mail
相続についてはこちら
   

ブログBlog

2024.09.03

 

『具体と抽象』

細谷 功

dZERO(2014/11/27) 1,980円

 

【感想】

東京大学工学部を卒業後、東芝にて原子力技術者として勤務。その後、米仏日系のコンサルティング会社を経て、ビジネスコンサルタントに転身。ビジネスコンサルティングだけではなく、問題解決や思考に関する講演・セミナーを実施している細谷功さんの著書。本書をもとにした子供向けの「13歳から鍛える具体と抽象」も出版され、Amazonでベストセラーとなっています。

本書を読んで、数字というものの取り扱いに得手不得手がある理由にとても納得がいきました。数字というのは3とか100とかはっきりしており、一見具体的に見えます。しかし、実際に数字を取り扱う際には、多くの事象を個々の数字にまとめてしまいます。つまり、個々の事象を数字に抽象化してしまうのです。そのため、抽象度の高い思考をすることが苦手な人は、数字を取り扱うことを苦手としてしまうのではないでしょうか。

日常生活では、それほど不都合はないと思います。もちろん抽象的な視点で考えることができれば有意義ですが、必ずしも必要ではありません。しかし経営者は、抽象的な概念で物事をとらえる必要があります。経営は、現場の具体的な作業だけではなく、抽象度の高い視点から会社の方向性をとらえる必要があるからです。また、その経営状況を確認する最も効果的な道具は財務情報ですが、財務情報は多くの具体的な活動をいくつかの数字に落とし込んでいます。そのため、非常に抽象的な情報しか提供しません。とはいえ経営者が社内のすべての行動を検証する時間はありません。やはり経営者には抽象的概念の理解が必須であると言えるでしょう。

 

【以下、引用】

科学や技術的な発見、あるいはビジネスのアイデアなども多くは抽象レベルでのまねから生まれています。たとえば活版印刷機はブドウ圧縮機から、回転寿司はビールのベルトコンベアから、あるいは生物からヒントを得た工業製品も数多くあります。

身の回りの「一見遠い世界のもの」をいかに抽象レベルで結び付けられるかが、創造的な発想力の根本ともいえます。

・・・・

抽象化して話せる人は、「要するに何なのか?」をまとめて話すことができます。膨大な情報を目にしても、常にそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し、なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考えるからです。

・・・・

抽象度の高い概念は、見える人にしか見えません。抽象化というのは、残念ながら「わかる人にしかわからない」のです。

 

ダウンロードはこちらから

2024.08.01

『実践生成AIの教科書
実績豊富な活用事例とノウハウで学ぶ』

リックテレコム(2024/3/29) 2,420円

 

【感想】

日立製作所グループの、データサイエンティスト、AI研究者をはじめ、IT、セキュリティ、法務、品質保証、知的財産などの各分野のスペシャリストによるCoE(Center of Excellence)組織が総力を結集し、その知見を凝縮。日立製作所におけるGenerative AIの実績、活用事例、ノウハウを惜しみなく公開した書籍です。

本書の特徴として、実践に基づく洞察が多数盛り込まれています。日本を代表する大企業である日立製作所が、Generative AIを実際に活用した結果をもとに、効果的な手法と戦略を詳細に解説しています。内容は体系的にアプローチされており、各適用例について、適切な命令文(プロンプト)とその結果を明示しています。さらに、削減効果と難易度の2軸で整理し、企業がGenerative AIを導入する際の優先順位付けを支援しています。

企業における多様なケーススタディを提供し、どこから、どのように着手すべきかを明確に指南しています。実用的なプロンプト集としても活用でき、実際に使用された命令文を、コンパクトかつ効果的にまとめて収録しています。複雑な作業については、AIとの段階的なやり取りを解説しているため、ステップバイステップで理解できます。

Generative AIを事業に活用しようとする会社にとっては、貴重な指針となると考えます。

 

【以下、引用】

業務での適用箇所
… ここでは、実際にどのように生成A I を用いて業務効率化ができるのかを簡単
にご紹介します。
・公開文書や社内文書の要約
・英語ドキュメントの翻訳
・資料草案の作成
・社内チャットボットとしての活用
・アイデア出し( ブレインストーミングの相手、壁打ち)
・検索エンジンとしての利用
・表計算ソフトの関数の作成
・プログラミング業務の支援
…C
h a t G P T が登場して以降、日立グループ内で数百件のユースケースを検証
し、効果検証まで完了しました。その後も社員によるC h a t G P T の実務利用と
ともにさらに数多くのユースケースが蓄積されています。
ここで企業がまず取り組むべきものは… 実現難易度が低く、期待される削減時
間が大きい、つまりコストパフォーマンスが高いユースケースです。

 

ダウンロードはこちらから

 

2024.07.01

『AI リスク教本』

日本IBM AI倫理チーム(著)

SBクリエイティブ(2023/12/15) 2,420円

 

【感想】

IBM内のAIガバナンスを司るAI倫理委員会に所属するAI倫理チームがまとめた書籍。メンバーはサービス、製造、製品開発、法務等、様々なバックグラウンドを持つ人材で構成されている。IBMは早くからWatsonを展開する等、社外へのAIサービスの提供経験が豊富なAIを積極的に活用してきた企業です。本書は、サービス提供の経験だけでなく、社内外の様々なプロジェクトから得た知見も総合して執筆されています。

本書を読んで、AIを活用する上でのリスクについて大枠からかなり細部まで学べたと感じました。AIを開発する企業はもちろんのこと、活用するだけの多くの中小企業においても、自社が気づいていないだけで多くのリスクが存在します。例えば、コンサルティングをする際、顧客情報をもとにAIからアイデアを得る場合、そのAIにインプットした情報が再学習に活用されるか否かは非常に重要です。もし再学習に活用される場合、顧客情報がAIに取り込まれてしまいます。AIの性質上、一度取り込まれた情報を消すことは不可能です。どのように活用され、どのように公開されるかも全く予測できません。そのため、ある日突然、別のAI利用者に顧客情報が世界中で開示されてしまう可能性もあります。この場合、機密情報を適切に保護していないこととなり、守秘義務違反という法的問題及び信用失墜という社会的問題にもなりかねません。利用するAIがどのような性質のものか、どのように活用すべきか、利用目的に応じてしっかり考慮しなければいけないと改めて思いました。

 

【以下、引用】

AIリスクは2階建て 法と社会の目が監視

AIリスクは①合法性のレベルのリスクと②社会的受容性のレベルのリスクの大きく2つに分かれます。AIを利用する企業は、行動が法律に違反してしまうリスクに加えて、たとえ法律違反でなくても行動が社会的に受容されないリスクにも配慮しなければなりません。

1階部分にあたる合法性のレベルは、AIの共同が法律やそれに類する規制や公的なガイドラインといった「明文化されたルール」に違反することで生じるリスクです。例えば、AIを使用して外部向けに作成した書類に特定の個人を識別できる情報が含まれており、それを公表した結果、プライバシー侵害を問われる、といったケースがそうです。

2階部分にあたる社会的受容性のレベルは、法律違反でなくても社会的道徳に反してしまい、その結果として信用を失うリスクです。これは主になにかしらの意味で個人や団体などに損害や、強い不快感、誤解と言った精神的な苦痛を与えてしまう場合と、そのような問題の存在や、その疑いが広く世間に拡散される場合が考えられます。

 

ダウンロードはこちらから

2024.06.03

『 AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』

伊藤 穰一(著)

SBクリエイティブ(2023/5/30) 1,760円

 

【感想】

千葉工業大学学長、元MITメディアラボ所長、元ハーバード・ロースクール客員教授。実業家・ベンチャーキャピタリスト・エンジェル投資家としても活躍する伊藤穰一さんの著書。経営者であり学者でもある視点から、今後、AIにより働き方がどのように変わるのかを提唱した本。

本書を読んで、仕事上、ジェネレーティブAIとどのように付き合っていくのかあらためて考えました。ジェネレーティブAIによって多くの業務が効率化されることは間違いありません。その中には、人が行わなくなる作業も出てくるでしょう。しかし、ジェネレーティブAIの性質上、すべての作業で人間に変わることはできません。そのため、今後の活用方法は、

① 基本的なアイデアを人間が出す

② ①をもとにベースとなる情報をAIに収集・アウトプットしてもらう

③ ②を人間が精査・修正を行う

が基本になるでしょう。①をAIに頼ってしまうのは凡庸なアイデアしか出なくなるため問題外です。しかし、②をAIに任せられれば、作業効率を格段に上げることにつながります。③は絶対に欠かせません。また、ジェネレーティブAI以外のAIも同様です。あくまで作業の効率化にはつながるものの、作業結果については人間のチェックが一定程度必要で、また、責任も人間が取る必要があります。自社の業務を踏まえてAIをどのように活用し、AIとどのように付き合っていくのか、考え続ける日々が続くようです。

 

【以下、引用】

仕事はDJ的なものになる

・・・

「どんな言葉を掛け合わせ、どうジェネレーティブAIを扱ったら、筋のいいたたき台が生成されるか」をかんがえるセンスが求められる。その点においても、DJと同様、「掛け合わせ、練り上げること」が人間のクリエイティビティの見せ所と言えるのです。

・・・

自分が間違いに気づけないような、まったく知らない分野でジェネレーティブAIに頼るのは危険です。一派王、ある程度自分が理解している分野のことならば、ジェネレーティブAIは非常に使えるツールになります。

・・・

まずジェネレーティブAIに仕事をさせて、それを自分の目でチェックし、誤りがあったら正す。こうして全体のパフォーマンスを上げていくというのが、新時代に活躍する人の働き方として定着していくでしょう。

・・・

そこに「自分」という人間ならではの「ひねり」を加えることは、人間にしかできません。

 

ダウンロードはこちらから

2024.05.01

 

『NFT・メタバース・DAOで稼ぐ!』

加納 敏彦(著)

かんき出版 (2023/5/10) 1,650円

 

【感想】

元大手金融機関のファイナンシャルプランナー。AI・Web3時代のお金とビジネスの専門家。加納敏彦さんの著書。NFT・メタバース・DAOの実体験をもとに将来のビジネスまで含めてまとめた本。

本書を読んで、将来的にNFT・メタバース・DAOを通じたビジネスの拡大可能性を実感しました。まだまだ日本では利用している人が少ないからこそ、今、Web3業界に参入しておけばさまざまな先行者利益が得られます。それは、NFTを作って売るという収入だけではありません。NFTは将来的に、メタバースの普及による利用者の増加だけではなく、さまざまなアナログ空間と連携して利用されることが想定されています。Web3業界はまだまだ利用環境が整備されていません。そのため、NFTもメタバースもDAOも実践することで、さまざまなつまづきや困りごとなどを実体験できます。その問題の解決方法はもちろんのこと、さらなる提案などは新しいビジネスにつながります。

経営者にとってDAOは、これまでにない形でネットワークが形成される仕組みです。参加・活用・運営とさまざまな視点でかかわることで、新しい付加価値創造のきっかけになりえます。ぜひ、積極的にNFT・メタバース・DAOを活用していただきたいと思います。

 

【以下、引用】

DAOとはいったい何なのでしょうか?

・・・

一番多い翻訳は分散型自立組織です。これは中央集権的に誰かが管理するのではなく、参加者の多数決と自発的な行動で物事を進めていく組織ということです。私のDAOの定義はこうです。

①創設者や管理者に権限が集中していない

②集まったメンバー全員に権限が分散されている

③メンバーがそれぞれ自分で動く、人の集まり

④人を動かすビジョン

⑤明確なルール(どんな貢献をすると、何がどう配分されるのかなど)

⑥ブロックチェーンを活用して、意思決定と実行が自動的にされる

・・・

「DAO」と銘打ったコミュニティを作る所から始めてみましょう。それだけで、感度が高くて行動力のある人が集まりやすくなります。そのメンバー間で、様々なコミュニケーションが生まれ、お互いのビジネスがコミュニティとは関係なく生まれることも多いのです。作るのをためらう人は、どこかのDAOに参加してみましょう。「分散」「メンバー間の対等性」を意識しているところは、フラットで気持ちいいコミュニケーションをしているところが多くあります。

ダウンロードはこちらから

 

NEXT
1 2