

久保田 瞬 , 石村尚也

日経BP (2022/6/16) 1,550円

 

【感想】

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、環境省入省。2015年にVRやAR、メタバースの専門メディア『Mogura VR』を立ち上げ、株式会社Moguraを創業した久保田瞬さんと、東京大学で経営学・金融政策を専攻し、日本政策投資銀行で、金融商品運用・日米マクロ経済分析・日米ベンチャー企業分析に従事。現在は、日本政策投資銀行でデジタル戦略を、DBJキャピタルでスタートアップ投資を担当する石村尚也さんの共著。

メタバースは大きな注目を集めたものの、現状では期待されたほどの普及を見せていません。主要な事業者やプラットフォーマーが様々な取り組みを展開していますが、一般社会への浸透は限定的です。ただ、現在のメタバースとWeb3の状況は、インターネット黎明期と多くの類似点を感じます。日本でインターネットが一般に普及し始めた2000年頃、そのコンテンツの大半は文字主体のホームページで、オンラインショッピングやチャットサービスがわずかに使われる程度でした。それから約25年を経て、今ではスマートフォンやタブレットを通じて、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境「ユビキタス」が実現しています。現在のメタバースとWeb3は、ちょうどインターネット黎明期にあるように感じます。今後の発展速度を正確に予測することは難しいですが、10年から20年後には、これらの技術が新たな社会基盤として普及している可能性があります。インターネットが現代の重要なビジネスプラットフォームへと成長したように、メタバースとWeb3への早期参入は、将来的な競争優位性を確保する上で重要な意味を持つと考えています。

 

【以下、引用】

企業がメタバースにかかわると言ったときに、多くの企業担当者がまず思い浮かべるのは「メタバースで何かをする」ことだろう。メタバースがどういうものなのか情報を集め、既存のプラットフォームを比較し、何をやるか企画を考え、実施する。

これら一連の流れはメタバースに限らず、DXの実践やAI活用など、あらゆるテーマで散々繰り返されてきたことだろう。では、メタバースは同じやり方で通用するのだろうか。正直、成功率は低い。

・・・・・

歴史的なゲームチェンジが起こると考えたプレーヤーたちは、「仕込み」に入ったのである。Metaのように新たなプラットフォームづくりやメタバースを支える仕組みの開発に動き始めたり、・・・あらたな世界であるメタバースで自社のビジネスをさらに拡大できるときが将来やってくるのではないかと備えに動いている。

・・・・・

この仕込みの時期に企業がメタバースにかかわろうと考えたとき、「メタバースで何かをする」は間違いではないが、メタバースで短期的にビジネスを成功させるのはあまりに難しいだろう。・・・来るべくメタバース時代に向けて、「どんな産業変化が起こり得るのか」、その中で「将来、自社は何をするべきか」と思考実験を繰り返しながら、中長期の視点で腰を据えたチャレンジを始めてほしい。

 

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2024.10.01

『頭に来てもアホとは戦うな! 』

田村耕太郎

朝日新聞出版 (2014/7/8) 1,430円

 

【感想】

ミルケン・インスティテュートシニア・フェロー、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。エール大学シニアフェロー、ハーバード大学フェロー、ペンシルベニア大学ウォートン経営大学院フェローも歴任。元衆議院議員。ご自身の経験をふんだんに取り入れ人生を有意義に過ごすための方法を著した一冊。

「そもそも数十年生きてきた他人の考え方を変えることができるケースは稀です。変わるとすれば、本人に大きな影響力を与える何かがあった時ぐらいです。古今東西、近くから遠くまでアホはたくさんいます。あらゆる手をもってしても戦わないことが不利益になるという事態以外、アホと戦うことは意味がありません。戦ってもアホは変わることはなく、時間と体力と精神力を浪費します。しかも、悪いことに自分はすっきりしないし、アホの中にはそれ以上にくすぶり続けて継続的に無駄な小競り合いが続きかねません。そんなことに頑張るぐらいなら、アホが騒ぎ出したら、そっと距離を置くことが一番有効です。難しいかもしれませんが、可能であれば永久に距離を置けるようにすることです。そして、そのあとイライラせずになるべく早く忘れることです。アホのことは考えるどころか、頭に浮かぶことさえ時間の無駄遣いです。本書の中ではアホをうまく活用して…とありましたが、できることなら最良でしょうが難しいということは覚えておくべきです。さらに、活用できるようなアホばかりではないということも理解しておくべきです。アホは絡みがいがないと実感すれば、別のターゲットに絡みます。」

このようなことを理解するようになってから、だいぶ無駄な時間がなくなりました。そんなきっかけになった本です。

 

【以下、引用】

私がこの本で送りたいメッセージは経営戦略に似ている。「限られた資源を無駄遣いするな」と言うことだ。

時間もエネルギーもタイミングも、たった一度の人生を思い切り謳歌するための、限られた財産である。それを「アホと戦う」というマイナスにしかならない使い方で浪費する多と言いたいのだ。

・・・

孫子の兵法で一番有名な一節として、「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の塀を屈する派善の善なるものなり」というのがある。…「孫子の兵法」が世界中の経営者に今でも愛読されているのは、「限られた資源を無駄遣いするな」というメッセージが経営戦略そのものであるからだ。

・・・

戦うべき相手は人間関係で「くよくよ悩む自分」「腹を立てる自分」だと思ってほしい。そして、神経をすり減らさないための第一のポイントは、自分にもっと関心を持つことだ。

・・・

アホと戦わない生き方こそ、あなたがあなたらしくあることができ、あなたが目指す目標により近づけることになるのだ。大切な人生をより輝くものにするためにも彼らと戦ってはならない。そんな人間はほっておけばいいのだ。無駄に戦えば、あなたの方が人生を大事にしない最低のアホになってしまう。

 

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2024.09.03

 

『具体と抽象』

細谷 功

dZERO(2014/11/27) 1,980円

 

【感想】

東京大学工学部を卒業後、東芝にて原子力技術者として勤務。その後、米仏日系のコンサルティング会社を経て、ビジネスコンサルタントに転身。ビジネスコンサルティングだけではなく、問題解決や思考に関する講演・セミナーを実施している細谷功さんの著書。本書をもとにした子供向けの「13歳から鍛える具体と抽象」も出版され、Amazonでベストセラーとなっています。

本書を読んで、数字というものの取り扱いに得手不得手がある理由にとても納得がいきました。数字というのは3とか100とかはっきりしており、一見具体的に見えます。しかし、実際に数字を取り扱う際には、多くの事象を個々の数字にまとめてしまいます。つまり、個々の事象を数字に抽象化してしまうのです。そのため、抽象度の高い思考をすることが苦手な人は、数字を取り扱うことを苦手としてしまうのではないでしょうか。

日常生活では、それほど不都合はないと思います。もちろん抽象的な視点で考えることができれば有意義ですが、必ずしも必要ではありません。しかし経営者は、抽象的な概念で物事をとらえる必要があります。経営は、現場の具体的な作業だけではなく、抽象度の高い視点から会社の方向性をとらえる必要があるからです。また、その経営状況を確認する最も効果的な道具は財務情報ですが、財務情報は多くの具体的な活動をいくつかの数字に落とし込んでいます。そのため、非常に抽象的な情報しか提供しません。とはいえ経営者が社内のすべての行動を検証する時間はありません。やはり経営者には抽象的概念の理解が必須であると言えるでしょう。

 

【以下、引用】

科学や技術的な発見、あるいはビジネスのアイデアなども多くは抽象レベルでのまねから生まれています。たとえば活版印刷機はブドウ圧縮機から、回転寿司はビールのベルトコンベアから、あるいは生物からヒントを得た工業製品も数多くあります。

身の回りの「一見遠い世界のもの」をいかに抽象レベルで結び付けられるかが、創造的な発想力の根本ともいえます。

・・・・

抽象化して話せる人は、「要するに何なのか?」をまとめて話すことができます。膨大な情報を目にしても、常にそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し、なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考えるからです。

・・・・

抽象度の高い概念は、見える人にしか見えません。抽象化というのは、残念ながら「わかる人にしかわからない」のです。

 

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2024.08.01

『実践生成AIの教科書
実績豊富な活用事例とノウハウで学ぶ』

リックテレコム(2024/3/29) 2,420円

 

【感想】

日立製作所グループの、データサイエンティスト、AI研究者をはじめ、IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産などの各分野のスペシャリストによるCoE(Center of Excellence)組織が総力を結集し、その知見を凝縮。日立製作所におけるGenerative AIの実績、活用事例、ノウハウを惜しみなく公開した書籍です。

本書の特徴として、実践に基づく洞察が多数盛り込まれています。日本を代表する大企業である日立製作所が、Generative AIを実際に活用した結果をもとに、効果的な手法と戦略を詳細に解説しています。内容は体系的にアプローチされており、各適用例について、適切な命令文(プロンプト)とその結果を明示しています。さらに、削減効果と難易度の2軸で整理し、企業がGenerative AIを導入する際の優先順位付けを支援しています。

企業における多様なケーススタディを提供し、どこから、どのように着手すべきかを明確に指南しています。実用的なプロンプト集としても活用でき、実際に使用された命令文を、コンパクトかつ効果的にまとめて収録しています。複雑な作業については、AIとの段階的なやり取りを解説しているため、ステップバイステップで理解できます。

Generative AIを事業に活用しようとする会社にとっては、貴重な指針となると考えます。

 

【以下、引用】

業務での適用箇所
… ここでは、実際にどのように生成A I を用いて業務効率化ができるのかを簡単
にご紹介します。
・公開文書や社内文書の要約
・英語ドキュメントの翻訳
・資料草案の作成
・社内チャットボットとしての活用
・アイデア出し( ブレインストーミングの相手、壁打ち)
・検索エンジンとしての利用
・表計算ソフトの関数の作成
・プログラミング業務の支援
…C
h a t G P T が登場して以降、日立グループ内で数百件のユースケースを検証
し、効果検証まで完了しました。その後も社員によるC h a t G P T の実務利用と
ともにさらに数多くのユースケースが蓄積されています。
ここで企業がまず取り組むべきものは… 実現難易度が低く、期待される削減時
間が大きい、つまりコストパフォーマンスが高いユースケースです。

 

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