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2022.08.10
先生業(サービス業)の資金繰りのポイントとは

◆先生業(サービス業)は少ない資金で始められる

先生業(サービス業)は、基本的に何らかの情報を提供するサービスですので、他の業種に比べて初期の設備投資が少なくなります。 自宅で開業し、鉄道や公共交通機関を通じて移動する等、突き詰めれば、初期費用はほとんどかからず始めることが可能な業種です。 業種によっては、サービスの提供後に現金を受け取る場合や、前もって代金を受け取っておく場合もあり、 利益が上がっている場合には、資金繰りに困ることもあまりありません。

このような傾向にあるため、一般的に追加の運転資金が必要とならない業種であり、金融機関から運転資金を得ることが難しい業種です。 しかし、高いサービスを提供し続けるためには、知識や技術等の向上に伴う情報収集が欠かせません。 業種によっては、そのために多額の費用が掛かる場合があります。

運転資金の確保のため、あらかじめ自己資金を用意するか、起業前に運転資金の融資を受けるなどが必要となります。

 

◆銀行から信頼を得る

先に述べたとおり、先生業(サービス業)は運転資金を借りることが難しい業種です。 特に開業後に、資金繰りが悪化した場合の借り入れは容易ではありません。 それは、先生業(サービス業)が開業後に必要とする運転資金の借り入れは赤字の補填の場合が多いからです。 赤字の補填の場合には、金融機関に対して、回復までの具体的なビジネスモデルが提供などハードルが高くなります。

サービス業の事業拡大は人員の拡大とセットになることが多く、売上が大きく伸び資金に余裕がある場合でなければ、 新しく雇用する人員への給与等が大きな負担となります。 この場合は運転資金として借り入れを行うのに十分な理由がありますので 運転資金としての融資を受けることが可能です。

金融機関からの融資条件を少しでも良い条件(必要な資金 / なるべく早く / 少しでも低利率)で融資してもらうためには、 金融機関が納得できる交渉が必要です。 金融機関から信用を得るためには、財務諸表の数字、経営者の姿勢、資金の使用状況、返済実績、取引振りなどを通じて高めていきます。 その他に、融資を得ようとする金融機関に売上の入金先をまとめることで、情報を積極的に開示するなども 金融機関との信頼関係を高める方法になります。

金融機関としては、利益が出ていないのに、新規開拓や営業努力が見られない期間が何年も続けば、信頼することができません。 他にも、資金を事業以外へ流用している、約束が守られない、利率だけでころころ借入先が変わる等があると信頼関係は崩れます。

金融機関はお金を貸し、貸した先の業績を好転させ、利息を払ってもらい利益を得る営利企業です。 返してもらえる当てがない、利息が払ってもらえない、そんな会社に資金を融資することはできません。 「あの自動車会社、ただで車くれないんだぜ、ケチだな!」とは言いませんよね。 「あの銀行、返せる確率が低い金、貸してくれないんだ、ケチだな!」と言っていませんか?

◆財務体質を改善し無借金を!

資金繰りを良い会社と、金融機関の信頼を得られる会社というのは基本的に同じです。 そのためにまず行う財務状態の改善は、そのまま良い財務体質を作り上げることと同じです。 どのような財務状態を作りたいのか、明確な目的を定めて戦略的に行うことがとても重要です。

基本的な目安として、預貯金が総資産の30%以上、自己資本比率30%以上という指標があります。 運転資金に使える現金・預金を合わせた合計が、全資産(現金・預金含む)の総額の30%以上というのが「預貯金が総資産の30%以上」になります。 また、純資産の部という資本金やこれまでの利益の合計が、全資産の総額の30%以上というのが「自己資本比率30%以上」になります。

この数字は一応の目安ですが、先生業(サービス業)が設備投資が少ない・借り入れが少ないという特徴を踏まえるとと 30%以上を満たしていたとしても、資金繰りが苦しくなる場合もあります。 その場合には、実額ベースで資金状況を確認し、資金繰り表を作成してみることをお勧めします。

なお、純資産の部がマイナスになる債務超過は資金を考えるうえで、様々な点で問題が生じますので、債務超過となっている場合、まずは純資産の部をプラスにすることが重要です。

先生業(サービス業)の場合には、先に述べた通り、金融機関との取引はあまり密になりません。 正しい経営、正しい財務状況であれば、事業拡大のための融資は問題なく得られるため、基本的に無借金経営を目指してください。