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ブログBlog

2026.04.03

『最速で仕事の進め方が激変する

Google NotebookLM 徹底活用術』

ヨス (著), 松山 将三郎 (著), 染谷 昌利 (著)

日本実業出版社(2026/1/9)  2,200円

 

【感想】

汎用的な生成AIにはハルシネーション(誤情報の生成)がつきものです。この課題をできる限り抑えるために考えられた技術が、RAG(Retrieval-Augmented Generation)です。RAGは、ベースとなるAI(GoogleであればGeminiなど)が文章を生成する際に、あらかじめ指定した情報のみを参照させる仕組みです。

本書は、そのRAGの考え方を実務レベルで活用できるツールとして、特に知名度の高いNotebookLMの使い方を解説した一冊です。HowTo系の書籍であるため、ツールの仕様変更によって内容が陳腐化する懸念はありますが、現時点では内容に問題はなく、巻末には読者限定の特設サイトも用意されており、仕様変更への対応も意識されています。

本書で扱われている内容は、NotebookLMの中でも比較的基礎的な機能が中心です。ただし、こうした基礎機能の組み合わせこそが応用につながるため、NotebookLMをまだ使いこなしていない人にとっては、一度体系的に理解するのに非常に適した内容だといえます。

NotebookLMは汎用的な生成AIとは異なり、参照元を限定することで、比較的信頼性の高いアウトプットを得られる点が特徴です。また、生成された情報の出典も明示されるため、検証可能性という観点でも優れています。従来の生成AIでは難しかった使い方が可能になるツールであり、正しく理解すれば非常に有用性の高い一冊です。

 

【以下、引用】

信頼できる「自分だけの情報」を活かすNotebookLMの特性

NotebookLMは、汎用AIとはまったく異なるアプローチで設計されています。NotebookLMの最大の特徴は、ユーザー自身がアップロードした特定の情報源(ソース)にのみもとづいて動作する点にあります。

・情報源の限定

PDFファイル、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、テキストファイル、ウェブページのURL、音声ファイルなど、ユーザーが提供した情報を「唯一の情報源」として扱います。

・ハルシネーションの大幅な抑制

参照する情報が限定されているため、インターネット上の不確かな情報に影響されることなく、誤った情報を生成するリスクをきわめて低く抑えられます。

・引用元の明確化

AIの回答が、どの情報源のどの部分に基づいているのかを明示的に示してくれるため、情報の信頼性を容易に確認し、さらに深く掘り下げることができます。

・個人専用の知識データベースの構築

自分の業務マニュアル、過去の議事録、研究論文、個人的な読書メモなど、自分だけの情報資産をNotebookLMに取り込むことで、それらすべてを一元的に管理し、AIの力で効率的に検索・分析できる個人専用のデータベースを構築できます。

 

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2026.03.04

『小さな会社の売れるしくみ』

久野高司(著)

フォレスト出版(2024/10/10) 1,980円

 

【感想】

個人事業主や中小企業を中心に約3,000件、200業種の支援実績を持ち、集客力向上、売上拡大、利益率改善、顧客層の最適化などをサポートしてきた著者が、中小企業向けマーケティングの本質をまとめた一冊です。

本書の特徴は、一般的なマーケティング書に見られるようなフレームワークの網羅的な解説をあえて控えている点にあります。フレームワークが登場する場合も、カタカナ用語をそのまま使うのではなく、日本語に置き換え、より平易で実践的な表現に落とし込んでいます。例えば、よく知られるSTPについても、「S(セグメンテーション)=市場を分けること」「T(ターゲティング)=分けた中のどこを狙うかを決めること」「P(ポジショニング)=独自の立ち位置を築くこと」といった具合に、直感的に理解できる形で紹介されています。

著者自身が冒頭で「最新のマーケティング理論や流行の集客手法は学べません」と明言しているとおり、本書は目新しいテクニックを提示するものではありません。いわゆるHowTo型の即効性をうたう内容ではなく、小さな会社が着実に成果を上げるための「売れる仕組み」を、平易な日本語で丁寧に解説しています。

さらに重要なのは、その「仕組み」が著者独自の奇抜な理論ではないという点です。実際には、広く一般的に活用され、効果が実証されてきたマーケティング手法を、中小企業の経営者でも理解・実践できるよう再構成したものです。言い換えれば、大企業や専門家向けに設計された理論体系を、中小企業の社長が自社で活かせる形に翻訳し直した一冊だといえます。

理論を学ぶための本というよりも、現場で使い続けるための実践書です。

 

【以下、引用】

ルール1 戦略設計 選ばれる理由が必要

一番重要な「選ばれる理由」=差別化コンセプトを作る領域のお話です。当たり前ですが、お客様は要るモノは要るし、要らないモノは要りません。要るモノであったとしても、あなたと似たような商品・サービスを売っている競合・ライバルが無数にいます。ですから、明確な「選ばれる理由」がなければSNSや営業や広告を一生懸命頑張っても選ばれる確率が大きく下がります。

ルール2 商品設計 商品体験の流れ

どれだけ素晴らしい選ばれる理由のある差別化コンセプトができたとしても、お客様が選んだり買ったりして価値を体感できる商品・サービス」に落とし込まれていなければ、お客様は買えませんよね。…お客様は、商品・サービスの価値を知りませんし、関心もありません。良く知らないものを、よく知らない人から買って失敗したくないのです。

ルール3 集客設計 購買プロセスの流れ

選ばれる理由のある素晴らしい商品があったとしても、お客様がその商品の存在を知らなければ売れません。だからこそ、お客様のココロの流れに沿って、商品を知ってから、検討・購入し、最終的にファンになっていただくような購買プロセスの流れを組み立てることが必要です。

 

 

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2026.02.03

『名古屋商科大学ビジネススクール

ケースメソッドMBA実況中継 01

経営戦略とマーケティング』

牧田幸裕(著)

ディスカヴァー・トゥエンティワン(2020/3/20) 2,750円 – (現在はKindle版のみ)

 

 

【感想】

著者は経営戦略・マーケティング分野を専門とする研究者・実務家です。京都大学経済学部を卒業後、同大学大学院経済学研究科を修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)も修了しています。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系コンサルティング企業においてディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任し、企業の成長戦略や営業改革に携わりました。2003年に日本IBMへ移籍し、エレクトロニクス業界や消費財業界を中心にクライアント・パートナーとして活躍。複数の大学院で教育・研究に従事。実務と理論を架橋する視点から、戦略思考やマーケティングの重要性を発信し続けています。

本書は、私の母校である名古屋商科大学ビジネススクールが発刊した書籍であり、経営戦略とマーケティングの原理原則を、ケースメソッドという体験型の手法を通じて伝える一冊です。実際の授業では、この本の何倍もの緊張感があり、次に何を問われるかわからない状況の中で、頭から汗が噴き出るような思考を強いられます。正直、かなりしんどいです。一方で本書は、紙面から緊張感は伝わってくるものの、腰を据えて冷静に読むことができ、自分なりに考える余白も残されています。

本書の特徴はケースメソッドによる疑似体験にありますが、それ以上に価値があるのは、経営戦略とマーケティングにおける原理原則を徹底して扱っている点です。経営書の多くが「今すぐ使えるHow to」に傾きがちな中、本書に書かれている内容は、読んですぐに成果が出る類のものではありません。しかし、ここで示される考え方を理解し、日々の経営判断に粘り強く落とし込んでいくことで、時間をかけながらも確実に会社を強くしていく道筋が描かれています。本書の内容を日々の経営に活用してみてはいかがでしょうか?

 

【以下、引用】

3Cとは、市場、競合、自社である。その分析の手順は、「市場、競合、自社の順番で分析する」だ。

・・・・・・・

3C分析の目的は大きく分けると2つある。

ひとつは…「市場の変化に対応している競合企業を見習い、自社の改善ポイントを明らかにする」ことである。もうひとつは、「市場の変化や競合の対応を見たうえでビジネスチャンスを見つけ出し、いち早くそのチャンスをつかみ自社を成長させる」こと。言い換えれば、「自社が突き抜けるにはどうしたら良いのかを考える」ことである。

・・・・・・・

3C分析で明らかにしたいことは以下の通りだ。

1.市場の変化を明らかにし、その市場での成功要因を明らかにする

2.市場の変化と成功要因に対する競合の対応を明らかにし、競合企業の成功のキモを明らかにする

3.競合企業を見習い自社の改善ポイントを明らかにする

 

 

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2026.01.07

『シン読解力:学力と人生を決めるもうひとつの読み方』

新井紀子(著)

東洋経済新報社 (2025/2/11) 1,980円

 

【感想】

新井紀子さんは、日本を代表する数学者であり、AIと教育の関係に警鐘を鳴らし続けてきた研究者です。数理論理学を専門とし、国立情報学研究所教授として最先端の人工知能研究を牽引してきました。一部の人には東大合格を目指すAI「東ロボくん」プロジェクトの責任者として有名かもしれません。その成果は「AIは何ができ、何ができないのか」を社会に明確に示しました。その過程で彼女が突き当たったのは、AIの限界ではなく、人間の読解力低下という現実でした。計算や暗記ではAIに勝てない時代に、人間は何を学ぶべきなのか。本書は、データと実証に基づき、教育と社会の根本を問い直す一冊です。

仕事や学校で「読めばわかる」とよく言われますが、本書が突きつける現実は真逆です。読んでも、わかっていない。しかも、そのことに自分自身が気づいていない。 この事実が、データと具体例によってこれでもかと示されます。著者は、東大合格を目指すAI「東ロボくん」の研究を通じて、AIの限界よりも人間側の読解力の脆さに直面しました。文章を読んでいる“つもり”でも、条件を落とし、文脈を取り違え、意味を勝手に補ってしまう。計算や暗記はできても、問題文の意味そのものは理解できていない――これは子どもだけでなく、大人にも当てはまります。

この読解不全は、教育現場に限りません。マニュアルを読んだのにミスが起きる。契約書を読んだのに認識がズレる。議事録を共有しても話が噛み合わない。こうした「静かな事故」の背景には、文章を正確に読む力が前提として共有されていない現実があります。さらに重要なのは、AIを活用するには、AIの出す答えをきちんと理解する能力が必要だという点です。 出力を読めなければ、AIは便利な道具ではなく、誤解を量産する装置になりかねません。

 

【以下、引用】

生成AIを相棒として生産性を向上させようと思ったら、少なくとも生成AIの出力を読み、それを裏付ける資料や文章を読みこなす能力は必須になります。・・・それらを自力で読み解くことができないと、生成AIを使うことで生産性がかえって下がる懸念さえあります。

・・・・・・・・・

Q 次の文を読みなさい

資金が不足している経済主体と、資金に余裕がある経済主体との間で資金を貸し借りするのが金融である。金融は資金の貸し手と借り手が直接に資金を融通しあう直接金融と、銀行などの金融機関を介して資金の貸し借りを行う間接金融に大別される。

直接金融を利用している主体(人や会社)として当てはまるものを以下の選択肢からすべて選びなさい。

①A銀行に預金している中学生

②祖父母からお年玉をもらったBさん

③C銀行に勤めている人

④D大学から奨学金を借りた人

 

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2025.12.01

『稲盛和夫の実学 新装版 経営と会計』

稲盛和夫(著)

日経ビジネス人文庫(2025/10/3) 990円

 

【感想】

商売人なら知らない人はいない「経営の神様」、稲盛和夫氏の著書です。京セラとKDDIを創業し、一代で世界的企業へと成長させた日本を代表する実業家です。経営の根幹には「利他の心」「動機善なりや」という哲学があり、人間として正しいことを貫く姿勢は多くの経営者に影響を与えてきました。また、経営破綻した日本航空(JAL)の再建を無報酬で引き受け、わずか2年で黒字化させた手腕は世界的にも注目されました。著書『生き方』『アメーバ経営』は今なお読み継がれ、人生観と経営観の両面で指針を示し続けています。本書は、そんな稲盛和夫氏の経営と会計に関する考えがギュッと詰まった一冊です。もし要点を一言で表すなら、まさに帯に書かれている「会計がわからんで、経営ができるか!」に尽きます。本書は貸借対照表や損益計算書の読み方を解説する会計の教科書ではありません。むしろ、稲盛氏が“会社の数字”をどのように捉え、どのように経営に活かしてきたのかという「経営者のための会計思想」が語られています。稲盛氏は、数字は会社の状態を正直に映し出す鏡だと説きます。しかし、その数字は一見具体的に見えて、実は会社の膨大な情報をぎゅっと圧縮した非常に抽象的なものでもあります。社員の動き、現場の空気、取引先との関係、設備の稼働状況……こうした膨大な具体的事実を、私たちは細かいまま全て把握することはできません。だからこそ、会計という道具を使って、抽象化された「数字」という形で全体をつかむ。経営とは、この抽象化された数字を読み解き、未来に向けた判断をしていく営みだと強調します。本書が優れているのは、会計を単なる記録ではなく“経営の武器”として扱っている点です。数字の裏にある現場の実態や経営者の姿勢までを見ることが重要であり、曖昧な数字は必ず経営判断を狂わせる——そんな稲盛哲学が随所に込められています。

 

 

【以下、引用】

われわれを取り巻く世界は、一見複雑に見えるが、本来原理原則にもとづいたシンプルなものが投影されて複雑に映し出されているものでしかない。これは企業経営でも同じである。会計の分野では、複雑そうに見える会社経営の実態を数字によって極めて単純に表現することによって、その本当の姿を映し出そうとしている。

もし、経営を飛行機の操縦に例えるならば、会計データは経営のコックピットにある計器盤に現れる数字に相当する。計器は経営者たる機長に、刻々と変わる機体の高度、速度、姿勢、方向を正確かつ即時に示すことができなくてはならない。そのような計器盤がなければ、今どこを飛んでいるのかわからないわけだから、まとまな操縦などできるはずがない。

だから、会計というものは、経営の結果をあとから追いかけるだけのものであってはならない。いかに正確な決算処理がなされたとしても、遅すぎては何の手も打てなくなる。会計データは現在の経営状態をシンプルにまたリアルタイムで伝えるものでなければ、経営者にとっては何の意味もないのである。

そのためには、経営者自身がまず会計というものをよく理解しなければならない。計器盤に表示される数字の意味するところを手に取るように理解できるようにならなければ、本当の経営者とは言えない。経理が準備する決算書を見て、たとえば伸び悩む収益のうめき声や、やせた自己資本が泣いている声を聞きとれる経営者にならなければならないのである。

 

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