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ブログBlog

2025.07.02

 

『中小企業の財務の強化書』

古田土満(著), 川名徹(著)

日経BP (2024/12/28)  1,980円

 

【感想】

著者は、監査法人勤務を経て1983年に独立。税理士法人古田土会計および株式会社古田土経営を設立し、現在は会長を務める。中小企業の経営支援に特化し、数字を“見せる”ことで経営改善を促す「古田土式月次決算書」や「経営計画書」の活用を推進。36期連続増収、年商20億円超を達成するなど、会計事務所経営の成功モデルとして注目されている。著書も多数あり、実践的な内容が経営者から高く評価されている。2024年には長年の中小企業支援の功績により「旭日単光章」を受章。数字に強い社長を育てることを使命に、今も現場での支援を続けている。そんな著者が中小企業経営者向けに書いた一冊です。

今から10年以上前、私がこの業界に入ったばかりの頃、勝手に「師匠」と仰ぎ、中小企業の経営分析の手法を学んだのが古田土満先生でした。当時から、税理士業をはじめとした士業は、長期的にはAIに代替される可能性が高いと考えており、その中で「どのような価値を新たに創造していくか」が起業時の課題でした。そんな中で出会った古田土先生の手法は、机上の空論ではなく、現場に根ざした非常に実践的なものであり、中小企業にとって本当に役立つ内容でした。私はこのアプローチを取り入れ、さらに中小企業診断士としての視点から経営改善手法である「ビジネスモデルキャンバス」(※先月のブックレビュー参照)と連携させることで、“経営”を見せる、より実効性の高い支援方法へと発展させていきました。中小企業経営者にとって本当に基本になる考え方です。ぜひ読んでいただきたい1冊です。

 

【以下、引用】

初めてお会いした経営者には、必ず「月次決算」をお勧めしています。「経営のかじを取るために、毎月、損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書を出して月次決算をしましょう。

なぜ売上原価と販管費ではなく、変動費と固定費に分けるべきかというと、ほとんどの会社では当月の売上高や利益しか見ていないからです。経営に必要な情報は、売上高の増減や粗利益率の増減により経常利益がいくら増減するか、何%増減するかなのです。

経営のかじ取りをするために、いま事業がどうなっているのかを見るのが月次損益計算書、会社の財務状況はどうなっているかを把握するのが月次貸借対照表、さらに手元にある現預金とその出入りがどうなっているかを知るのが月次キャッシュフロー計算書です。

損益計算書の目的とは利益です。…利益計画の利益と実績を毎月チェックし、一致させることです。当月の実額値だけでなく「計画値との違い」も見て原因を探り、問題があれば対策を打つのです。

貸借対照表は会社の財務体質を表す健康診断書です。常にチェックして体質改善に努めていく、会社の財務状態を健康にしていくことは経営者の大事な仕事です。

 

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2025.07.01

あいさつ

大澤賢悟です。 6月は穂高岳や槍ヶ岳に登ってきました。夏の繁忙期とは違い、人が少なく、静かで快適な山歩きが楽しめました。人と違うことをする。これは、これからの経営にも通じます。市場は激変する時代に入りました。これまで通り、周囲と同じことをしているだけでは成果は出ません。人と違う視点や工夫が、これからの成長には欠かせないと感じています。

 

 

令和7年度の基礎控除の見直しが反映されるのはもう少し先

令和7年度から見直される所得税の基礎控除ですが、今のところ実感はほとんどないと思います。それもそのはず。今回の制度は令和7年12月1日から適用されるため、実際に反映されるのは令和7年分の年末調整や、令和8年以降の源泉徴収税額表からになります。つまり、今年の源泉所得税にはまだ適用されません。昨年は定額減税があったことで、毎月の手取りが増えていた方も多かったのではないでしょうか。その反動で、今年は「税金が増えた」と感じる方も少なくないと思います。定額減税は1人あたり3万円だったため、今年はその分の負担が戻った形になります。なお、今年の控除は選挙対策に急いだ定額減税と違い、年末調整時にまとめて適用される予定です。来年以降は、拡大された基礎控除が毎月の源泉徴収に反映されるようになります。制度が毎年のように変わるため、混乱を感じている方も多そうです。

 

日本の物価の未来

日本では、1990年代のバブル崩壊以降、「デフレ」の状態が長く続いてきました。しかし、世界の多くの国では、政府や中央銀行が「毎年ある程度、物価が上がること」を目指して経済政策を行っています。これは、経済の安定成長にはある程度の物価上昇が必要だという考えにもとづいています。具体的には、アメリカの中央銀行であるFRBも、日本銀行も、「物価は年2%ずつ上がるのが理想的」という目標を掲げています。日本は長年デフレだったため、世界平均より物価の水準が低くなっています。そのため、今後は世界が年2%のペースで物価が上昇すると仮定しても、日本では3〜4%程度で物価が上がる可能性があります。たとえば、物価が年3%ずつ上昇すれば、15年後には現在の1.5倍、年4%なら10年で1.5倍になります。つまり、10〜20年後には、日常生活に必要なモノやサービスの値段が、今よりも1.5倍以上になることが十分に予想されます。

 

見せかけではなく本質を

欧州のESG(環境・社会・企業統治)ファンドで、初めて資金の流出額が流入額を上回る事態が起きました。背景には、米国を中心とする反ESGの政治的動きや、ESG対応にかかる高コストへの懸念、さらに「見せかけの環境対策(グリーンウオッシュ)」への批判の高まりがあります。イメージのためにESG経営を利用した会社が多く、本質につながっていませんでした。たとえ派手さがなくても、誠実に長期視点で取り組む企業こそが、資金と人材を惹きつける時代です。ビジネスも同じです。単なるイメージ戦略ではなく、持続可能な利益構造の創出にあります。数字と行動で信頼を築けるかどうか、それが企業の真価を問う基準です。見せかけのビジネスは長続きしません。本質が大事です。

 

 

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2025.06.13

6/10 ~ 12日で豊南中学より職場体験に来てくれました。

今回は、お客様訪問が多めにできて色々なタイプの会社を見てもらいました。

そのため、調査・レポート系の作業は少なめです。

定番の「仕事を理解するための研修」は、やはり学びがあったよう。

将来、税理士になるかはわかりませんが、役に立つことがあると良いなぁと思います。

また、こういった若い世代になにか伝えられるように、どこかの学校で講師?先生?もやれると良いなと感じました。

2025.06.02

『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』

アレックス オスターワルダー (著), イヴ ピニュール (著)

翔泳社 (2012/2/1) 2,657円

 

【感想】

アレックス・オスターワルダーとイヴ・ピニュールは、ビジネスモデルの設計や戦略的イノベーションの分野において、世界的に著名な研究者・実務家コンビです。世界各地の大学や研究機関でも客員教授として教鞭をとり、多くの研究成果を発表しています。また、戦略系の思想家ランキング「Thinkers50」にもランクインし、同賞の「Strategy Award」を受賞するなど、国際的な評価を受けています。この二人の協働によって生まれたツールや理論は、大きな影響を与えており、今後もその活用範囲は広がり続けると期待されています。そんな二人がビジネスモデルを視覚的にとらえられるようにと考案したのが本書です。

私がコンサルティングに活用するときに最初に使うフレームワークが「ビジネスモデルキャンバス」です。ビジネスモデルキャンバスは、会社経営の全体像を一枚のシートで見える化し、現状を客観的に把握・分析・修正できるという点で非常に画期的なツールです。特に中小企業においては、ヒト・モノ・カネの制約が大きく、限られた経営資源の中でいかに価値を生み出し続けるかが生き残りの鍵となります。その中でも「カネ」、つまり財務・収支などの数字との相性が良いこのフレームワークは、感覚や経験だけに頼った経営から脱却し、数字に基づく戦略的な判断を可能にします。資金繰りを日々意識する中小企業経営者にとっては、まさに必須の道具です。本書では、そのビジネスモデルキャンバスの基本的な使い方に加え、中小企業やスタートアップにも応用できるような視点が豊富に盛り込まれています。うまく活用して儲かる会社を目指しましょう!

 

【以下、引用】

ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの。

ビジネスモデルイノベーションの出発点は、ビジネスモデルについての共通理解です。これがなければ議論ができません。全員が同じスタート地点に立ち、同じ言葉を使う必要があるのです。そのコンセプトは、シンプルかつ直感的に理解できる一方で、あまりに単純化しすぎてもいけません。このコンセプトを共通言語として使えば、ビジネスモデルを簡単に表現し、活用できるだけでなく、新しい戦略立案もできます。逆にこのような共通言語なしには、ビジネスモデルについての仮説を検証することも、イノベーションを起こすこともできないでしょう。

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価値提案とは、顧客の抱えている問題を解決し、ニーズを満たすもので、顧客がなぜその会社を選ぶのかと言う理由になります。価値提案は特定の顧客セグメントが必要とする製品とサービスの組み合わせであり、起業が顧客に提供できるベネフィットの総体と言えます。

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その中小企業の経営者は、瀬戸際になるまでビジネスモデルを変えようとしませんでした。ビジネスモデルイノベーションへの最大の障害は問題がはっきりと見え、修正が必要となるまで、あらゆる変化に抵抗する人々です。

 

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2025.06.02

あいさつ

大澤賢悟です。家族で西尾市で塩田を使った塩づくり体験をしてきました。か
つては生業だった塩づくりも、今では市の伝統文化として細々と受け継がれてい
るだけで実際にビジネスとして続けている人はもういません。今はなんとか伝えて
いますが、今後どうしていくかには不安もあるそうです。ボランティア頼りでは継続
は難しい。とはいえビジネスは一朝一夕にはいかない。難しい問題です。

 

 

 

AIロボの活用、政府が促進の計画

政府がAIを活用したロボットの開発と実用化を推進する新たな基本計画を策定する方針です。深刻な人手不
足に直面する分野で、AIロボットが現場の省力化・効率化を支える主力技術となることが期待されています。たと
えば、介護ロボットは入浴や移動のサポート、農業ロボットは遠隔操作による作業や土壌診断などを担います。
海外ではすでに米国や中国を中心にAIロボットへの投資が急拡大しており、日本もサービスロボット分野での巻
き返しを図っています。今やAIやロボットは中小企業にとっても「生き残りの分かれ道」と言えるでしょう。AIを積極
的に取り入れる企業は、人手不足という構造的な課題をチャンスに変え、事業の拡大や新分野への進出を実
現できます。一方で、変化に消極的な企業は、やがて人材確保や業務効率で劣り、競争力を失いかねません。
「AI×地方創生2.0」とも言われるこの流れに乗るかどうかが、次の10年の勝敗を分けそうです。

 

 

経営判断を誤らないためにー情報リテラシーの基本

中小企業の経営者にとって、情報リテラシーは今や必須の経営スキルです。特に重要なのが、1次・2次・3次情
報の違いを理解し、見極める力。1次情報は政府統計や研究データなど信頼度の高いもの、2次情報はそれを
専門家が解説したもの、そして3次情報はSNSやYouTube、AIの発信など、多くの人の解釈を経た情報です。
私たちが日常的に目にする情報の多くは3次情報であり、とくにAIなどの話題では事実よりも期待や印象が先行
しやすい傾向があります。しかし、3次情報は誤解や偏りが含まれやすく、経営判断を誤らせるリスクが高まります。
経営者は「何を信じるか」ではなく「何を根拠に判断するか」を常に問い直す必要があります。3次情報はアクセス
するのが簡単なため、ついつい使いたくなりますが、正しい保証がありません。うわさや雰囲気ではなく、信頼できる
1次・2次情報にアクセスし、情報の質にこだわることが、変化の激しい時代を生き抜く基本です。

 

忘れた頃にやってくる――今こそ見直すBCPと地震対策

2024年の能登半島地震の記憶が薄れつつある今こそ、私たち中小企業の経営者は危機管理を改めて考える
べき時だと思います。特に愛知県は南海トラフ地震のリスクを抱える地域。被害想定は甚大で、物流停止や従
業員の安否確認、事業継続そのものが問われる事態になり得ます。だからこそ「BCP(事業継続計画)」が不
可欠です。BCPとは災害や事故など非常時でも事業を続けられるよう、事前に策定する行動計画のこと。たとえ
ば、緊急時の連絡手段、代替拠点の確保、在庫やサプライチェーンの見直しなどが含まれます。災害は忘れた
頃にやってくると言いますが、まさに今がそのタイミングです。記憶が薄れた時ほど準備の手を抜きやすく、被害を大
きくします。社員と会社を守るためにも少しずつ防災の準備を進めてください。

 

 

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