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2025.10.30

8-1 採用特設ページの必要性を理解する

「求人はとりあえず大手媒体に掲載しておけば、誰かしら応募してくれるだろう」──。かつてはこの考え方でも一定の応募が見込める時代がありました。しかし、現在はどうでしょうか?多くの企業が一斉に似たような求人票を並べ、掲載費用をかけて埋もれていく構図が常態化しています。情報過多の中で、求職者は「どの会社も同じように見える」と感じてしまい、差別化どころか、印象にすら残らないままスルーされてしまうのが実情です。さらに、求人媒体に頼り切ると、自社での運用が効かず、内容の更新や表現の自由度も限られてしまいます。「もっとこう伝えたい」と思っても、媒体のフォーマットに縛られてしまい、せっかくの企業の魅力が十分に届かないということも少なくありません。

こうした課題を補う手段として、今、多くの中小企業が取り組み始めているのが「自社の採用専用ページ(求人LP)の整備」です。特設ページを自社サイト内に設けることで、媒体では表現できない個性や温度感、リアリティを伝えることができます。では、通常の会社ホームページにある「会社情報」ページではダメなのでしょうか?結論から言えば、それだけでは“採用には弱い”のです。というのも、「会社情報」ページはあくまで対外的な信頼性や沿革・資本金・事業内容などを伝える場。そこには“働く人の目線”がありません。社長あいさつ、経営理念、数字が並んだ事業紹介……それはそれで大切ですが、「この職場で自分が働く姿が想像できるか?」という問いに対する答えにはならないのです。採用専用ページの価値は、単に情報を詰め込むことではありません。むしろ、「どんな人と一緒に働くのか」「自分のライフスタイルに合っているか」「この会社は信頼できそうか」という、“感情の引っかかり”を与えるための装置です。だからこそ、掲載する内容にはリアルな写真や社員の声が必要不可欠であり、その情報は企業のブランディング資産としても活きてきます。

採用専用ページを整備すると求職者が事前に会社の雰囲気を理解し、納得して応募してくれるからこそ、ミスマッチも減ります。さらに、採用専用ページの強みは「導線」と「ブランディング」の両立にあります。たとえばSNS投稿にURLを貼る、QRコードをチラシに載せる、エージェントに紹介するなど、自社の採用ページはさまざまな場面で活用できます。そして、クリックして訪れた先に「温度感のあるページ」があれば、ただの求人情報よりも深い印象を残すことができるのです。作るための材料は、これまでの章で整理してきた「求人票の文章」「社員インタビュー」「職場写真」で十分です。生成AIを活用すれば、ほとんど手間がかかりません。

「採用はマーケティングと同じ」という言葉が最近よく使われますが、自社に合う人材を引き寄せるためには、“見せ方”と“導線”がますます重要になっています。これからの章では、AIを活用してその採用ページを効率的に、しかも印象的に作り上げる方法を紹介していきます。企業の顔とも言える採用LPづくりに、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

8-2 求人LPの基本構成――何を載せればよいのか

採用ページ(求人LP)は単なる情報の羅列ではなく、「この会社に応募してみたい」と思わせるための“ストーリー設計”が重要です。つまり、求職者がページを読み進める中で、自然と共感し、納得し、最終的に応募ボタンへと進む流れを意識する必要があります。そのためには、これまでの章で準備してきた素材を“どの順番で・どのように配置するか”が鍵になります。

ページの冒頭で求職者の目に飛び込んでくるのが写真です。ここに「職場の雰囲気」や「働いている人の表情」が映っていれば、まず最初の関心を引くことができます。たとえば、作業風景や笑顔で談笑しているシーン、真剣な打ち合わせ風景などがあると、単なる職場紹介ではなく“自分が働く未来のイメージ”を持たせることができます。また、画像はなるべく縦長でスマホ表示に最適化されたサイズ感が理想的です。見た目の整った構図よりも、自然なスナップ写真が効果的であることは、第6章で詳しく述べた通りです。

求人LPは「何を載せるか」だけでなく、「どんな順番で載せるか」が極めて重要です。なぜなら、読み手である求職者の関心は段階的に変化していくからです。以下の順番で配置することで、自然な流れで応募意欲を高めることができます。

1.    仕事内容(まず知りたいのは“自分にできる仕事か”)
初めに紹介するのは、その職種で「実際に何をするのか」という具体的な内容です。「事務スタッフ」と書かれていても、電話応対がメインなのか、データ入力が中心なのかによって、想像する1日が大きく変わります。仕事内容を詳細に書くことで、ミスマッチを防ぎます。

2.    職場の雰囲気・働く環境(どんな場所で、どんな人と働くか)
次に伝えるべきは「空気感」です。どんなメンバーがいて、どんなスタイルで働いているか。働き方(服装自由/残業なし/チーム制)などを伝えることで、求職者は“自分との相性”を測ることができます。ここでは、第6章で撮影した写真を活用します。

3.    社員の声(実際に働いている人のリアルな感想)
次に「信頼感」や「安心感」を与えるのが、社員インタビューや一言コメントです。これは第7章で作成した素材を活かす場面です。「入社当初は不安だったが、今では楽しく働けている」など、求職者の気持ちに寄り添う声が効果的です。

4.    会社の理念・特徴(企業としての方向性や姿勢)
「この会社に将来性はあるのか」「大切にしている価値観は自分と合っているか」を判断するために、会社の理念や特徴も簡潔に紹介します。ここでは第5章以前で整理してきた情報を活用します。

5.    応募ボタン・エントリーフォーム(アクションへの導線)
最後に、迷わず「応募できる導線」を設置します。ページ下部だけでなく、途中にも応募ボタンを設置して、読み終わった時に迷わせないのがポイントです。

構成要素がそろっていても、文字がびっしり詰まっていたり、余白がなく読みにくかったりすると、読了率が一気に下がります。写真の間に短めの文章を挟み、段落をしっかり分けるなど、視認性にも配慮が必要です。AIを使って出力された文章であっても、最終的には人が読んで「読んでいて心地よいか」を意識して編集しましょう。

8-3 AIによるLP生成の手順

これまでの章で、求人LP(ランディングページ)に必要な要素や構成、表現の工夫について解説してきました。ここからは、それらを活用して、実際にAIにLPを生成させる具体的な手順について紹介します。AIの力を借りることで、専門的な知識がなくても簡単に求人ページを制作することが可能になります。ただし、いくつかの準備と注意点が必要です。

■ ステップ①:素材の準備

まず、AIに指示を出す前に、最低限の素材をきちんと準備する必要があります。ここでは「画像」と「テキストデータ」の2種類を用意します。

求人ページに使用する画像は、事前に選定しておきましょう。第6章で紹介したように、「働く様子」「笑顔の社員」「作業中の手元」など、リアリティが伝わる写真を中心に選びます。5つの画像を選んだ場合、ファイル名はわかりやすく image01.jpg ~ image05.jpg に統一します。これらを同一階層にある「img」というフォルダにまとめて保存しておくと、AIによるHTML出力時にスムーズに連携できます。

次に、LPに掲載する文字情報(第5章以前で整理した会社概要や仕事内容、第7章で生成した従業員の声など)を1つのテキストファイルにまとめます。セクションごとに見出しをつけ、「仕事内容」「企業の特徴」「社員インタビュー」「応募条件」といった形式で整理しておくと、AIも構造を認識しやすくなります。

■ ステップ②:AIへの依頼方法(プロンプト設計)

素材が揃ったら、AIに指示を出してHTML構造を生成させます。ここでのポイントは、曖昧な依頼ではなく「構造」と「デザイン」に関する具体的な要望を伝えることです。

① HTML構造を出力させる

まず、「HTML形式で求人用のランディングページを作成してください」と依頼します。その際、セクション構成の指示も添えます(例:「最初に職種紹介、その次に写真、次に社員の声、最後に応募ボタン」など)。さらに、画像ファイルの参照方法として、「画像はimgフォルダにあるimage01.jpg~image05.jpgを使ってください」と補足しましょう。

② 色合いを指定してデザインを調整

デザインの雰囲気も重要です。業種や企業の雰囲気に応じて、カラーイメージを指定します(例:「暖かみのあるオレンジ系で」「信頼感のあるブルー系で」など)。指定しない場合は無難なグレーや白ベースになることが多く、イメージが伝わりにくくなる可能性があります。この時点でAIが出力したHTMLは、最低限のレイアウトと構造を備えた状態です。ここからさらに調整していきます。

プロンプト例:

—————————————–

あなたは採用LP専門のフロントエンド制作者です。以下の要件どおり、単一HTML(</style>までを含む完成コード)を出力してください。説明文は不要、コードのみ。

[入力データ]

– 求人票テキスト:<<<ここに丸ごと貼り付け>>>

– 画像:./img/image01.jpg~image05.jpg(拡張子は .jpg で統一)

[デザイン・仕様]

– 配色:ベース #FFFFFF 、キーカラー {{#色}}, アクセント {{#色}}、テキスト #222 、リンク {{#色}}。コントラスト比4.5:1以上を確保。

– フォント:{{例: Noto Sans JP}}, 見出しは太字、本文は1.6行間。

– レイアウト:モバイルファースト、最大幅1200px、余白16/24/40pxのリズム。

– 1ファイル完結:<style> にCSS記述、外部ライブラリ不使用。画像は相対パス利用。

– パフォーマンス:画像は`loading=”lazy”`、CSSは上部、JS不要。

– アクセシビリティ:h1は1つ、見出し階層順守、代替テキスト、ボタンはrole不要・ネイティブで、フォーカス可視化。

– SEO:title/description、OGP/Twitterカード、構造化データ(JobPosting)を<head>に埋め込み。

– ナビ:ページ上部にセクション内リンクを配置(固定ヘッダー可)。アンカーID付与。

– CTA:「応募はこちら」ボタンは全セクション末尾とヒーローに配置(計3回以上)。`target=”_blank” rel=”noopener”`。

– 免責・個情保護:フッターにプライバシーポリシー/募集要項更新日/運営社名を記載。

[セクション構成(この順で)]

1. ヒーロー:職種紹介(image01.jpg、キャッチコピー+短い訴求+応募ボタン)

2. 仕事内容(求人票テキストの“業務内容”を要約+箇条書き)

3. 社員の声(image02.jpg、3名想定のカード。氏名は仮名でOK)

4. 募集要項(雇用形態・給与・勤務地・勤務時間・休日・福利厚生を表で)

5. 1日の流れ/働き方(image03.jpg、タイムライン)

6. キャリア/評価制度(昇給や評価指標の透明性を簡潔に)

7. よくある質問(image04.jpg、5〜7項目のFAQ)

8. アクセス(image05.jpg、住所・最寄り・地図リンクプレースホルダ)

9. 応募セクション(強いCTA、SNS/メールフォームリンク)

10. フッター(運営社情報・ポリシー)

[リンク]

– 応募ボタンURL:{{メールフォームURL}}

– SNSリンク:{{X}} / {{Instagram}} / {{LinkedIn}}(アイコンはテキストでOK)

[細部ルール]

– CTAボタン文言:「応募はこちら」固定。キーカラーの塗り+ホバーで少し暗く。

– 表は横スクロール可(モバイル配慮)。

– 画像には意味のあるaltを付与(例:”職場の雰囲気が伝わるオフィスの写真”)。

– 日本語の約物は行頭禁則を考慮(可能な範囲で)。

—————————————–

■ ステップ③:出力後のチェックポイント

AIが生成したHTMLコードは、ほぼそのままブラウザに貼り付けて表示できますが、以下の点を必ず人の目で確認・修正しましょう。

● レイアウト崩れがないか

段落が重なっていないか、写真の比率が崩れていないか、テキストが意図しない位置に配置されていないかなど、実際にPCとスマホで表示をチェックします。

● モバイル対応になっているか

多くの求職者がスマートフォンから求人ページを見る時代です。スマホ表示でボタンや画像が極端に小さくなっていないかなども確認ポイントです。

■ 補足:HTMLに不慣れでも使えるように

AIが出力するHTMLは、専門知識がなくてもコピー&ペーストで利用できます。ただし、より完成度を高めたい場合は、無料のHTMLエディタやWeb制作ツール(Wix、STUDIOなど)を使って微調整することも可能です。AIによる求人LP生成は、準備と指示次第で驚くほど質の高いページを作成できます。

8-4 完成したLPを磨き上げる編集のコツ

AIを使って求人LP(ランディングページ)を生成できたとしても、それをそのまま公開してしまうのは非常に危険です。AIが出力するHTMLや文章は、あくまで「たたき台」に過ぎません。実際に応募者の心を動かすページに仕上げるためには、人の手による細やかな編集が欠かせません。ここでは、完成したLPをより魅力的で信頼性のあるものに仕上げるための編集ポイントを紹介します。

AIが出力したテキストは、時に文語的で回りくどい表現になることがあります。これは読みやすさを損なう要因となるため、なるべく「話し言葉に近い平易な表現」に直すことが大切です。たとえば、「当社は業界内において高い評価を得ております」という文章は、「うちの会社は業界でも評判です」くらいに柔らかく、わかりやすく表現できます。また、1文を長くしすぎず、1つの文に1つのメッセージを込めるよう意識すると、読みやすさがぐっと向上します。求職者はスマートフォンでLPを読むことが多いため、スクロールしながらでも意味が伝わるように「短い文」と「適度な改行」を心がけましょう。

LPで一番重要なのは「応募してもらうこと」です。にもかかわらず、応募ボタンが1つしか設置されていない、ページの最後にしかない、というのは致命的なミスです。求職者が「ちょっと気になった」と思った瞬間に、すぐ応募に進めるよう、応募フォームへの導線は最低でも2~3箇所に設置しておきましょう。具体的には、以下のような場所が有効です。

·         ファーストビューのすぐ下(スクロールしなくても見える位置)

·         社員インタビューの下

·         ページ末尾のクロージング部分

「今すぐ応募する」「話を聞いてみたい方はこちら」など、ボタンの文言も状況に応じて使い分けると効果的です。

「アットホームな職場です」「成長できる環境があります」といった抽象的なコピーは、今や求職者に響きません。むしろ、こうした表現は他社でも使いまわされており、何も印象に残らない可能性が高いのです。代わりに使うべきなのは、実際の写真や社員の声です。たとえば、「アットホーム」という表現の代わりに、「お昼休みにみんなで持ち寄ったお弁当をシェアしています」といった具体的なエピソードを添えたり、写真を配置したりすることで、圧倒的にリアリティが増します。第6章や第7章で用意した素材を活用し、“自社にしかない”空気感を表現しましょう。

AIが生成したHTMLは、見た目こそ整っていても、必ずしも正確で使いやすいとは限りません。コード上の細かなミスや、表示崩れ、モバイルでのレイアウト崩れなどが含まれていることも少なくありません。

以下のチェック項目は最低限確認してください:

·         スマホで表示してもレイアウトが崩れないか

·         応募ボタンがちゃんと機能しているか

·         誤字脱字・不自然な日本語表現はないか

HTMLに詳しくない場合は、無料のHTMLチェッカーやWYSIWYGエディタ(直感的な操作で編集できるツール)を使うのもおすすめです。また、社内や外部の信頼できる人に一度見てもらうことで、思わぬ改善点が見つかることもあります。なお、HTMLの編集を自分でできるとは限りません。その場合、生成AIに「○○の位置を××に変えてほしい」とか、「××のところの表示が○○のように崩れていた」と伝えると修正したコードを出力してくれます。何度でも修正してくれますので、どんどん修正を依頼しましょう。

8-5 SNSでの拡散と運用方法

求人専用LP(ランディングページ)を作ったからといって、それだけで応募が集まるわけではありません。どれだけ素晴らしいページであっても、見てもらえなければ意味がないのです。むしろ、LPはスタート地点にすぎず、その後の「拡散」と「運用」が採用成功の鍵を握ります。この章では、LPを求職者に届けるためのSNS活用術と、AIを使った投稿支援の工夫について解説します。

現在の採用活動は、「作る」から「届ける」へと主軸が移っています。企業がいくら魅力的な情報を発信しても、求職者がその情報に触れなければ、応募にはつながりません。だからこそ、LPを届けるための“導線作り”が不可欠です。特に中小企業や地方企業では、求職者が自主的に企業HPを見に来る機会は限られています。そうした中で有効なのが、SNSを活用した発信です。ターゲットとなる求職者層が日常的に使っているSNSに情報を流すことで、自然な形での接触機会を生み出すことができます。

SNSと一口に言っても、媒体ごとに特性が異なります。それぞれの特徴を理解し、投稿のトーンや内容を調整することがポイントです。

·         Facebook
地域に根ざした情報に強く、30〜50代の利用者が多い。文章量が多めでも読まれやすいため、社員インタビューやイベント報告とLPのリンクをセットにする投稿が有効です。

·         Instagram
写真や動画が中心で、ビジュアル重視の媒体。20〜30代女性の利用が多く、職場の雰囲気を伝える画像+短文キャッチが効果的。ストーリーズでの定期的な再掲もおすすめです。

·         X(旧Twitter)
拡散性が高く、リアルタイム性が特徴。カジュアルな口調の短文で、「社員の声」や「日常の一コマ」などを連続投稿しつつ、LPリンクを固定ツイートに設定すると導線が強化されます。

求人情報の発信でありがちなのが、「〇〇職募集開始しました。詳しくはLPをご覧ください。」といった“通知型”の投稿です。これは情報としては正しいものの、感情に訴える要素が薄いため、スルーされる可能性が高いです。効果的なのは、「社員の声」「日常の風景」「職場のこだわり」など、ストーリー性のあるコンテンツとセットでLPを紹介する方法です。

たとえば:

·         「入社3年目の○○さんが語る、“この仕事のやりがい”」

·         「先週のイベントで、みんなで流しそうめん!」

·         「実は、うちの制服は地元デザイナーとのコラボです」

こうした投稿の最後に、「もっと詳しく知りたい方はLPへ」という形でリンクを設置することで、自然な導線が生まれます。

AIを使えば、SNS用の投稿文やキャッチコピーも効率よく作成できます。たとえば、次のようなプロンプトを与えるだけで、数パターンの文章を一気に出力可能です。

「以下の社員インタビューをSNSで紹介する短文を作成してください。Instagram用にやや感情的なトーンでお願いします。」

あるいは、

「求人LPをシェアするためのFacebook投稿を3パターン作ってください。ターゲットは30代の事務職希望者です。」

このようにAIを活用することで、日々の発信負担を大幅に軽減できます。

SNSは「一度だけ投稿して終わり」では成果は出ません。少なくとも週に1~2回程度、LPに関連する情報を織り交ぜながら投稿を継続しましょう。社内イベント、採用活動の裏側、社員の日常など、「ちょっとした話題」でも十分です。また、SNSのインサイト(閲覧数やクリック率)を確認しながら、どの投稿が反応されやすいのかを把握し、内容を改善していくことも重要です。

求人LPを活かすには、作って終わりではなく、「どう届けるか」「どこで見てもらうか」という視点が不可欠です。SNSは、そのための最強の武器です。媒体ごとの特徴を活かしながら、AIの力を借りて効率よく、そして継続的に情報を発信しましょう。リアルな声と魅力的な写真を中心に、あなたの会社の“物語”を発信していくことが、求職者の心を動かす最短ルートになります。

コラム:「AIで作ったLPを、ネットに公開するには?」

AIで求人用ランディングページ(LP)を作成した後、いよいよ「実際にネット上に公開して応募者に見てもらう」段階に入ります。このコラムでは、完成した静的HTMLファイル(.htmlとimgフォルダなど)を、インターネット上で表示させるための基本的な手順を紹介します。専門知識がなくても大丈夫。ポイントを押さえれば、誰でも実現できます。

1. 独自ドメインを取得しよう

まずは、自社のオリジナルアドレス(ドメイン)を取得しましょう。たとえば yourcompany.jp や recruit-yourcompany.com といったドメイン名です。ドメインは「お名前.com」や「ムームードメイン」などのドメイン取得サービスを使っても良いですし、下記のレンタルサーバー会社の中には一緒に取得することもできるケースもあります。ドメインにかかる費用は年間数百円〜数千円で取得できます。ドメインは一度取得すれば、メールアドレスの作成や企業の信頼感の向上にもつながるため、LP用として1つ持っておくのがおすすめです。

2. サーバーを用意しよう(HTMLを置く場所)

ドメインだけではページは表示できません。HTMLファイルを置くための「土地」にあたるサーバーが必要です。

ここでは「レンタルサーバー」を利用するのが一般的です。たとえば以下のようなサービスが人気です:

  • さくらのレンタルサーバ(安価で初心者向け)

  • ロリポップ!(管理画面がわかりやすい)

  • Xserver(高速で信頼性が高い)

月額数百円〜で利用可能なプランで十分です。選ぶ際は「FTPでファイルをアップロードできる」機能と、「独自ドメインを使える」機能があることを確認してください。

3. HTMLファイルをアップロードしよう(FTPで転送)

サーバーを契約したら、FTPソフトを使ってAIで生成したLPのファイル群をアップロードします。代表的なFTPソフトには「ffftp」「FileZilla」や「WinSCP」などがあります。

一般的な手順は以下の通りです:

  1. サーバー会社から送られてきた「FTP情報(ホスト名・ID・パスワード)」をFTPソフトに設定

  2. サーバー内の public_html や www フォルダを開く

  3. 作成した index.html と imgフォルダ をその中にドラッグ&ドロップ

アップロードが完了すれば、ブラウザで https://yourdomain.jp にアクセスすることで、LPが表示されるようになります。各ソフトやレンタルサーバーの使い方がわからない場合にも生成AIが活躍します。良く使われておりインターネット上に多くの人が使い方マニュアルを作っているケースの場合、かなり正確に使い方を教えてくれます。例えば、「ffftpでxserverにアクセスしたいんだけどどうしたら良い?」と聞くと、その手順を教えてくれます。この手順が100%正確というわけではないですが、「○○の作業の時の画面は××だった」や「○○を行ったときのエラーコードは<エラーコード貼り付け>でした」とすると追加の回答をくれます。

4. ドメインとサーバーを結びつける(DNS設定)

ドメインを取得しただけでは、サーバーとつながっていません。ドメイン取得サービス側の管理画面で「ネームサーバー設定」を変更し、レンタルサーバー側の情報に合わせる必要があります。設定を反映させると、数時間〜48時間程度でドメインがサーバーとリンクし、インターネット上でページが表示されるようになります。

5. 最終チェックと運用開始!

公開されたLPは、必ずPC・スマホ両方で表示確認しましょう。以下の点もあわせてチェックしてください:

  • 応募ボタンが正しく動くか(リンク切れがないか)

  • スマートフォンでも読みやすく表示されるか(モバイル対応)

  • 画像パスが正しいか(imgフォルダのリンク切れに注意)

また、Googleで検索してもすぐには出てこないため、SNSやQRコードなどで積極的にシェアして求職者に見つけてもらう工夫が必要です(第8章5節で詳述)。

AIでLPを作ったら、次のステップは「公開」して「活用」すること。サーバーやドメイン、FTPなど聞きなれない言葉もあるかもしれませんが、手順を踏めば初心者でも十分対応できます。わからなければ生成AIに質問すればOK。LPの完成はゴールではなく、スタート。ぜひ実際に公開して、多くの応募者との接点を生み出していきましょう。必要であれば、専門家に初期設定だけ依頼するのも一つの方法です。

2025.10.29

7-1 「偽の声」は逆効果――AI時代だからこそ誠実さが重要

採用広報において「従業員の声」は非常に強い説得力を持ちます。求人票や会社案内で「どんな仲間と働けるのか」「どんな雰囲気の職場なのか」を伝えるとき、実際に働いている人の言葉ほどリアルに響くものはありません。しかし、ここに大きな落とし穴があります。それは「偽の声」を使ってしまうことです。たとえば、従業員にインタビューをしていないのに、AIで自動生成した“従業員の声”をそのまま載せるケース。あるいは、従業員が話していない内容を脚色しすぎて、実際とは異なる体験談のように仕立てるケース。これらは短期的には求人票を華やかに見せるかもしれませんが、長期的には確実に信頼を損ないます。なぜなら、応募者は入社後に必ず「現実」と向き合うからです。求人票に「先輩が丁寧にサポートしてくれる」と書いてあったのに、実際にはOJTが形だけで放置される。あるいは「ワークライフバランスが整っている」と言いつつ、残業が常態化している。そうしたギャップに直面したとき、応募者は「聞いていた話と違う」と感じます。その失望感は、単なる不満にとどまらず、「この会社は嘘をついていた」という不信感に直結します。そして、その不信感は早期退職につながり、採用コストや育成コストを無駄にする結果を招くのです。ここで重要なのは、リアリティは「作るもの」ではなく「引き出すもの」だという考え方です。企業にとって都合の良い“理想の声”をAIで創作するのではなく、実際に働く人から少しずつでも本音を引き出し、それを整理して伝えることが本質です。従業員に長文を書かせる必要はありません。数十文字でも一言でも構いません。その小さな声をAIで文章化すれば、リアルさを保ちつつ読みやすく整えることができます。つまり、AIの役割は「偽の声を作ること」ではなく、「本物の声を伝わりやすく整えること」にあるのです。

また、応募者は完璧な環境を求めているわけではありません。「忙しいときは残業がある」「覚えることが多く最初は大変」というような正直な声は、むしろ信頼を高めます。そのうえで「でも仲間に質問しやすい」「頑張れば必ず評価してもらえる」といった前向きな側面が加われば、リアルさと安心感の両方を伝えられるのです。

AI時代の採用広報では、生成技術を使えば「もっと魅力的に見せる」ことはいくらでも可能です。しかし、誠実さを欠いた情報発信は、応募者に見抜かれる時代でもあります。SNSや口コミサイトを通じて社員の本音が簡単に共有される現代において、虚構の情報はすぐに崩れ去ります。だからこそ、AIを「誠実さを保ちながら整理・表現する道具」として活用することが求められるのです。要するに、「偽の声」は短期的な応募数増加にはつながるかもしれませんが、長期的には離職率の上昇と企業ブランドの失墜をもたらします。AI時代だからこそ必要なのは、誠実さと透明性を基盤としたリアルな情報発信です。本物の声を丁寧に引き出し、それを応募者に伝わりやすく届ける――その姿勢こそが、持続的な採用力を高める最良の方法なのです。

7-2 従業員の負担を最小限に――AIを活用した準備の工夫

「従業員の声」を採用広報に取り入れようとするとき、多くの企業が最初に直面する壁は、従業員の協力をどう得るかという問題です。もちろん、社員のリアルな体験談は大きな説得力を持ちますが、長時間のインタビューをお願いしたり、詳細な文章を作成してもらったりすると、現場の負担は相当なものになります。特に中小企業では、少人数の社員が日々の業務に追われているため、「採用広報のために時間を取ってほしい」と依頼するのは難しいのが現実です。

ここで活用したいのがAIによる事前準備です。AIは質問リストやアンケート形式の雛形を自動で作成するのに非常に適しています。たとえば「新入社員が入社前に不安に思うことは何か」「応募者が知りたい職場の雰囲気はどんな点か」といったテーマを入力すれば、AIはそれをもとに具体的な質問を複数提案してくれます。こうして作られたリストをもとにすれば、従業員へのインタビューは無駄なく効率的に進められるのです。

さらに、質問の形式を工夫することで従業員の負担を大幅に減らすことができます。たとえば、すべて自由記述にしてしまうと答える側の心理的ハードルが高くなり、結局「何を書けばいいのかわからない」となってしまうことがあります。そこで効果的なのが、「はい・いいえ」で答えられる簡単な質問形式です。たとえば「この職場は質問しやすい雰囲気ですか?」「新しい挑戦を後押ししてくれる文化はありますか?」といった設問であれば、数秒で答えることができます。そして、その結果を集計すれば、全体の傾向を示すデータとして活用することができます。

また、短文で答えられる自由記述を取り入れるのも有効です。「この仕事をしていて一番やりがいを感じた瞬間は?」「新人のときに助けられた経験を一言で表すと?」といった問いであれば、数十文字程度のコメントで十分です。こうした一言コメントは短くてもリアリティを感じさせ、読み手に強く響きます。AIに入力して文章化すれば、短文を複数組み合わせて「インタビュー記事風」に編集することも可能です。

AIの強みは、従業員の声を引き出すための「準備」と「編集」を担える点にあります。インタビューをゼロから考えて実施するのではなく、AIが用意した質問をベースにし、従業員はそれに簡単に答えるだけで済む。回答が集まった後も、AIが文章を整理して分かりやすい形にまとめてくれる。こうした仕組みを作れば、従業員の負担は最小限に抑えられつつ、リアルで説得力のある「従業員の声」を生み出せるのです。

採用広報は従業員にとって本業ではありません。だからこそ、彼らの協力を得るには「できるだけ負担をかけない仕組みづくり」が不可欠です。AIをうまく活用すれば、短時間で効率的に情報を集め、企業として伝えたいメッセージへと昇華させることが可能になります。誠実さを保ちながらも、社員の時間を奪わない。この両立を実現できるのが、AI活用の最大の価値なのです。

7-3 アンケートから声を集める――少量でも質を高める方法

「従業員の声」を採用広報に取り入れる際、多くの企業が悩むのは「どうやって社員から協力を得るか」という点です。インタビューのように一対一で長時間話を聞く方法は、確かに深みのある情報を得られますが、現場の社員にとっては大きな負担になります。特に業務が多忙な職場では、「採用広報のために時間を割く余裕がない」という理由から、協力が得にくいことも少なくありません。

そこで有効なのが、アンケート形式で声を集める方法です。アンケートは一人あたりの回答時間が短くて済み、複数の社員から同時に情報を集められるため効率的です。また、質問内容を工夫すれば、自由記述が数十文字程度でもリアルさを感じさせる情報を得ることができます。つまり「少量のデータでも質を高める」ことができるのです。例えば、以下のような簡単な質問を設定するだけでも十分に効果があります。

  • 職場の好きな点は?

  • 仕事を通じて成長を実感した瞬間は?

  • 働きやすさを感じる工夫は?

これらの質問はシンプルですが、回答には社員それぞれの体験や感情がにじみ出ます。たとえば「上司がいつも気にかけてくれる」「新人の意見も積極的に取り入れてくれる」といった一言コメントは、読み手にとって生の声として強く響きます。長文ではなくても、応募者にとっては「その職場で働くイメージ」を具体的に描くためのヒントになります。さらに、アンケートの最大の強みは「多様な視点が得られる」ことです。一人の社員から長いインタビューを取るよりも、10人の社員から短いコメントを集めたほうが、結果として多角的でリアルな職場像を示すことができます。ある人は「福利厚生がしっかりしている」と答え、別の人は「チームワークが良い」と答える。この違いはむしろプラスに働きます。応募者は「いろいろな人がいろいろな魅力を感じている会社」だと理解し、安心感を持つからです。

ここでAIの力を組み合わせれば、短文の集合体をより分かりやすい形に編集することが可能です。例えば、社員から集まった十数個の一言コメントをAIにインプットし、「インタビュー記事風」にまとめさせることができます。すると、「社員Aさんは〇〇にやりがいを感じています」「社員Bさんは△△を高く評価しています」といった形で、複数人の声を一つの記事に自然に整理することができます。これにより、バラバラに見える短文のコメントが、統一感を持ちながらも多様性を失わない表現に変わります。

ただし、アンケートを設計する際には注意点もあります。一つは「質問数を欲張らない」ことです。あまりに多くの質問を設定すると、回答者の負担が大きくなり、かえって回答の質が下がります。目安としては、自由記述を含めて3〜5問程度に絞るのが適切です。もう一つは「具体的な場面を思い出させる質問」を設定することです。「この会社の魅力は何ですか?」という漠然とした問いよりも、「最近嬉しかった出来事は?」「仕事で達成感を覚えた瞬間は?」といった質問の方が答えやすく、リアルなコメントを引き出しやすくなります。

また、アンケートの回答は匿名にするか記名にするかという点も検討が必要です。匿名にすれば率直な声を引き出しやすくなりますが、応募者に紹介するときには「誰の声なのか」が分からず説得力に欠ける場合があります。そのため、社内用は匿名で集めつつ、公開用にまとめるときは「入社3年目の営業担当」など属性情報を付与して紹介するのがおすすめです。実名や顔写真を出さなくても、在籍年数や職種を明示するだけでリアリティは大きく増します。

アンケート形式は「少量の回答でも質を高められる」優れた方法です。シンプルな質問でも従業員の本音は引き出せるし、複数人から短文を集めれば、多様な視点を反映したリアルな職場像を描けます。AIを組み合わせれば、短文のコメントを整理・文章化し、読み手に伝わりやすい形で提供することも容易です。従業員の負担を最小限に抑えながら、応募者に信頼感を与える情報を発信できる――それこそがアンケート活用の最大の価値だと言えるでしょう。

7-4 AIによる文章化――リアルさと読みやすさを両立

アンケートや短時間のインタビューで集めた従業員の声は、素材としては非常に価値があります。しかし、そのまま求人票や会社案内に掲載しようとすると、短文の羅列になってしまい、応募者には伝わりにくいという課題が生じます。そこで力を発揮するのがAIによる文章化です。AIは集めた回答を整理し、読みやすくまとめるだけでなく、リアルさを維持しながら伝わりやすい形に編集してくれます。

まず大切なのは、単なる羅列にせず「記事風」にまとめることです。例えば、社員10人から集めた短文コメントをそのまま並べると、「いい会社なんだろうな」という印象は与えられても、深い共感にはつながりません。一方で、それらをAIにインプットして「一人の社員インタビュー記事のように構成して」と指示すれば、バラバラのコメントが一本のストーリーを持った文章に変わります。冒頭で社員の簡単な紹介があり、入社のきっかけや仕事のやりがい、職場の雰囲気が順序立てて語られる構成にすることで、読み手はまるで実際にその社員と会話しているかのような感覚を得られるのです。

ここで重要なのが「リアリティを損なわない工夫」です。AIは文章を整える際に、つい「きれいすぎる表現」や「典型的なフレーズ」を多用してしまいがちです。そのまま使ってしまうと、応募者にはかえって「作り物っぽい」と映り、信頼を損ねる恐れがあります。したがって、元のコメントの語尾や表現をなるべく残し、少し不完全さを残すことが大切です。たとえば「最初は仕事を覚えるのに苦労しましたけど、先輩がフォローしてくれて今は楽しいです」という一文は、AIが整えれば「先輩のフォローが手厚く、安心して成長できました」と洗練された文章になります。しかし、前者のような生っぽさを意識的に残すことで、リアリティが伝わりやすくなるのです。

また、AIには“ほんの少しの演出”を加えてもらうことも効果的です。例えば、社員が書いた「チームで協力している」という一言コメントを、AIに「具体的なシーンを想像できる文章に整えて」と依頼すると、「忙しいときには部署を超えて助け合うのが当たり前になっています」といった形に変換されます。これは嘘ではなく、社員の短文を読み手に分かりやすく表現し直しただけです。この程度の演出なら、事実を歪めずに応募者の理解を助ける働きをします。

さらに、複数人のコメントを組み合わせることで「一人の声」に厚みを持たせることも可能です。実際には一人の社員がすべてを語ったわけではなくても、「入社当初は不安でしたが、先輩に支えてもらい、今では後輩にアドバイスできるようになりました」という流れは、多くの社員の共通体験として存在します。AIはこうした複数の要素を自然につなげ、ひとつのストーリーに仕立ててくれます。結果として、読み手は「この会社では成長のステップが描ける」と理解できるのです。

ただし、ここでもAIに丸投げするのではなく、人間が最終チェックをすることが欠かせません。応募者に誤解を与えるような過剰な演出が入っていないか、表現が社風に合っているか、ニュアンスが現場の感覚からずれていないか――これらを確認するのは人の役割です。AIはあくまで整理と補助を担う存在であり、最後の「リアルさの担保」は人間の目によって守られるべきです。AIによる文章化の目的は「読みやすさとリアルさの両立」にあります。短文の羅列では伝わらない社員の魅力を、一人のインタビュー記事風に仕立て、応募者が共感しやすい形に整える。その際、元のコメントのリアリティを損なわず、ほんの少しの演出を加えて伝わりやすさを高める。これを実現できれば、従業員の負担を増やさずに、応募者にとって信頼性のある「従業員の声」を届けられるのです。AIは単なる生成ツールではなく、「本物の声をより多くの人に伝えるための翻訳者」として活用するのが最も効果的だと言えるでしょう。

7-5 リアリティ演出の工夫――信頼を生む「編集」の視点

従業員の声を採用広報に取り入れるとき、最も気をつけるべきは「リアリティをいかに保つか」という点です。いくらAIで整理して読みやすくしても、仕上がった文章が「きれいすぎる」「広告っぽすぎる」と感じられてしまえば、応募者はかえって不信感を抱きます。だからこそ編集の段階では、事実を歪めず、自然な息づかいを残す工夫が欠かせません。

まず意識すべきは「加工しすぎない」ことです。AIに任せると、文章は流暢で整ったものになりますが、それが逆に不自然さを生むことがあります。実際の従業員が普段使わないような言い回しや、堅苦しすぎる表現が増えると、応募者は「本当に社員が話した言葉なのか?」と疑いを持ちます。そこで重要なのは、自然な語尾や日常的な言葉遣いを残す編集の視点です。「〜だと思います」「〜してくれて助かりました」といった少しカジュアルな表現は、むしろリアリティを感じさせます。完璧な文章よりも、少しの揺らぎや口語的な要素を残すことで「社員の声らしさ」が伝わるのです。

次に有効なのは、写真や具体的なエピソードと組み合わせることです。文章だけではどうしても抽象的に見えてしまいますが、そこに写真が添えられると一気に説得力が増します。例えば「先輩がいつもサポートしてくれる」というコメントに、実際に先輩と後輩が一緒に作業している写真を合わせれば、読み手はその場面を自然に想像できます。あるいは「チームで協力して忙しい時期を乗り越えた」というコメントなら、集合写真や作業風景を添えることでリアルさが強調されます。エピソードに写真を組み合わせることは、言葉の裏付けとなり、応募者の納得感を高める効果的な方法です。

また、エピソード自体も「大げさに脚色しない」ことが大切です。「入社3か月でプロジェクトリーダーに抜擢された」といった極端な例よりも、「初めて任された仕事でミスをしたが、先輩が一緒にフォローしてくれて乗り越えられた」といった等身大の話のほうが共感を呼びます。応募者は「自分も同じように成長できそうだ」と感じ、安心感を持つのです。編集者の役割は、社員が語った断片的な言葉を整理して筋道をつけることであって、実態以上に脚色することではありません。

さらに、透明性を保つ工夫も欠かせません。AIを活用していることを隠そうとすると、万が一後から発覚したときに「騙された」という印象を与えかねません。しかし「AI支援でまとめた社員インタビューです」と一言添えるだけで、読み手の受け取り方は大きく変わります。応募者は「社員が答えた声をベースにしてAIで文章にしたのだな」と理解し、安心して読めるのです。近年はAIの利用が一般化しているからこそ、あえてオープンにすることが信頼を生むポイントになります。

要するに、リアリティを高める編集とは「自然さを残す」「写真や具体例で裏付ける」「透明性を示す」の三点に集約されます。完璧に整えられた文章ではなく、少し不揃いな人間味を意識的に残すこと。社員の言葉をエピソードと写真で補強し、応募者が自分の姿を重ねられるようにすること。そして最後に、AIを活用している事実を隠さず示すこと。これらを組み合わせることで、従業員の声は単なる情報を超え、企業への信頼感を生む強力なコンテンツへと昇華します。

採用広報は、企業を「良く見せる」ためのものではなく、応募者との「相互理解」を深めるためのものです。リアリティを編集によって演出するというと、一見矛盾して聞こえるかもしれません。しかし、編集とは嘘を作ることではなく、伝えたい事実を最も誠実に、そしてわかりやすく伝えるための工夫です。AIの力を借りながらも、最終的に信頼を守るのは人間の編集の視点です。この姿勢を持てるかどうかが、採用広報における成果を左右すると言えるでしょう。

2025.10.28
採用広報において、写真や文章の「見せ方」を工夫することは欠かせません。しかし、その工夫が「演出」にとどまるのか、それとも「虚偽」と受け取られてしまうのか――この境界線は非常に重要です。応募者にとって求人票は入社を決断するための材料ですから、事実と異なる情報を与えれば、入社後のギャップを生み、早期離職や信頼の失墜につながりかねません。

まず演出として許されるのは、情報の「伝え方」を工夫することです。たとえば、写真を少し明るく補正して雰囲気を良くする、レイアウトを整えて読みやすくする、キャプションを添えて意図を伝わりやすくする――これらは事実を歪めずに応募者の理解を助ける手法であり、演出に当たります。料理に例えるなら、素材そのものを変えるのではなく、盛り付けや照明でおいしそうに見せる工夫です。むしろ、この程度の演出をしないと、せっかくの魅力が正しく伝わらないことすらあります。
一方で、虚偽に踏み込んでしまうのは「存在しないものを作り出す」「事実をねじ曲げる」行為です。AI画像で実在しない社員を作り出し、あたかも自社のスタッフであるかのように紹介する。従業員インタビューを行っていないのに、AIが自動生成した“社員の声”を掲載する。こうした行為は演出ではなく、明確に虚偽情報の提供です。応募者がそれを信じて入社した場合、実態とのギャップから失望し、「騙された」と感じる可能性が高まります。結果的に、採用コストの増大やブランドの毀損を招くリスクがあります。
この演出と虚偽の境界線を判断するうえで役立つ視点は「応募者が誤解するかどうか」です。写真を明るくしても、応募者は「この会社に窓があるかどうか」を誤解しません。しかし、存在しない社員を登場させれば、「こんな先輩が働いている」と誤解させてしまいます。AIでキャッチコピーを整えることは問題ありませんが、AIが作った虚構のエピソードを「実際の社員談」として載せるのは危険です。つまり、「事実を補強して伝える演出」と「事実をすり替える虚偽」を明確に分けて考える必要があります。
さらに大切なのは、透明性の確保です。AIや加工ツールを活用すること自体は否定されるものではありません。しかし、それを隠そうとする態度は疑念を生みます。「AIで生成したイメージ画像です」「アンケート回答をもとにAIでまとめたインタビュー記事です」と一言添えるだけで、応募者は「嘘をついていない」と安心できます。誠実に伝える姿勢こそが、結果的に企業への信頼感を高めるのです。
採用活動は「いかに多くの応募を集めるか」だけではなく、「いかに入社後に定着してもらうか」が本質です。そのためには、応募者との間に無用なギャップを生まないことが最も重要です。演出は応募者の理解を助け、企業の魅力を際立たせる手段ですが、虚偽はその逆で、短期的な効果を得ても長期的な信頼を損ねます。AI時代だからこそ、この境界線を意識した情報発信が、採用広報において不可欠なのです。

2025.10.27

6-1 まずはAIに「どんな画像が合うか」聞いてみよう

求人票を作る際、テキスト情報はかなり具体的に整っていても、「どんな写真を載せたらいいか分からない」という悩みは多くの企業に共通しています。そこで活用してほしいのが、ChatGPTなど生成AIに“画像のイメージ”を聞いてみることです。画像生成AIでなくとも、ChatGPTのような会話型AIは「この求人に合う写真構成を3つ提案して」といった相談にも柔軟に応じてくれます。撮影計画のヒントや、必要な写真の方向性をつかむためのツールとして、まずAIに相談するところからスタートしてみましょう。

やり方はとてもシンプルです。まず、自社で作成した求人票の本文をChatGPTにコピー&ペーストします。次に、以下のような指示を与えるだけで、AIが写真のイメージや構図案を提案してくれます。たとえば、
「この求人票の内容に合った写真の構図案を3つ教えてください」
「この求人に興味を持ちそうな人が安心するような、職場の雰囲気が伝わる写真の種類を提案してください」

このようなプロンプト(指示文)に対して、ChatGPTはたとえば以下のような回答をしてくれます。

  • 作業中の社員を自然に撮影した写真(工場現場、事務所でのPC作業など)

  • 休憩中の談笑シーン(社内の人間関係の雰囲気を伝える)

  • オフィスや店舗の内観(清潔感・働きやすさの視覚情報)

こうした提案は、AIがこれまで学習した大量の求人情報や広告データから、効果的なビジュアル表現を抽出したものです。初めての採用担当者でも、ある程度“使えそうな案”が得られるため、ブレスト(アイデア出し)としてとても有効です。

実際に使えるプロンプトとして、以下のような言い回しを参考にしてください:

  • 「この求人票に合う写真構成を3〜5個、箇条書きで出してください」

  • 「応募者が安心できるような写真素材の案を提案してください」

  • 「中途採用向けで、職場の雰囲気が伝わる写真のアイデアを教えてください」

  • 「この求人票をもとに、実際にスマホで撮影可能な構図を教えてください」

  • 「求職者が“ここで働いてみたい”と感じる写真の特徴を5つ挙げてください」

こうしたプロンプトは、「目的(安心感、信頼感)」「対象(若年層、中高年、主婦層など)」「撮影手段(スマホ、自然光)」などを含めると、より具体的な提案が返ってくる可能性が高まります。

AIから得た写真構成案は、単なるアイデアとして終わらせず、実際に撮影計画に落とし込むことが重要です。以下のようなステップを踏むことで、具体的なアクションに移しやすくなります。

  1. 必要な写真のリストを作る
    → 作業風景/社員インタビュー風景/オフィスの一角/集合写真/昼休みの様子など

  2. 誰に出演してもらうかを決める
    → 自然体で映ることが大切なので、いつもの雰囲気が出せる社員に声をかける

  3. 撮影のスケジュールを調整する
    → 営業日・勤務中にサッと撮れるように段取りを工夫

  4. スマホでも十分。とにかく“今あるもので撮る”意識を持つ
    → 光の当たり方や背景を少し工夫するだけで、格段に印象は変わる

ChatGPTに聞くことで、「何を撮ったらよいか分からない」という最初のハードルを越えられます。そしてそこから、自社らしい雰囲気を“見せる”写真を用意するための土台を整えることができるのです。

写真というのは「見てすぐ伝わる」情報のかたまりです。しかも、今やスマホ一つで十分なクオリティの写真が撮れます。「カメラマンを雇うのは無理」「いい構図が思いつかない」といった不安も、ChatGPTをうまく使えばある程度解消されます。まずは聞いてみる、そして自分たちの“日常”をそのまま写真にしてみる。そんな一歩が、求人票の印象を大きく変える第一歩になるのです。

6-2 会社の“リアルな空気”を写真で伝えるには?

求人票に「職場の雰囲気が伝わる写真を載せましょう」と言われても、多くの中小企業では「カメラもないし、プロに頼むのも大変」と悩むことでしょう。しかし実は、スマホで撮った自然なスナップショットこそが、求職者にとって“信頼できる写真”なのです。今回は、会社のリアルな空気感を写真で伝えるためのポイントを解説します。

特別なカメラや編集ソフトは不要です。スマホで撮れる自然な写真で構いません。むしろ、作り込まれすぎた写真より、日常のリアルを切り取ったスナップ写真の方が、見る人の心に響きます。無理にポーズを取らせるよりも、普段通りの姿を撮るほうが「ここで自分も働くイメージ」が持ちやすくなるからです。とはいえ、ただ何でも撮ればいいというわけではありません。どんなシーンを撮るか、どんなことに注意するかを知っておくことで、求人票の魅力を何倍にも高めることができます。次のようなシーンは、職場の雰囲気や人間関係の良さが伝わりやすいため、撮影におすすめです。

  1. 作業中の様子
    社員が仕事に取り組んでいる姿。製造業なら機械を操作しているシーン、オフィスならPC作業をしている様子など。「働いている姿」が求職者にとって一番リアルに感じられる瞬間です。

  2. 休憩中・談笑の様子
    リラックスした雰囲気の写真も重要です。社員同士が和やかに話している姿は、人間関係や職場の空気感を伝える手段になります。

  3. 集合写真
    小規模な会社ほど、社員全員での集合写真は効果的です。人数やバランスが一目でわかるだけでなく、「顔が見える会社」は安心感につながります。

自然なスナップといっても、最低限の見栄えは必要です。以下のポイントに注意しましょう。

  • 背景の整理
    散らかった机やゴミ箱が映り込まないように。不要なものは一時的に片づけ、なるべくスッキリした背景を選びましょう。

  • 服装の清潔感
    普段着のままでOKですが、汚れた作業着や乱れた髪型などは避けたいところ。少し整えるだけで印象は大きく変わります。

  • 光の当たり方
    暗い写真や逆光の写真は雰囲気が伝わりにくくなります。窓際の自然光を活用する、部屋の照明を補うなどの工夫をしましょう。

  • 表情とポーズ
    カメラを意識しすぎると不自然になります。むしろ無理にポーズを取らせるよりも、作業中の自然な表情をそっと撮るぐらいでちょうど良いのです。

すでに社内で使っているパンフレットやSNSの写真があれば、それを流用するのも有効です。とくに以下のような素材は、求人票でも十分に使える価値があります。

  • 会社案内パンフレットのスタッフ紹介写真

  • 地元イベントや展示会の参加時に撮影した写真

  • 社内報やブログ、Instagramに投稿していた写真

これらはすでに“社外向け”として発信されている写真ですので、再活用しやすく、社内でも使い回しの許可を得やすい素材です。また、過去の社員旅行や懇親会の写真も、人間関係を伝える材料として効果的です。できるだけ従業員には顔出しをしていただきたいですが、個人の顔が明確に映る場合は必ず本人に使用の許可を取るようにしましょう。

求人票に載せる写真に求められるのは、決してプロレベルの画質ではありません。求められるのは「ここで自分も働けそう」という実感を持ってもらえる写真です。そのためには、リアルで自然な空気感、働く人の表情、会社の日常の一場面を切り取ることが何よりも大切です。スマホで、今いる人を、今のままに。その一枚が、未来の仲間との出会いにつながるかもしれません。

6-3 「映え」より「伝わる」を意識した撮り方のコツ

求人票に掲載する写真や画像において、私たちはつい「映えるかどうか」「見栄えがいいかどうか」を気にしてしまいがちです。もちろん見た目の良さは大切ですが、それ以上に重要なのが「どんな職場なのかがリアルに伝わるかどうか」です。ここでは、“伝えること”を目的とした写真撮影の基本と、誰でも実践できるコツを紹介します。

まず大前提として、高価なカメラ機材やプロ並みの編集スキルは不要です。むしろ、スマートフォンでも十分ですし、重要なのは「誰が」「何を意図して」撮るかです。たとえば、社内の雰囲気をよく知る社員が、同僚の自然な姿を撮る場合、リラックスした表情や日常の空気感を引き出しやすくなります。一方で、プロのカメラマンが一瞬だけ職場を訪れたとしても、ただ“整っただけ”の写真になることも少なくありません。つまり、機材のクオリティよりも「撮影者と被写体の関係性」や「職場の理解」が重要だということです。写真が伝えるべきは“現場の温度”であり、そのリアルさこそが応募者の心を動かします。

「写真を撮ります!」とカメラを向けると、どうしても皆が構えてしまい、不自然な表情になります。多くの場合、こうした“カメラ目線”の写真はどこか堅苦しく、見る側にとっても「演出感」が伝わってしまいます。おすすめは、作業中や会話中の“ふとした瞬間”を撮ることです。例えば:

  • 製造ラインで真剣に作業する様子

  • 休憩中に自然と笑顔がこぼれたシーン

  • 会議中に誰かの話にうなずいているところ

こうした場面は、演出ではない“リアルな表情”が多く含まれており、求職者にとって「この人たちと働くんだ」というイメージがしやすくなります。どうしてもポーズ写真が必要な場面(集合写真など)では、撮る前に軽く会話をして場を和ませたり、撮影中にジョークを挟むなどして自然な笑顔を引き出す工夫をすると良いでしょう。「きれいな写真」を目指すよりも、「いい雰囲気が伝わる写真」を意識してください。求人票に掲載する写真は、単なる“おまけ”ではなく、職場の空気を言葉以上に伝える大事なコンテンツです。応募者にとっては、「この会社、雰囲気よさそう」「なんか安心できるかも」という印象の入り口になります。

スマホで、職場の日常を、あなたの目線で切り取ってください。それだけで、言葉では伝えきれない魅力が、きっと届きます。

6-4 パンフレット・社内資料・イベント写真も使える

求人票に「画像を添える」というと、多くの方が“わざわざ撮影しなければならない”と考えがちです。しかし、実はあなたの会社にはすでに使える「視覚素材」が眠っていることが少なくありません。先に述べたように、過去に作った会社案内のパンフレットや、社内イベントの写真、広報誌や社内報など。これらはすべて、あなたの職場のリアルな雰囲気を伝える貴重なビジュアル資産なのです。採用活動のために作成されたパンフレットや会社案内資料があるなら、それはそのまま求人画像に活用できます。紙媒体であっても、スマホで撮って画像化したり、PDFから切り出したりすることで、求人票に「視覚的な補足情報」を付け加えることが可能です。

特に、以下のような内容は有効です:

  • 社員インタビューの一部(写真+コメント)

  • オフィスや工場の外観・内観写真

  • 福利厚生や取り組みを図解したページ

  • 職場の一日の流れ(イラストや写真付き)

こうした情報は、「文字で説明しようとすると長くなってしまう内容」をひと目で伝える力を持っています。求人票がWeb媒体に掲載されることを考えると、画像による訴求はむしろ“読ませる前に伝える”重要なポイントになるのです。

地域密着型の企業や、社員の結びつきが強い職場では、地元のお祭りやイベントへの参加、社内の懇親会などの様子も積極的に素材として活用すべきです。

たとえば:

  • 地域清掃ボランティアに参加した写真

  • 夏祭りでの出店風景

  • 新年会やBBQなどの社内レクリエーション

これらは、「人間味」や「働く人の関係性」「楽しそうな雰囲気」といった、文章では表現しにくい空気感を視覚的に伝える手段です。求職者は、企業の制度や給与以上に、「この人たちと一緒に働けそうか?」を感覚的に判断しています。イベントの写真には、その“感覚的な魅力”を伝える力があるのです。

採用担当者の立場からすると、「もっと職場の魅力を伝えたい」「誤解なく伝えたい」と思うあまり、求人票の文章が長くなってしまうことも多いでしょう。しかし、求職者の立場からすると、長すぎる文章は読まれないことが現実です。そのときこそ、写真の出番です。

  • 作業風景の1枚で「何をやっている職場か」が伝わる

  • 集合写真の1枚で「職場の年代層や雰囲気」が伝わる

  • 地元イベントの写真で「地域との関係性」が伝わる

これらは、数百文字の説明よりも強く印象に残り、応募の意思決定に直結します。つまり、画像は“文章を補足するもの”ではなく、むしろ“主役”にもなり得る要素なのです。

過去のパンフレットやイベント記録は、人事部門や総務、広報、場合によっては社長室などに眠っていることが多いです。少し手間はかかりますが、「求人用に使えそうな写真や資料がないか」を一度社内で探してみてください。スキャンや写真撮影で画像化するだけで、大きな武器になります。また、素材を持っているのが別部署だった場合は、「使っても良いか」を一言確認してから使用するのがマナーです。社内の素材は財産であると同時に、取り扱いにも配慮が必要です。

新たに写真を撮ることはもちろん大切ですが、すでにある素材を「使い切る視点」もまた重要です。パンフレットや広報誌、地域活動の記録写真は、作成や撮影に時間とコストをかけた貴重なコンテンツです。これらをうまく求人票に組み込むことで、「読ませる」ではなく「見て伝わる」求人づくりが実現できます。「何も用意してないから始められない」ではなく、「社内にあるものでまず一歩踏み出す」ことから始めてみましょう。

6-5 どうしても写真がないときはAI画像を使ってもよい?

求人票や採用広報において、写真は欠かせない要素です。しかし、業種や職種によっては、社内に写真を撮れる人がいない、社屋や職場が撮影に向かない、あるいはそもそも撮影を許可できない事情があるなど、「写真を用意できない」という状況もあります。では、そのようなときに最近注目されているAI画像を使ってもよいのでしょうか。結論から言えば、AI画像はあくまで「最終手段」であり、「イメージ画像」として限定的に活用するのが望ましいです。実際の職場風景や社員の顔が載っていないと、応募者は「実態がわからない」と感じる可能性があります。そのためAI画像は、リアルな情報を補うものではなく、雰囲気を伝えるためのイメージとして慎重に扱う必要があります。

では、AI画像を使う際の具体的な方法について考えてみましょう。まず、求人票の文章に含まれる情報をプロンプトとして入力し、関連するイメージを生成するのが基本です。例えば「アットホームな雰囲気のオフィス」「製造現場で仲間と協力して働く」「パソコンを使って集中している社員」など、職場の特長を短いフレーズにしてAIに指示します。重要なのは、求人票の内容と画像の雰囲気が乖離しないことです。応募者がイメージと実際のギャップを強く感じれば、かえって不信感を招きます。

ここでフリー素材との違いも整理しておくとよいでしょう。フリー素材の写真は実在の人物やオフィスを撮影したものが多く、リアリティは高いものの「どこかで見たことがある」「他社と同じ画像を使っている」といった印象を与えてしまうリスクがあります。一方、AI画像は独自性が高く、求人内容に合わせて細かく調整できる点がメリットです。しかし、逆にリアルさが不足して「作り物っぽい」と見抜かれてしまう可能性もあります。したがって、フリー素材とAI画像のどちらを使うかは、雰囲気の整合性を見極めて判断することが大切です。

さらに忘れてはならないのが、著作権や商用利用のルール、そして虚偽の印象を与えるリスクです。AIで生成した画像は基本的に著作権の帰属が曖昧ですが、利用規約によっては商用利用が禁止されている場合があります。また、「実在の人物や社屋ではないにもかかわらず、あたかも自社の写真のように見せる」ことは虚偽表示につながりかねません。応募者が入社後に「求人で見た環境と違う」と感じれば、早期離職や信頼の失墜につながるでしょう。AI画像を使用する場合は、必ず「イメージ画像です」と明記し、誤解を避ける姿勢が必要です。

まとめると、AI画像は写真が用意できないときの「最終的な補助手段」であり、常用すべきものではありません。基本は社内で撮影した写真を使い、それがどうしても難しい場合に限ってAI画像を「雰囲気を伝える参考」として使う。その際は、求人内容との整合性を確認し、利用規約や著作権を遵守し、応募者に誤解を与えないように明示する。このようにルールを守れば、AI画像は採用広報における新しい選択肢として活用できるのです。

6-6 写真だけじゃない!視覚効果を高めるデザインの工夫

求人票や採用広報において「写真を載せる」ことはもはや当たり前の時代になりました。しかし、ただ写真をそのまま貼り付けただけでは、十分に応募者の心を動かすことはできません。写真は確かに強力な視覚情報ですが、それをどのように見せるか、どんな工夫を加えるかによって印象は大きく変わります。ここでは、写真をより効果的に活かすためのデザイン上の工夫について紹介します。

まず取り入れやすいのが、写真にひと言キャプションを添える方法です。たとえば、社員が笑顔で働いている写真に「未経験スタッフがこんなに成長しました!」と書き添えると、見る人はその写真から具体的なストーリーを想像できるようになります。単に「笑顔の社員」という情報が、「新人でも安心して働ける職場」というメッセージに変わるのです。キャプションは長文である必要はなく、むしろ短いほど効果的です。「チームワークが自慢」「資格取得を応援」「子育て世代も活躍中」といったシンプルな言葉を写真に組み合わせることで、応募者に強い印象を与えることができます。

次に、複数の写真を並べて「物語」を作る工夫です。1枚の写真では伝わらない魅力も、複数のカットを組み合わせることでストーリー性が生まれます。たとえば「朝の朝礼 → 作業風景 → 昼休みの笑顔 → 終業後の集合写真」といった流れを載せれば、1日の働き方や社内の雰囲気が視覚的に伝わります。また、入社式の写真と研修の様子、先輩と後輩の交流シーンを並べることで、成長のプロセスをイメージさせることも可能です。このように「時間の流れ」「役割の違い」「人間関係のつながり」を写真で見せることで、応募者は自分がその場にいるような感覚を得やすくなります。

さらに、近年はCanvaなどの無料デザインツールを使えば、誰でも簡単に見栄えの良いビジュアルを作成できます。写真をただ並べるのではなく、フレームや背景色を加えたり、フォントを工夫したりするだけで、印象は大きく変わります。また、統一感のある配色やフォントを使うことで、会社全体のブランディングにもつながります。ただし、ここで注意したいのは「過度な装飾は逆効果」という点です。デザインに凝りすぎて文字が読みにくくなったり、写真の良さが埋もれてしまったりすれば本末転倒です。あくまでも主役は写真やそこで働く人たちであり、デザインはその魅力を引き立てるための手段にすぎません。シンプルさを基本にしつつ、キャプションや色使いでアクセントを加えるのが最も効果的です。

2025.10.23

求人票を作成するとき、どうしても「言葉」にばかり意識が向きがちです。業務内容、勤務時間、給与、福利厚生……。もちろん、それらは最低限必要な情報です。しかし、実際に応募の“最後の一押し”になるのは、そうした「数値」や「制度」の部分ではありません。
多くの求職者が気にしているのは、「この職場で本当に自分がやっていけるか」「人間関係はどうか」「雰囲気は合いそうか」という、いわば“空気感”の部分です。ところが、この「空気感」というのは、文字だけで伝えるにはあまりにも漠然としていて、しかも伝え手の主観が入りすぎてしまいやすい領域でもあります。こうした“空気感”をもっとも端的に伝えてくれるのが、職場の写真です。

  • スタッフが笑顔で話している様子

  • デスクや作業スペースの整理状況

  • 休憩スペースの雰囲気

  • 外観や社屋の光の入り方

これらは、見る側にとって「どんな環境で働くのか」を瞬時に伝えてくれます。特に初めてその企業に接する求職者にとっては、写真は“第一印象”を決める大きな材料となります。
たとえば「アットホームな職場です」と書いてある求人は数えきれないほどありますが、実際にスタッフ同士が笑顔で交流している写真が1枚添えてあるだけで、説得力は何倍にもなります。「和気あいあい」という言葉より、「自然体で笑っている2人」の写真の方が、遥かに信頼されやすいのです。
また、Z世代・ミレニアル世代など、SNSに慣れ親しんだ世代は、「文章よりも写真・動画で判断する」傾向が非常に強くなっています。求人票をスクロールするスピードも速く、読み込む前に“感覚的に”判断しているケースも多いのが現状です。つまり、求人票に画像がないだけで「情報が不足している」と判断され、応募対象から外れてしまうことすらあるのです。逆に、たった1枚の写真が「応募してみようかな」という心理的ハードルを下げてくれることもあります。特に中小企業や個人経営の事業所の場合、「どんな人が働いているか」「どんな空間か」が想像しづらいため、ビジュアルの有無が応募率に大きく影響します。
よく「写真なんて撮る時間がない」「プロに頼まないといけないのでは」と尻込みする声も聞かれますが、実はスマートフォンで撮った自然な写真の方が、応募者には好感を持たれやすい傾向があります。

  • 作業の合間に撮った風景

  • スタッフがランチを楽しんでいる様子

  • 職場の日常を切り取ったスナップ写真

これらは「無理して取り繕っていない姿」だからこそ、リアルに映ります。そしてその“リアルさ”こそが、求職者の不安を取り除き、「ここなら自分も働けるかも」という気持ちにつながるのです。
文章が伝えるのは“情報”であり、画像が伝えるのは“印象”や“信頼”です。採用活動において、どちらが欠けても「伝わらない求人票」になってしまいます。求人票の作成は、「どんな人に来てほしいか」を考える作業です。その人の目にどう映るかを意識したとき、言葉だけでなく写真というもう一つの“言語”を使うことは、もはや必須といえるでしょう。

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