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2023.04.18

簡易インボイスって何?

インボイスには簡易インボイスと呼ばれるものがあります。これは、通常のインボイスを発行するのが難しい商売を行っている場合に限って認められる書く内容が少し減ったインボイスです。減ったと言ってもインボイスなので面倒なことに変わりはありません。
まず対象となる業種は
・小売業
・飲食店業
・写真行
・旅行業
・タクシー業
・駐車場業(※)
・その他これらに準ずる事業(※)
※不特定かつ多数の者に対するもの
です。
ポイントは、※の部分です。ようは、お客さんが固定されない商売です。例えば、飲食店にはいろいろな人がきます。接待に使うこともあれば、個人的に食べに行く場合もあります。つまり、不特定多数の一般のお客さんがたくさん来ます。経費にするつもりの人のほうがむしろ少ないでしょう。このような場合に、レジ打ちする都度、お名前は?とやっているわけにはいきません。そういった不特定多数の方がお客様になる事業の場合、一部、記載が免除されるわけです。
 
さて、インボイスに記載する内容と言えば、
①売り手の名前とインボイス番号
②取引年月日
③譲渡資産・サービスの内容
 ※軽減税率の場合、その旨記載
④税抜価格 or 税込価格を税率ごとに区分した合計額と税率
⑤税率ごとの消費税額
⑥買い手の名前
でした。
簡易インボイスになるとこの中で書かなくてよいのが、まず
 ⑥買い手の名前
です。この理由はシンプルです。相手の名前がわからないからです。会社間取引の場合、相手がわからないなんてことはあり得ません。でも、個人相手の商売ですと、むしろ相手が誰だかわからない方が一般的です。
もう1点、複雑なのがあります。
④が書いてあれば⑤が不要になる。もしくは⑤を書くことによって④の税率を書かなくても良いというものです。ただ、わかりにくいですし、状況によって使い分けるのも大変なので両方書かれた形式のものを出力するのが多くなるのではないでしょうか?
 
特例となる業種にかかわる人はとりあえず相手の名前を書かなくてもよいと覚えておくのがよさそうです。

会員証などがある場合は?

クリーニング店やスポーツジムのように事前に会員登録するような事業があります。こういった事業は事前に買い手の名前がわかるので、簡易なインボイスはダメ・・・とはなりません。このように会員情報を持っているような場合でも、「不特定かつ多数の者」に対して商売を行っていれば簡易なインボイスの対象業者となります。
2023.04.17

代理販売の場合、どうなるの?

商売をするときにインボイスの発行が必要なのは分かった。でも、他社の商品を代わりに販売する場合にはだれのインボイスを発行すればよいのでしょう?というのも様々な取引の中には委託販売という方法があります。メーカーは作ることに専念、販売は営業が得意なお店や小売店に任せるという方法です。この時、販売店や小売店の買取という方法もありますが、売れ残ると処分に困ります。そこで、売れ残りの負担はメーカーが持つからとにかく販売してという場合などに使われます。こうすることで、販売店や小売店は売れ残りを心配する必要がなくなります。アパレルや書店で良く行われている方法です。
次のようにA社とB店を仮定して考えてみましょう。
A社:メーカー、販売をお願いする会社
B店:小売店、委託販売として受けている
 
この場合、モノの流れはA社→B店→お客様と流れます。この時のインボイス発行は次のような方法をとることができます。
A社もB店もインボイス発行事業者になっている必要がありますが、B店の名前でお客様にインボイスが発行できます。しかし、ちょっと考えるとおかしな幹事もします。確かに、お客様がB店から買っていることは事実ですが、A社とB店との間ではものの売り買いをしていません。つまり、本当はお客様はA社から買っています。では、その都度、A社からインボイスを受け取って、それをお客様に渡してはかなり手間です。そこで、B店がB店の名前で、インボイスを出して良い。しかし、お客様に出したインボイスの写しをA社に渡すことにしました。これで、実はA社から販売をお願いされたんだよと形式を作ることができます。これを媒介者交付特例と言います。
 
ちなみに、B店がA社の名前(とインボイス番号)でインボイスを出す(代理交付)こともできます。どちらの取引もOKです。媒介者交付特例と代理交付は実際問題、一長一短のところがあるので取引の実態に合わせてきちんと作りこむことをお勧めします。
2023.04.14

インボイス発行事業者の義務

インボイス出すようになるといくつが義務が増えます。
①インボイスを出す義務
②返還インボイスを出す義務
③修正インボイスを出す義務
④インボイスのコピーを保管する義務
 
①は相手方がインボイスが欲しいと言われたら出さないといけないよという義務です。請求されなければ出さなくてもよいし、消費税のかからない取引の場合もインボイスを出さなくても良いです。保険適用の医療などはその典型ですね。とは言っても経営上、なにも出さないということはないでしょう。また、課税と非課税で番号を出す・出さないをしていると手間なので結果的にインボイスに登録した事業者は全部出すということになるでしょう。
 
めんどくさいと言われていた(今は改善された)のが②です。
返還インボイスというのは返品や値引きがあった場合、返品や値引きをしましたよというインボイスを出さないといけません。しかも、面倒なのは絶対出さないといけないということです。相手から請求されるかどうかは関係ありません。一時期、これが問題になりました。元請け・下請け構造の鳥日における商慣習に、代金を受け取る側が振込手数料を負担する習慣があります。銀行で言えば振込手数料を振込料から引いて振り込むという手続きです。しかし、民法上はどうなっているかと言うと代金を払う側が負担する義務があります。商法・税法は民法を基本として成り立っているので、「税務上はこの分が値引きになる→返還インボイスの乱発→コストUP+手間UP」となりそうでした。結局、かなりもめたので、その後の改正で、税込み1万円未満は必要なくなりました。まぁ、手数料値引きはそのままで良いよと言うことですね。
 
③は①や②のインボイスが間違っていた時に出すものです。④は元の記録は自分のとこでも取っておいてねですね。こうしてみると、結果的には、インボイス開始前と、このあたりの取引は大きく変わらなかったということになりました。

インボイスを発行しなくてよい場合

インボイスを登録するといろいろな義務が増えるけどいつも出していると大変です。そこで例外的に出さなくてもよい場合があります。発行することでかなり手間がかかるからという現実的な問題です。さきほどの1万円未満の値引きもそうですね。
 
インボイス出さなくてもよいよというのは次のケースです。
 
①3万円未満の公共交通機関
バスでお金を払う時に逐一出していたら大変ですね。電車の券売機もレシートを出す構造になっていません。もし義務化するとパニックになるかと。さらに言えば、ICカード(Suica等)を使う場合、どうするのか?という問題も出てきます。
②出荷者が卸売市場で行う生鮮食料品等の販売
市場での大量の取引なので都度出すのが困難という判断かもしれません。というのも市場は生産者と購入者をつないでいる場なので、実際に、その場で生産者と購入者が直接取引をするわけではありません。そういった面から難しいのでということでしょうか?ただ、清算のタイミングで発行するものをインボイスにすれば可能だと思うんですけどね。それがめんどくさいというなら、他の事業者もめんどくさいわけですし。
③生産者が農協・漁協・森林組合に委託して行う販売
いわゆる農協特例です。小規模農家はまずインボイス発行事業者になりません。農協特例を作らないと、買取の場合農協がほとんど消費税を負担することになります。実際、商品の値段が上がるのかな?ただ、これってスーパーとかでも同じ問題が、起きると思うんですけどね。スーパー特例はないです。また農協が委託を受けるという場合だと、②の市場と同じようにどうやって受け渡しをするのか?という問題はありそうです。それでも農協と農業だけ優遇されているように見えてきます。
④3万円未満の自動販売機等で行われる販売
ジュースの自販機をイメージしていただければわかりやすいですね。コインロッカーなどもそうです。今さら日本中の設備をインボイス発行式に変更するのはまず無理でしょう。とんでもない費用負担が出てしまいます。
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便
 ※ポストに出したもの限定
 
一般的な会社だと①、④、⑤が多いですね。特に公共交通機関は都度発行すると考えるとかなり大変です。農業・漁業関係者等であれば②、③が加わります。ここは消費税に大きな問題を残しそうな気がします。
 

ETCはインボイスが必要

こういった事例は取引の状態から見て現状、インボイスを出すことにするとものすごくコストがかかるので例外にされました。自販機すべてに設置とか現実的ではないですからね。しかし、インボイス発行を義務化するうえでかなりコストがかかる事例が残されました。
・有料道路のETC利用
・コインパーキング
です。
コインパーキングは今でもレシートが出てきますが、仕組みがかなり古いものもありそうなので改修がかなり大変なのではないかと思います。
そして最も面倒なのがETCカードの利用料。これは従来はカード明細で処理してしまっていることが大半だと思いますが、インボイスが開始されると許されません。しかし、ETCを通る都度、インボイスを受け取るのだとしたら何のためのETCなのか…。というわけで、現実的には、ETC利用紹介サービスというものを使い、ETCの利用明細を出さなくてはいけません。ではこれ、印刷すればよいですか?と言うと。それもダメです。電子帳簿保存法が絡んでくるからです。ここでは電子帳簿保存法は置いておき、とりあえずETC利用紹介サービスからダウンロードするんだなと覚えておいてください。
2023.04.11

1枚目サンプル

 

2枚目サンプル

 

申請書の書き方補足

インボイスの登録申請書の書き方がこちらです。

ただし、ありとあらゆるパターンまで紹介するのは難しいので

こちらで紹介しているのは一番多そうな

9月30日までに申請をして10月1日から登録を受ける事業者です。

また、前もって消費税課税事業者選択届出書等を出しているケースでは

まず税理士がついていると思うので割愛します。

 

とりあえずインボイスの登録を受けるためには

この申請書を出さないといけません。

おおむねサンプルの図を参考に書いて出していただければ

ちょこっと問題があっても質問が来て対応できるので大丈夫です。

まずは出しておくこと、これが大事です。

また、免税事業者でも、今回は特例として

インボイスの登録をすると消費税の課税事業者になります。

本来は課税事業者選択届出書等が必要です。

 

注意すべき点としては2枚目があるよということぐらいです。

書くこともそれほど多くないです。

 

インボイスの提出はいつまで?

インボイスの登録は令和5年9月30日までに提出すれば

令和5年10月1日から登録を受けられることになっています。

当初は令和5年3月31日までの提出が必要でしたが

登録状況等を加味して延長されました。

一応、建前として出せなかった困難な理由がある場合だけ

9月30日まで伸びることになっていますが、

そのことについては記載がなくてもよいよとなっています。

登録申請は紙でもe-taxでも可能です。

 

また、同時に簡易課税制度の登録を受けることもできます。

提出時期の特例も用意されており、例えば、個人事業主の場合、

令和5年12月31日まで出せば、最初の年から簡易課税を使うことができます。

※元免税事業者の2割縛りについては別記事で。

 

補足として令和5年10月1日から令和11年9月30日までに

登録を受ける場合には、登録を受けた日から課税事業者となります。

出した日からではないので注意が必要です。

 

※本記事は記載時の税務上の取り扱いに基づいています。

後日、制度の変更等が生じる可能性が高いためご注意ください。

2023.04.08

インボイス制度で必要なもの

消費税の制度はざっくり言えば
 消費税 = 課税売上の消費税 - 課税仕入れの消費税
で計算します。
ではどうやって計算するかと言えば、インボイスを使って帳簿に記録して計算するという流れになります。電卓で一生懸命計算しながら帳簿に記録することもできなくはないですが、現実的ではありません。実際には会計ソフトを使い、「インボイスの情報を入力していくことで、帳簿が作成されながら計算される」というのが一般的になるでしょう。
つまり消費税の計算をしようと思ったら、必然的にインボイスと帳簿が必要(できあがる)になります。
 

インボイス制度が必要になった理由

インボイスが必要になってきた理由は複数税率(8%と10%)が原因の1つです。8%の代表は酒を除く食料品です。では水はどちらになるでしょうか?例えば、
 売り手:食料品(8%)
 買い手:工業用水(10%)
とすると整合性がとれません。これを明らかにするためにインボイスが必要になりました。とは言っても、もともとインボイス制度の導入ありきというのがずっと昔の大平内閣時代からの考えなので、必要な環境を着々と作っていったというのが現実かもしれません。

インボイスに必要な項目

さて、そんなインボイスでは、これが書いてないとインボイスとして認められないというルールがあります。余分に書いてある分には構いませんが、この項目がないものはインボイスとして扱われません。それは次の通りです。
①インボイス発行事業者(売り手)の名前
②インボイス発行事業者のインボイス番号
③売買の年月日(取引日)
④売買、サービスの内容
⑤④が8%対象ならその旨
⑥税率ごとに区分した売買・サービスについて下記いずれかの価格
 ・税抜き価格の合計額と適用税率
 ・税込み価格の合計額と適用税率
⑦税率ごとに区分した消費税額等
⑧書類を受ける事業者(買い手)の名前
 
かなりきっちり書いていないといけないので、手書きの伝票等で行うのは正直厳しいかなぁと思います。手書きの伝票を使いたい場合は、事前になるべく埋めておく工夫が必要ですね。

インボイス発行には登録が必要

インボイスの発行には事前に登録が必要です。
固く言えば税務署長の許可というのですが、要は書類を税務署に送ってねと言うものです。
書類を送ると「適格請求書発行事業者」というのになりインボイス番号がもらえます。
例5年10月1日から使いたい場合には令和5年9月30日までOKとなっていますが
実際にギリギリになってからだと番号が間に合わず取引先に迷惑がかかる可能性が高くなります。
書類をやり取りしたり後から伝えたりとか。
事前の届け出がおすすめです。

※本記事は記載時の税務上の取り扱いに基づいています。

後日、制度の変更等が生じる可能性が高いためご注意ください。

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