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2022.08.04
建設業の差別化のポイントとは

◆自社の強みを知る

継続的に安定した経営を行っていくためには「差別化」が必要です。 そのために必要なことは自社の強みをしっかり把握し、その強みを磨いて勝負をすることです。

例えば、新築を請け負う元請け型工務店について考えます。 大手ハウスメーカーであれば、新築もリフォームも、すべての年齢・性別を対象に商品展開し 全方位的に顧客を集める営業活動もコマーシャルも行うことができます。

しかし、小規模・零細企業や個人事業者は、人・モノ・金・情報のすべてが足りません。 そのため、同じように万人受けする商品を提供して勝負することはできません。

この分野のこのお客様相手なら、大手メーカーより強いという部分をみつけ、そこを磨き、そこで戦っていくことビジネスモデルを作ることが最も効果的です。 これこそが最も効果的な差別化です。差別化をして勝負を始めたら、お客様のニーズを聞きながらどんどん修正します。 そうして、より真似しづらく価値の高い差別化に作り上げていきます。

大手のメーカーにとっては、特定分野に特化することは、総合的にマイナスになることの方が多いため真似をする資本があっても真似はなかなかしてきません。

 

◆長期的な経営戦略

強みをもとに差別化を行うためには長期的な経営戦略が必要不可欠です。 なぜなら、○○の強みがあるから、これを活用して□□の商売を行おうと思っても、 自社の□□ビジネスの拡大にはかなりの時間がかかるからです。

例えば、元請け型工務店であれば、広く認知をしてもらうことや集客をするためにはかなりの時間が必要です。 下請け型工務店であれば、元請けのニーズとマッチしていれば良いですが、下請けのメリットと元請けのメリットがすぐに一致することは稀であり、 なかなか導入してもらえません。

ビジネスモデルの変更に当たっても、原則的に急激な変更は経営上、非常に危険です。 今すぐ変えなければ倒産するという危機意識が共有できているほどでなければ、 社長のスピードに周りがついてこられません。

また、急激な変化は大きなリスクを伴います。ビジネスモデルを大きく変えた先には、その分野のプロがいて、簡単には勝てません。 新しいビジネスを小さく始め、じっくり育てる長期的な計画が重要です。

 

◆「脱下請け」と集客の仕組み

下請け型建設業の基本的な差別化戦略に「脱下請け」があります。 自社の強みを最大限生かし、元請け化するという戦略です。 下請けを行っている限り、価格を元請けにコントロールされてしまうので、なかなか利益が上がらないためです。 特に元請けとの1社専属の場合、価格交渉や仕事の交渉では元請けのほうがはるかに強いことが多く 値下げや景気動向に応じた業務量の低下で、経営が苦しくなります。

もちろん脱下請けには長い時間がかかります。 最も重要なことは脱下請けを進めるうえで元請けとトラブルにならないようにすることです。 元請けとトラブルになり、取引がすべて停止されてしまうと会社が回りません。

自社が元請けとなるためには集客の仕組みが必要です。 営業を掛ける、チラシを配る、Webを使う、口コミを活用する。 様々な集客方法がありますが、それぞれに一長一短があり、基本的には複合的に活用します。 しかし、これまで下請けであった事業者の場合、集客を1から行う必要があるため時間がかかります。

この集客の仕組みづくりは現在、元請けとして事業を行っている工務店にももちろん効果的です。 仕組みが作られていないと散発的な売上となり、経営が安定しません。 様々な媒体や人員を、自社の戦略に合わせて時間をかけて仕組み化していきましょう。

 

◆交渉力の高い下請け

下請け型建設業の場合、脱下請け以外の差別化戦略に、「替えの効かない下請け」を目指すという戦略があります。 単なる下請けの場合、元請けとの交渉力が低く経営が苦しくなりますが、 元請けにとってなくてはならない下請けであれば、対等な交渉が可能です。

また、交渉力を上げる方法には、元請けに依存しない下請けという戦略もあります。 下請けの最大のデメリットは元請けに売上がコントロールされてしまうことです。 しかし、多数の元請けと取引し、どこかへの依存のない状態であれば、 特定の元請けとの取引停止も視野に入れた交渉が可能となります。

 

◆価格競争のない元請け

元請け型工務店の場合、大手や他社との差別化により、いかに価格競争をせず、集客につなげるかがポイントになります。 例えば、ある一部のユーザーだけが非常に高いニーズのある専門性の高い建設のような競争相手が少ない業者であったり、 あの業者にリフォームをお願いしたいという口コミ拡大型の業者などがあります。

ポイントとしては必要以上に広い範囲で競争をしない事です。広い立地、広い市場では 自社の特異性を表現しづらく、また、競争範囲で1番になれないなど、認知も低くなってしまいます。

どのような差別化戦略であっても、一朝一夕にできるものではありません。 自社の強みをもとに、じっくりと時間をかけてビジネスモデルを作り上げる 戦略と忍耐が必要です。そして、それに耐えうる財務状態を作ることが必須です。