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2022.08.11

◆節税を意識しない

税金はできることなら払いたくないという気持ちはとてもよくわかります。税金を払ってもお客さんが集まるわけでもありませんし、経営が改善されることもありません。 しかし、それでも経営者が節税を強く意識することは得策ではありません。

なぜかというと、原則的に、税金を減らすためには利益を減らす必要があるからです。法人の場合、税金は利益の一部(約30%)を国に納めるルールになっています。 つまり、「税金 = 利益×30%」です。そのため、経営者が一生懸命節税を考えるということは利益を減らすことを一生懸命考えることと同じこととなります。

そして、たいていの場合、利益を減らすということは、それだけ経費が増えることであり、経費を増やすためには現金が減ります。 現金が減れば、新しく収益を上げるための原資が減ります。結果的に利益の上がらない負のスパイラルにつながっていきます。

確かに、一部の例外的な施策では利益を減らさず税金が減るものもあります。 しかし、この点でも節税を経営者が目的とすると、例外的な施策のために経営を調整することにつながります。 これでは、利益をあげるための経営戦略のまっとうにつながりません。

また、経営者が経営を考えるべき貴重な時間が、節税という目的のためにどんどん減ってしまいます。どの点から考えても経済効率は良くありません。

 

◆自社の事業構造を知る

利益を下げようという意識をなくせば、あとは利益を上げよう!という意識を強く持つだけです。 そのための戦略策定や、経営判断の根拠として、自社の事業構造を数字の面から知ることがとても大事です。

一口に先生業(サービス業)店と言っても、それぞれのビジネスモデルは大きく異なっています。 この場合にはビジネスモデルの違いによってまったく数字上の事業構造が違ってきます。例えば、次の3社です。

①個人レッスンを行う音楽教室

②大人数を集めて行うセミナー講師

③1つの案件に時間をかけるコンサルタント業

どうでしょうか?すべて先生業(サービス業)店と言われますが、まったく商売が違うと思いませんか? 数字の面から見ても、これらの会社は全く違います。①は多くのスタッフを確保し多くの顧客の確保も必要になります。 スタッフの一人当たり人件費は高額ではありませんが、顧客単価も低く、時間当たりの利益は少なくなります。 また、売上成立から入金までのスパンも短いです。 逆に③は一度の売上がかなり高額になりますが、受注対象は一定規模の企業になるため限られます。 サービスを提供するスタッフの人件費はかなり高くなります。 案件が高額なため受注が難しくなります。

このように同じ市場で商売する会社でも、その特徴がまったく違います。 また、①~③以外にも様々なビジネスモデルがあります。 したがって、小規模・零細企業や個人事業の場合、その事業構造をしっかり把握することがとても重要です。

 

◆自社の改善ポイントを知る

事業構造を把握したら、その事業構造に適した経営戦略の立案や、ビジネスモデルの改善などが必要になってきます。 その時、会計上、行える改善はざっくりいえば次の4つになります。

① 売上を増やす

ここでいう売上を増やすとは、顧客単価を上げることです。

② 粗利益を改善する

ここでいう粗利益を完全するとは、顧客数を増やすことです。

③ 原価を減らす

ここでいう原価を減らすとは、仕入材料や外注等の変動費を下げることです。

④ 固定費を減らす

ここでいう固定費を減らすは販管費等の会社の固定費を下げることです。

数字の点では、この4つが改善ポイントになります。会社の事業構造により、どこに手を打つのが最適かが変わってきます。 自社の事業構造を把握し、どこから改善を着手するかが効果的かを理解し、優先度をつけてビジネスモデルを構築することが効果的です。

 

◆従業員に数字で伝える

先生業(サービス業)では、提供する先生業(サービス業)の内容はもちろん重要ですが、同時にスタッフが提供するサービスが顧客満足度に大きな影響を与えます。 そのため従業員のモチベーションが経営成果に与える影響が大きくなります。

このような現場では従業員のやる気を高めるために、従業員に数字で伝え、数字が理解できる従業員を育成することが、とても重要です。 多くの小規模・零細企業や個人事業では、社長の「頑張れよ!」という声掛けや「ガンバロー!」という朝礼などはあっても 経営指示が具体的な数字に落とし込まれていることは稀です。

残念ながら、従業員は社長のために働いてはくれません。従業員は、自分のために働いています。 従業員が納得いくように数字に落とし込み、満足できるように数字でメリットを伝えることで 自分から動くモチベーションを提供することができます。 「ガンバロー経営」から脱出し「未来会計」を活用した経営が効果的です。

 

2022.08.10

◆先生業(サービス業)は少ない資金で始められる

先生業(サービス業)は、基本的に何らかの情報を提供するサービスですので、他の業種に比べて初期の設備投資が少なくなります。 自宅で開業し、鉄道や公共交通機関を通じて移動する等、突き詰めれば、初期費用はほとんどかからず始めることが可能な業種です。 業種によっては、サービスの提供後に現金を受け取る場合や、前もって代金を受け取っておく場合もあり、 利益が上がっている場合には、資金繰りに困ることもあまりありません。

このような傾向にあるため、一般的に追加の運転資金が必要とならない業種であり、金融機関から運転資金を得ることが難しい業種です。 しかし、高いサービスを提供し続けるためには、知識や技術等の向上に伴う情報収集が欠かせません。 業種によっては、そのために多額の費用が掛かる場合があります。

運転資金の確保のため、あらかじめ自己資金を用意するか、起業前に運転資金の融資を受けるなどが必要となります。

 

◆銀行から信頼を得る

先に述べたとおり、先生業(サービス業)は運転資金を借りることが難しい業種です。 特に開業後に、資金繰りが悪化した場合の借り入れは容易ではありません。 それは、先生業(サービス業)が開業後に必要とする運転資金の借り入れは赤字の補填の場合が多いからです。 赤字の補填の場合には、金融機関に対して、回復までの具体的なビジネスモデルが提供などハードルが高くなります。

サービス業の事業拡大は人員の拡大とセットになることが多く、売上が大きく伸び資金に余裕がある場合でなければ、 新しく雇用する人員への給与等が大きな負担となります。 この場合は運転資金として借り入れを行うのに十分な理由がありますので 運転資金としての融資を受けることが可能です。

金融機関からの融資条件を少しでも良い条件(必要な資金 / なるべく早く / 少しでも低利率)で融資してもらうためには、 金融機関が納得できる交渉が必要です。 金融機関から信用を得るためには、財務諸表の数字、経営者の姿勢、資金の使用状況、返済実績、取引振りなどを通じて高めていきます。 その他に、融資を得ようとする金融機関に売上の入金先をまとめることで、情報を積極的に開示するなども 金融機関との信頼関係を高める方法になります。

金融機関としては、利益が出ていないのに、新規開拓や営業努力が見られない期間が何年も続けば、信頼することができません。 他にも、資金を事業以外へ流用している、約束が守られない、利率だけでころころ借入先が変わる等があると信頼関係は崩れます。

金融機関はお金を貸し、貸した先の業績を好転させ、利息を払ってもらい利益を得る営利企業です。 返してもらえる当てがない、利息が払ってもらえない、そんな会社に資金を融資することはできません。 「あの自動車会社、ただで車くれないんだぜ、ケチだな!」とは言いませんよね。 「あの銀行、返せる確率が低い金、貸してくれないんだ、ケチだな!」と言っていませんか?

◆財務体質を改善し無借金を!

資金繰りを良い会社と、金融機関の信頼を得られる会社というのは基本的に同じです。 そのためにまず行う財務状態の改善は、そのまま良い財務体質を作り上げることと同じです。 どのような財務状態を作りたいのか、明確な目的を定めて戦略的に行うことがとても重要です。

基本的な目安として、預貯金が総資産の30%以上、自己資本比率30%以上という指標があります。 運転資金に使える現金・預金を合わせた合計が、全資産(現金・預金含む)の総額の30%以上というのが「預貯金が総資産の30%以上」になります。 また、純資産の部という資本金やこれまでの利益の合計が、全資産の総額の30%以上というのが「自己資本比率30%以上」になります。

この数字は一応の目安ですが、先生業(サービス業)が設備投資が少ない・借り入れが少ないという特徴を踏まえるとと 30%以上を満たしていたとしても、資金繰りが苦しくなる場合もあります。 その場合には、実額ベースで資金状況を確認し、資金繰り表を作成してみることをお勧めします。

なお、純資産の部がマイナスになる債務超過は資金を考えるうえで、様々な点で問題が生じますので、債務超過となっている場合、まずは純資産の部をプラスにすることが重要です。

先生業(サービス業)の場合には、先に述べた通り、金融機関との取引はあまり密になりません。 正しい経営、正しい財務状況であれば、事業拡大のための融資は問題なく得られるため、基本的に無借金経営を目指してください。

 

2022.08.09

先生業(サービス業)とは

肩書に先生と付いたり何かを教えることになる職業である先生業(サービス業)は、基本的に無形の商品を取り扱います。 そのため、サービス内容や質などがお客様に伝わりにくいという特徴があります。 たとえ、まったく同じサービスの提供であっても、提供する人によりその質が大きく異なることや サービスを蓄積しておくことが困難といった特徴もあります。

一部の業界大手を除き、1人または数人規模の小規模の会社が多い傾向にあります。 多くのサービスでは、人員が増えると提供するサービスの質が維持できないことともに、 同品質のサービスを提供する人材が育成しづらいことや 教育コストがかかることなどが理由にあります。

大きく分けて、サービスの提供が1時間いくらといった時間単価を定めているものと、 このサービスはいくらといったサービスの実施そのものの価格が定められているものに分けられます。 前者は低単価で提供されることが多くなっていますが、後者はサービス次第で低単価から高単価のものまで幅広くなっています。

単価はサービス内容を多くの人が知っているもののほうが比較的、低単価になる傾向があります。 これは、サービスと価格を比較しやすい為です。これに対して、高付加価値のサービスの場合、サービスへの理解があまりないため、広く一般に認知してもらうことが困難です。

 

◆先生業(サービス業)の会計上の特徴とは

先生業(サービス業)は、原価がかからないもしくはかかってもわずかな場合が多く、基本的には「売上=粗利益」となります。 このように原価がかからない半面、サービスの提供は人に頼る必要があるため、一人で実施している場合を除き、人件費が多くなります。

このような特徴から、サービスの単価が上昇しないと売上の増加に比例して人件費が増加していきます。 すでに十分な利益があがる時間単価、サービス単価になっていれば構いませんが、 「単価=人件費+わずかな利益」となっている場合、いかに単価を上げるかが重要な要素になります。

人件費を除く経費の面では、高額な設備等が必要とならない場合が多く、費用を比較的安くすませることができます。 事務所や営業所を構える場合には、家賃等が目立つ費用になります。 そのため、個人のみで実施する場合、初期費用、運転資金等もあまりかからないため、少ない売上でも会社の維持ができます。

経営者の活動時間が、売上、利益に直結しやすい反面、 売上、利益にかかわらない業務を経営者が行ってしまうことが多く、 利益の向上に時間がさけないというスパイラルに陥りやすい業種です。 経営改善の基本として、経営者の時間確保のため、利益につながらない業務を、外部に委託するなどの工夫も重要なテーマになってきます。

まずは、自分が目指す利益を上げるために必要な単価を計算し、目標となる数字を得られるように経営改善することが、とても重要です。

 

◆定期的な確認が重要な3つの理由

経営上の数字は、定期的な確認が必要です。お話を伺うと、「うちはきちんと定期的に確認している」という会社さんでも、小規模・零細企業や個人事業の場合、細かく確認するのは1年に1回、決算のタイミングだけということは珍しくありません。 しかし、1年に1度というスパンでは、現実的にはあまり効果的とは言えません。

① 情報が古い

確認が年に1回では、直近の情報はともかく、それ以外の情報はだいぶ古くなってしまいます。あの時はこうだったけど、今は…。となってしまったら、せっかく振り返っても役に立てることができません。 なるべく新しい情報を活用することが、よりよい経営判断につながります。

② 細かい内容を思い出せない

1年に1度という長いスパンでは、個々の業務の細かい内容を思い出すことができません。例えば、「10か月前に行った業務の良し悪しについて…」とか「このサービスの利益率が…」という問題点などを考えようとしたときに なんだっけ?となってしまいます。現に、今、10か月前とは言わなくても半年前の業務のことを細かく思い出せますか?

③ 効果的な改善ができない

スパンが長くなってくると、各サービスの問題点がわかるのは、ずっと後のことになります。そのため、その間は問題が改善されないため薄利で業務が続いたり、損失を出し続けることになってしまいます。 そのうえ、②のように細かいことが思い出せないと、実際に改善すべき根本的な理由がはっきりとしません。その結果、効果的な経営改善につなげることができず、利益が伸び悩んでしまいます。 せっかくビジネスモデルを新たにしようと思っても、情報の活用もできません。

 

◆月次で振り返りで経営問題確認を

先生業(サービス業)の経営判断を行う上では、毎月1回の振り返りがおすすめです。 各サービスが軌道に乗るには、それなりの時間がかかるため、一歩一歩、目的地に向かっているかの確認が重要です。 このような傾向から、1週間単位では、大きな成果が出てきませんので、週に1回精密なチェックを行うと多くの時間がとられてしまいます。

そのため、日ごと・週ごとの振り返りは、業務の実施内容や進捗状況などの数字確認にとどめ、ざっとした振り返りを行ってください。 月に1回、予算(予想していた数字)と実際の数字との差異を確認し、個々の業務内容や目標管理などの現状の経営問題が浮き彫りになってきますので、そのタイミングで調整を行うと効果的です。

 

2022.08.08

◆自社の強みを知る

継続的に安定した経営を行っていくためには「差別化」が必要です。 そのために必要なことは自社の強みをしっかり把握し、その強みを磨いて勝負をすることです。

大手の宿泊チェーンであれば、様々な種類の宿泊施設の展開を行うことで、すべての年齢・性別を対象に商品展開し 全方位的に顧客を集める営業活動もコマーシャルも行うことができます。

しかし、小規模・零細企業や個人事業者は、人・モノ・金・情報のすべてが足りません。 そのため、同じように万人受けする商品を提供して勝負することはできません。

この分野のこのお客様相手なら、どの宿泊施設よりも高い価値を提供できるという部分をみつけ、そこを磨き、そこで戦っていくことビジネスモデルを作ることが最も効果的です。 立地、飲食、効率性等、様々な要素をもとに最も効果的な差別化を模索します。 差別化をして勝負を始めたら、お客様のニーズを聞きながらどんどん修正します。 そうして、より真似しづらく価値の高い差別化に作り上げていきます。

大手にとっては、非常に狭い市場の顧客に特化することは、総合的にマイナスになることの方が多いため真似をする資本があっても真似はなかなかしてきません。

 

◆差別化要因を長期的に磨く

強みをもとに差別化を行うためには長期的な経営戦略が必要不可欠です。 小規模・零細企業、個人事業の宿泊施設では大々的な広告宣伝による集客は困難です。 運転資金をもとに戦略的にビジネスモデルを磨き続ける必要があります。

例えば、飲食で勝負するのか、コンセプトを追求するのか、雰囲気を作り上げるのかで 方針は大きく変わってきます。 しかし、宿泊業の場合、どのような施策においても人が重要となります。 お客様サービスを行う従業員のやる気を引き出し、人を育てることにつながる 差別化プランを長期的な戦略で実施することが重要です。

また、在籍中のスタッフが納得し満足する店舗運営を行うことで新しいスタッフの雇用につながります。 近年、人員不足で廃業する宿泊施設が増えています。働きたい!と思ってもらえる店舗づくりが 人員の満足、売上の向上につながります。

宿泊業では、宿泊施設の効果的な活用と、旅行代理店等の手数料の削減の両立につながるため、 リピート顧客を確保することがとても重要です。 ただし、現実的には、毎年訪れたいような観光地があると言った場合でなければ、 宿泊施設がよいからということでリピートを得ることは困難です。 一般的な傾向として、色々なところに旅行に行きたくなるためです。

このような事実はあるにしても、やはりリピート顧客を得られるような努力はとても有効です。 ただしリピートとして得る効果を、長期的なスパンで検討することや リピートしたくなるほどのサービスが提供することで、口コミの誘発につなげるなど視点を変えることが重要です。

なお、状況が悪くなったからと言って、急激な変化は大きなリスクを伴います。ビジネスモデルを大きく変えた先には、その分野のプロがいて、簡単には勝てません。 新しいビジネスを小さく始め、じっくり育てる長期的な計画が重要です。

 

◆SNSによる集客の仕組み

宿泊業はサービスを提供する従業員と宿泊するお客様との関係性が高められる事業であり、SNSによる集客の仕組みを構築することがおすすめです。 どのような顧客を対象とするかにより活用するSNSは変わってきます。 また、拡散性の高いSNSを活用するのか、じっくりと広まるSNSを活用するのかは 店舗経営の方針や戦略などで大きく変わります。 例えば、高級店などはSNSを活用することで、ブランドイメージが棄損する可能性もあります。 店舗にあった集客手段であるかは見直すことが重要です。

SNSの活用は店舗のブランドを構築していくイメージです。 資金に余裕があればプロに相談できると効果的ですが、 余裕がない場合は、どのようなブランドイメージを作り上げたいかを考え 一貫した投稿を行うと効果的です。

ファンとなってくれたお客様と積極的にコミュニケーションをとることが 可能になるというメリットもあります。 店舗のフェアやサービスなどを告知することも可能です。 確保したお客様と継続的な関係性が構築できることも SNSのメリットです。

 

2022.08.07

◆節税を意識しない

税金はできることなら払いたくないという気持ちはとてもよくわかります。税金を払ってもお客さんが集まるわけでもありませんし、経営が改善されることもありません。 しかし、それでも経営者が節税を強く意識することは得策ではありません。

なぜかというと、原則的に、税金を減らすためには利益を減らす必要があるからです。法人の場合、税金は利益の一部(約30%)を国に納めるルールになっています。 つまり、「税金 = 利益×30%」です。そのため、経営者が一生懸命節税を考えるということは利益を減らすことを一生懸命考えることと同じこととなります。

そして、たいていの場合、利益を減らすということは、それだけ経費が増えることであり、経費を増やすためには現金が減ります。 現金が減れば、新しく収益を上げるための原資が減ります。結果的に利益の上がらない負のスパイラルにつながっていきます。

確かに、一部の例外的な施策では利益を減らさず税金が減るものもあります。 しかし、この点でも節税を経営者が目的とすると、例外的な施策のために経営を調整することにつながります。 これでは、利益をあげるための経営戦略のまっとうにつながりません。

また、経営者が経営を考えるべき貴重な時間が、節税という目的のためにどんどん減ってしまいます。どの点から考えても経済効率は良くありません。

 

◆自社の事業構造を知る

利益を下げようという意識をなくせば、あとは利益を上げよう!という意識を強く持つだけです。 そのための戦略策定や、経営判断の根拠として、自社の事業構造を数字の面から知ることがとても大事です。

一口に宿泊業と言っても、それぞれのビジネスモデルは大きく異なっています。 この場合、ビジネスモデルの違いによってまったく数字上の事業構造も違ってきます。例えば、次の3社です。

①宴会・観光まで行う大型観光ホテル

②個人経営の旅館

③宿泊専門のビジネスホテル

どうでしょうか?すべて宿泊業と言われますが、まったく商売が違うと思いませんか? 数字の面から見ても、これらの会社は全く違います。①は粗利益率(売上当たりの粗利益の割合)が高く人件費も高い。 逆に③は粗利益率は低いけど、そのための人件費は少ない ②は粗利益に限界があるので、人件費が抑制される商売になります。

このように同じ市場で商売する会社でも、その特徴がまったく違います。 また、①~③以外にも様々なビジネスモデルがあります。 したがって、小規模・零細企業や個人事業の場合、その事業構造をしっかり把握することがとても重要です。

 

◆自社の改善ポイントを知る

事業構造を把握したら、その事業構造に適した経営戦略の立案や、ビジネスモデルの改善などが必要になってきます。 その時、会計上、行える改善はざっくりいえば次の4つになります。

① 売上を増やす

ここでいう売上を増やすとは、顧客単価を上げることです。

② 粗利益を改善する

ここでいう粗利益を完全するとは、顧客数を増やすことです。

③ 原価を減らす

ここでいう原価を減らすとは、仕入材料や外注等の変動費を下げることです。

④ 固定費を減らす

ここでいう固定費を減らすは販管費等の会社の固定費を下げることです。

数字の点では、この4つが改善ポイントになります。会社の事業構造により、どこに手を打つのが最適かが変わってきます。 自社の事業構造を把握し、どこから改善を着手するかが効果的かを理解し、優先度をつけてビジネスモデルを構築することが効果的です。

 

◆従業員に数字で伝える

宿泊業では、提供する食べ物や飲み物の味はもちろん重要ですが、同時にスタッフが提供するサービスが顧客満足度に大きな影響を与えます。 そのため従業員のモチベーションが経営成果に与える影響が大きくなります。

このような現場では従業員のやる気を高めるために、従業員に数字で伝え、数字が理解できる従業員を育成することが、とても重要です。 多くの小規模・零細企業や個人事業では、社長の「頑張れよ!」という声掛けや「ガンバロー!」という朝礼などはあっても 経営指示が具体的な数字に落とし込まれていることは稀です。

残念ながら、従業員は社長のために働いてはくれません。従業員は、自分のために働いています。 従業員が納得いくように数字に落とし込み、満足できるように数字でメリットを伝えることで 自分から動くモチベーションを提供することができます。 「ガンバロー経営」から脱出し「未来会計」を活用した経営が効果的です。

 

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