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2022.08.19

◆節税を意識しない

税金はできることなら払いたくないという気持ちはとてもよくわかります。税金を払ってもお客さんが集まるわけでもありませんし、経営が改善されることもありません。 しかし、それでも経営者が節税を強く意識することは得策ではありません。

なぜかというと、原則的に、税金を減らすためには利益を減らす必要があるからです。法人の場合、税金は利益の一部(約30%)を国に納めるルールになっています。 つまり、「税金 = 利益×30%」です。そのため、経営者が一生懸命節税を考えるということは利益を減らすことを一生懸命考えることと同じこととなります。

そして、たいていの場合、利益を減らすということは、それだけ経費が増えることであり、経費を増やすためには現金が減ります。 現金が減れば、新しく収益を上げるための原資が減ります。結果的に利益の上がらない負のスパイラルにつながっていきます。

確かに、一部の例外的な施策では利益を減らさず税金が減るものもあります。 しかし、この点でも節税を経営者が目的とすると、例外的な施策のために経営を調整することにつながります。 これでは、利益をあげるための経営戦略のまっとうにつながりません。

また、経営者が経営を考えるべき貴重な時間が、節税という目的のためにどんどん減ってしまいます。どの点から考えても経済効率は良くありません。

 

◆自社の事業構造を知る

利益を下げようという意識をなくせば、あとは利益を上げよう!という意識を強く持つだけです。 そのための戦略策定や、経営判断の根拠として、自社の事業構造を数字の面から知ることがとても大事です。

例えば、中古車販売業というビジネスモデルの会社であっても、 この場合でも会社のタイプによってまったく数字上の事業構造が違ってきます。例えば、次の3社です。

①個人への小売りは行わずオークション専業で多くの車を取り扱う

②個人保有の土地に多くの在庫を保有し、すべての関連業務を受ける町の中古車会社

③特殊車両専門の中古車会社。対象者は国内全国。

どうでしょうか?すべて中古車販売をおこなっていますが、まったく業態が違うと思いませんか? 数字の面から見ても、これらの会社は全く違います。①は車両の薄利多売であり粗利はほとんどない。業者への販売の完了で商売が完了する。 逆に③は粗利益率(売上当たりの粗利益の割合)がとても高いが販売数が非常に少ない。販売後の関係性も強い

このように同じ市場で商売する会社でも、その特徴がまったく違います。 また、①~③のどれかに特化している会社のほうが少なく、実際は①~③のすべてを行っている会社のほうが多いと思います。 したがって、小規模・零細企業や個人事業の場合、その事業構造をしっかり把握することがとても重要です。

 

◆自社の改善ポイントを知る

事業構造を把握したら、その事業構造に適した経営戦略の立案や、ビジネスモデルの改善などが必要になってきます。 その時、会計上、行える改善はざっくりいえば次の4つになります。

① 売上を増やす

ここでいう売上を増やすとは、顧客単価を上げることです。

② 粗利益を改善する

ここでいう粗利益を完全するとは、顧客数を増やすことです。

③ 原価を減らす

ここでいう原価を減らすとは、仕入材料や外注等の変動費を下げることです。

④ 固定費を減らす

ここでいう固定費を減らすは販管費等の会社の固定費を下げることです。

数字の点では、この4つが改善ポイントになります。会社の事業構造により、どこに手を打つのが最適かが変わってきます。 自社の事業構造を把握し、どこから改善を着手するかが効果的かを理解し、優先度をつけてビジネスモデルを構築することが効果的です。

 

◆従業員に数字で伝える

中古車販売業は、小売りの面と製造(修理・改良)等の二面性があります。 修理や改良に使う材料は、高価なものもあり、また外注費用も高いため、数字を意識することで無駄をなくすことができます。 また、小売りの面ではお客様とよい関係性を構築することがとても重要です。 特に単価の高い商品なため、従業員のやる気が営業成績に大きく影響します。 このような現場なため、役員の計数能力や従業員のやる気が経営成果に与える影響が大きくなります。

このような現場では従業員のやる気を高めるために、従業員に数字で伝え、数字が理解できる従業員を育成することが、とても重要です。 多くの小規模・零細企業や個人事業では、社長の「頑張れよ!」という声掛けや「ガンバロー!」という朝礼などはあっても 経営指示が具体的な数字に落とし込まれていることは稀です。

残念ながら、従業員は社長のために働いてはくれません。従業員は、自分のために働いています。 従業員が納得いくように数字に落とし込み、満足できるように数字でメリットを伝えることで 自分から動くモチベーションを提供することができます。 「ガンバロー経営」から脱出し「未来会計」を活用した経営が効果的です。

 

2022.08.18

◆中古車販売業は多くの資金が必要

中古車販売業は、他の業種に比べて在庫を保有するために多くの費用が必要となる業種です。 また販売する商品は、整備や修理等が必要であり、そのためには大きな機械が必要なため、設備投資にも資金がかかります。

個人に向けた小売りでは、お客様を集めるために多数の在庫を展示することが多くみられます。 しかし、これらの在庫は時の経過とともに価値が減少することが一般的であり、 継続してユーザーニーズに合わせた仕入が必要となります。 また、ユーザーから車両仕入れの依頼がある場合もあり、機会損失を出さないためにも 定常的に多くの資金を保有しておくことが必要です。

このように常に資金繰りを意識する必要がある業種であるため、金融機関との関係性はとても重要です。

 

◆銀行との信頼関係を高める

このように中古車販売業は多くの資金が必要な業種であることは金融機関も十分に理解していますので、運転資金や設備投資資金などが比較的借りやすい業種になります。 しかし、どのような会社でも、すぐに資金を融資してもらえるわけではありません。

金融機関からなるべく良い条件(必要な資金を、なるべく早く、低利率)で融資してもらうためには、金融機関との信頼関係を高めることが重要です。 「銀行さんは、晴れの日に傘を貸して、雨の日に取り上げる」と言われますが、それは、金融機関との信頼関係がないことが最大の理由です。

金融機関との信頼関係は、財務諸表の数字、経営者の姿勢、資金の使用状況、返済実績、取引振りなどを通じて高めていきます。 全く利益が出ていないのに、新規開拓や営業努力が見られない期間が何年も続けば、金融機関としては信頼することができません。 他にも、資金を事業以外へ流用している、約束が守られない、利率だけでころころ借入先が変わる等があると信頼関係は崩れます。

金融機関はお金を貸し、貸した先の業績を好転させ、利息を払ってもらい利益を得る営利企業です。 返してもらえる当てがない、利息が払ってもらえない、そんな会社に資金を融資することはできません。 「あの自動車会社、ただで車くれないんだぜ、ケチだな!」とは言いませんよね。 「あの銀行、返せる確率が低い金、貸してくれないんだ、ケチだな!」と言っていませんか?

 

◆支払利息は必要経費

中古車販売業は多くの資金が必要であり、自社保有でない車両の注文が入った場合、「つなぎ資金」を入れておきたいと考えることも珍しくありません。 そんな時、今までに取引したことのない会社に、お金を貸して!と言っても、そんな簡単には貸してもらえません。 融資のための審査にかなりの時間がかかります。

しかし、急に大きな仕事が入ったり、急な支払いがあったり、そんなつなぎ資金が必要となったときのため、 常日頃から、金融機関とのお付き合いをしておくことをお勧めします。 運転資金や設備資金などで長期の借り入れがあれば、そのままの状況で金融機関とのお付き合いができています。

しかし、もしすべて返済してしまいそうなら、返済満了に合わせて、お付き合いで少ない金額を長期で借りることをお勧めしています。 返済満了から次の借り入れまでが1~2か月程度なら、あまり問題になりませんが、半年、1年と空いてしまうと、 次の借入時には、もう一度、審査が必要となります。 その場合、融資に時間がかかってしまう場合があります。

300万円の借入を5年返済、年利1%なら、年間利息は3万円未満です。 もちろん財務状態や資金の使用状況など、金融機関が当たり前に必要とする環境づくりは必要ですが、 年3万円(30%の税金なら負担額は2.1万円)で融資が受けやすくなるのなら 必要経費と割り切ってみてはどうでしょう? ちょっとした接待交際費と考えれば、多くはないと思います。

◆財務体質を改善し実質無借金を!

資金繰りを良くするうえで、金融機関の信頼を得ることはとても重要です。 そして、そのためにまず行う財務状態の改善は、そのまま良い財務体質を作り上げることと同じです。 どのような財務状態を作りたいのか、明確な目的を定めて戦略的に行うことがとても重要です。

基本的な目安として、預貯金が総資産の30%以上、自己資本比率30%以上という指標があります。 運転資金に使える現金・預金を合わせた合計が、全資産(現金・預金含む)の総額の30%以上というのが「預貯金が総資産の30%以上」になります。 また、純資産の部という資本金やこれまでの利益の合計が、全資産の総額の30%以上というのが「自己資本比率30%以上」になります。 この数字が絶対というわけではありませんが、一応の目安となります。

なお、純資産の部がマイナスになる債務超過は資金を考えるうえで、様々な点で問題が生じますので、債務超過となっている場合、まずは純資産の部をプラスにすることが重要です。

中古車販売業の場合には、先に述べた通り、金融機関との取引をなくしてしまうと仕入の融資をすぐに得たいときや、景気後退にともない一時的な運転資金の融資を受けたいときなどに困ることがあります。 そのため、全ての借金を返済しきる無借金経営ではなく実質無借金経営を目指すことが望ましくなります。実質無借金経営とは、「現預金の総額 > 借入金の総額」となっている状況です。

 

2022.08.17

◆中古車販売業とは

中古車販売業は一部の大規模なチェーン店から小規模・零細企業まで幅広い事業者があります。 中古車関連の専業事業を行っている事業者もいますが、一般的には、個人からの買取、個人への販売、オークション関係の取引、車検、板金、保険等幅広く、 中古車関連の窓口として総合的に活動する事業者が多くなっています。

しかし、窓口として活動するものの、小規模・零細企業では自社ですべて賄うことが困難なため、 中古車販売をしているが在庫を持たない経営を行ったり、板金はすべて外注に出すなど、環境や技術に応じた細分化がみられます。

商品単価が高いため、取引1件当たりの売買価格が100万円を超えてくることは珍しくなく、車種によっては数百万円~1千万円以上とかなり高額になります。 そのため、景気動向や増税・減税などの政策の影響も受けやすくなっています。 また、海外への輸出が多く、市場での流通を支えているため、海外の景気動向や政策の変更により、市場が活況になったり大きく停滞するなどの影響を受けます。

近年、発売される新車では技術革新が進んでおり、国内市場では、事故の減少に伴う修理業務の減少や、 システム部分のブラックボックス化により、ディーラー以外では対応できない箇所が増える、 世界的な電気自動車へのシフトも予定されている等、先が読めない状況になっています。

 

◆中古車販売業の会計上の特徴とは

中古車販売業は、中古車販売や車検などで税金や保険等、様々な要素が絡んでくるため、基本的に煩雑な会計処理が必要となる特徴があります。 例えば、特定の中古車を探してほしいという注文があった場合、売上と仕入のそれぞれに、車体価格(課税分)、車体価格(非課税分)、税金、保険、リサイクル料等が発生します。 また、オークションを活用する場合、オークション先の手数料や特典等、修理や追加パーツ等があれば、その費用がかかると非常に複雑です。

取引規模は、一般的な小売業と異なり、1件の取り扱い金額が大きいため総額も大きくなるという特徴があります。そのため、開業時や事業の拡大などでは多くの資金が必要となる傾向があります。 特に資金が必要な2大要素があり、在庫の取得に多額の費用が掛かることと、整備工場等の設備取得に費用が掛かることです。

在庫を保有して個人に向けた小売りを行う場合、在庫の保有に数千万円の費用がかかる場合も珍しくありません。例えば、100万円の車を30台仕入れる場合には、3,000万円が必要となります。 また、車検や整備等を行う場合には、認定を受けた工場が必要になります。これらの機械も大型になるため、個々の機械が高額になる傾向があります。

先にあげたとおり、1件の取引に様々な要素が絡んでくるため、個々の利益を正しく確認するためには、 業務中に意図的に情報収集を行い、経理の効率化を行わないと、個々の取引で正確な利益計算を行うことができません。 そのため、各業務の原価計算が正しく行われていない傾向があります。

しかし小売業としては単価が高く取引量が少ないため、個々の取引で確実な利益を積み上げなければ、最終的に会社として利益が出にくい体質になります。 まずは、自社が関係している情報を正確に取得できる体制を構築し、正しい原価計算を行い、利益構造を知ることが重要です。 個々の情報を正しく管理し、経営改善に活用することが、とても重要です。

 

◆定期的な確認が重要な3つの理由

経営上の数字は、定期的な確認が必要です。お話を伺うと、「うちはきちんと定期的に確認している」という会社さんでも、小規模・零細企業や個人事業の場合、細かく確認するのは1年に1回、決算のタイミングだけということは珍しくありません。 しかし、1年に1度というスパンでは、現実的にはあまり効果的とは言えません。

① 情報が古い

確認が年に1回では、直近の情報はともかく、それ以外の情報はだいぶ古くなってしまいます。あの時はこうだったけど、今は…。となってしまったら、せっかく振り返っても役に立てることができません。 なるべく新しい情報を活用することが、よりよい経営判断につながります。

② 細かい内容を思い出せない

1年に1度という長いスパンでは、個々の業務の細かい内容を思い出すことができません。例えば、「10か月前に販売した車の改修について…」とか「この月の利益率が…」という問題点などを考えようとしたときに なんだっけ?となってしまいます。現に、今、10か月前とは言わなくても半年前の業務のことを細かく思い出せますか?

③ 効果的な改善ができない

スパンが長くなってくると、個々の販売等の問題点がわかるのは、ずっと後のことになります。そのため、その間は問題が改善されないため利益が出しづらかったり、損失を出し続けることになってしまいます。 そのうえ、②のように細かいことが思い出せないと、実際に改善すべき根本的な理由がはっきりとしません。その結果、効果的な経営改善につなげることができず、利益が伸び悩んでしまいます。 せっかくビジネスモデルを新たにしようと思っても、情報の活用もできません。

 

◆月次で振り返りで経営問題確認を

中古車販売業の経営判断を行う上では、毎月1回の振り返りがおすすめです。 事業規模が大きい会社であっても、個々の店舗の1週間当たりの取引量では、外部要因での変動も大きく正確な検証が行いにくくなります。 そのため、週に1回精密なチェックを行うと多くの費用対効果としては過剰な時間がとられてしまいます。

そのため、日ごと・週ごとの振り返りは、業務の実施内容や進捗状況などの数字確認にとどめ、ざっとした振り返りを行ってください。 月に1回、予算(予想していた数字)と実際の数字との差異を確認し、個々の業務内容や目標管理などの現状の経営問題が浮き彫りになってきますので、そのタイミングで調整を行うと効果的です。

ただし、キャンペーン等により特別な集客活動等を行う場合は、週に1回等の短期での確認が効果的です。

 

2022.08.16

◆自社の強みを知る

継続的に安定した経営を行っていくためには「差別化」が必要です。 そのために必要なことは自社の強みをしっかり把握し、その強みを磨いて勝負をすることです。

大手の飲食チェーンであれば、様々な種類の店舗展開を行うことで、すべての年齢・性別を対象に商品展開し 全方位的に顧客を集める営業活動もコマーシャルも行うことができます。

しかし、小規模・零細企業や個人事業者は、人・モノ・金・情報のすべてが足りません。 そのため、同じように万人受けする商品を提供して勝負することはできません。

この分野のこのお客様相手なら、どの飲食店よりも強いという部分をみつけ、そこを磨き、そこで戦っていくことビジネスモデルを作ることが最も効果的です。 これこそが最も効果的な差別化です。差別化をして勝負を始めたら、お客様のニーズを聞きながらどんどん修正します。 そうして、より真似しづらく価値の高い差別化に作り上げていきます。

大手のチェーン店にとっては、非常に狭い市場の顧客に特化することは、総合的にマイナスになることの方が多いため真似をする資本があっても真似はなかなかしてきません。

 

◆差別化要因を長期的に磨く

強みをもとに差別化を行うためには長期的な経営戦略が必要不可欠です。 飲食店は、広告宣伝を行うことで短期間であれば顧客を集めることが可能です。 しかし、この集客を通じて根強いファンが確保できなければ、多額の広告宣伝費が影響し ほとんど利益を出すことができません。

このように小規模・零細企業、個人事業の飲食店では大々的な広告宣伝による集客は困難です。 運転資金をもとに戦略的にビジネスモデルを磨き続ける必要があります。

例えば、多店舗にない味を追求するのか、コンセプトを追求するのか、お店の雰囲気を作り上げるのかで 方針は大きく変わってきます。 また、競合店が多い地域に出店するのか、飲食店の少ない地域に出店するのかでも 集客の方針は大きく変わります。前者であれば、多くのお客様が目の前を流れていくので いかに同地域の競合店に勝つかという戦術になりますし、後者であれば、 いかに認知してもらい来店してもらうのかという戦術になります。 これらはすべて戦略とビジネスモデルをどうするのか?という経営判断になります。

状況が悪くなったからと言って、急激な変化は大きなリスクを伴います。ビジネスモデルを大きく変えた先には、その分野のプロがいて、簡単には勝てません。 新しいビジネスを小さく始め、じっくり育てる長期的な計画が重要です。

 

◆SNSによる集客の仕組み

顧客単価が高くない大衆店の場合、SNSによる集客の仕組みを構築することがおすすめです。 どのような顧客を対象とするかにより活用するSNSは変わってきます。 また、拡散性の高いSNSを活用するのか、じっくりと広まるSNSを活用するのかは 店舗経営の方針や戦略などで大きく変わります。 例えば、高級店などはSNSを活用することで、ブランドイメージが棄損する可能性もあります。 店舗にあった集客手段であるかは見直すことが重要です。

SNSの活用は店舗のブランドを構築していくイメージです。 資金に余裕があればプロに相談できると効果的ですが、 余裕がない場合は、どのようなブランドイメージを作り上げたいかを考え 一貫した投稿を行うと効果的です。

ファンとなってくれたお客様と積極的にコミュニケーションをとることが 可能になるというメリットもあります。 店舗のフェアやサービスなどを告知することも可能です。 確保したお客様と密接な関係性が構築できることも SNSのメリットです。

 

◆人で差別化する

飲食業は提供する食べ物や飲み物の味はもちろん重要ですが、そこで働くスタッフのモチベーションに大きく左右される業種です。 収益UPノウハウでお伝えしたようにスタッフの納得性の高い店舗運営を行うことが重要です。 また、在籍中のスタッフが納得し満足する店舗運営を行うことで新しいスタッフの雇用につながります。 近年、人員不足で廃業する飲食店が増えています。働きたい!と思ってもらえる店舗づくりが 人員の満足、売上の向上につながります。

 

2022.08.15

◆節税を意識しない

税金はできることなら払いたくないという気持ちはとてもよくわかります。税金を払ってもお客さんが集まるわけでもありませんし、経営が改善されることもありません。 しかし、それでも経営者が節税を強く意識することは得策ではありません。

なぜかというと、原則的に、税金を減らすためには利益を減らす必要があるからです。法人の場合、税金は利益の一部(約30%)を国に納めるルールになっています。 つまり、「税金 = 利益×30%」です。そのため、経営者が一生懸命節税を考えるということは利益を減らすことを一生懸命考えることと同じこととなります。

そして、たいていの場合、利益を減らすということは、それだけ経費が増えることであり、経費を増やすためには現金が減ります。 現金が減れば、新しく収益を上げるための原資が減ります。結果的に利益の上がらない負のスパイラルにつながっていきます。

確かに、一部の例外的な施策では利益を減らさず税金が減るものもあります。 しかし、この点でも節税を経営者が目的とすると、例外的な施策のために経営を調整することにつながります。 これでは、利益をあげるための経営戦略のまっとうにつながりません。

また、経営者が経営を考えるべき貴重な時間が、節税という目的のためにどんどん減ってしまいます。どの点から考えても経済効率は良くありません。

 

◆自社の事業構造を知る

利益を下げようという意識をなくせば、あとは利益を上げよう!という意識を強く持つだけです。 そのための戦略策定や、経営判断の根拠として、自社の事業構造を数字の面から知ることがとても大事です。

一口に飲食店と言っても、それぞれのビジネスモデルは大きく異なっています。 この場合にはビジネスモデルの違いによってまったく数字上の事業構造が違ってきます。例えば、次の3社です。

①個人経営の天ぷら専門店

②ビュッフェ形式の洋風レストラン

③多店舗展開の居酒屋

どうでしょうか?すべて飲食店と言われますが、まったく商売が違うと思いませんか? 数字の面から見ても、これらの会社は全く違います。①は粗利益率(売上当たりの粗利益の割合)が高く人件費も低い、しかし客数は少ない。 逆に③は粗利益率は低いけど客数が多く、そのための人件費が多い

このように同じ市場で商売する会社でも、その特徴がまったく違います。 また、①~③以外にも様々なビジネスモデルがあります。 したがって、小規模・零細企業や個人事業の場合、その事業構造をしっかり把握することがとても重要です。

 

◆自社の改善ポイントを知る

事業構造を把握したら、その事業構造に適した経営戦略の立案や、ビジネスモデルの改善などが必要になってきます。 その時、会計上、行える改善はざっくりいえば次の4つになります。

① 売上を増やす

ここでいう売上を増やすとは、顧客単価を上げることです。

② 粗利益を改善する

ここでいう粗利益を完全するとは、顧客数を増やすことです。

③ 原価を減らす

ここでいう原価を減らすとは、仕入材料や外注等の変動費を下げることです。

④ 固定費を減らす

ここでいう固定費を減らすは販管費等の会社の固定費を下げることです。

数字の点では、この4つが改善ポイントになります。会社の事業構造により、どこに手を打つのが最適かが変わってきます。 自社の事業構造を把握し、どこから改善を着手するかが効果的かを理解し、優先度をつけてビジネスモデルを構築することが効果的です。

 

◆従業員に数字で伝える

飲食業では、提供する飲食物の味はもちろん重要ですが、同時にスタッフが提供するサービスが顧客満足度に大きな影響を与えます。 そのため従業員のモチベーションが経営成果に与える影響が大きくなります。

このような現場では従業員のやる気を高めるために、従業員に数字で伝え、数字が理解できる従業員を育成することが、とても重要です。 多くの小規模・零細企業や個人事業では、社長の「頑張れよ!」という声掛けや「ガンバロー!」という朝礼などはあっても 経営指示が具体的な数字に落とし込まれていることは稀です。

残念ながら、従業員は社長のために働いてはくれません。従業員は、自分のために働いています。 従業員が納得いくように数字に落とし込み、満足できるように数字でメリットを伝えることで 自分から動くモチベーションを提供することができます。 「ガンバロー経営」から脱出し「未来会計」を活用した経営が効果的です。

 

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