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2025.11.06
コラム:きれいなHPも大事、でも一番大事なのは「中身」

本書では、ChatGPTをはじめとする生成AIを活用して、求人専用ページ(LP)をHTMLで直接作成する方法を紹介してきました。画像ファイルと求人情報を用意し、AIに「HTML構造で出力して」と依頼すれば、かなり実用的な求人ページが生成されます。とくに、求職者に「職場のリアルな空気感」を伝えるには、テキストと写真を自社で用意し、それらを活かした構成で丁寧にページを組み立てることが重要です。

こうした作業は、従来であれば専門のWeb制作会社に依頼するか、HTML/CSSの知識を持つスタッフが社内にいなければ難しいものでした。しかし今では、AIを活用することで、ゼロから自力で作ることも十分に現実的な選択肢となりました。

■ AIエージェントは「頼れるけど、全部はやってくれない」

最近では、AIエージェント(Agent)と呼ばれる仕組みも登場しています。これは、ユーザーの指示を受けて「調査 → 要約 →文書化」など一連のタスクを自動でこなす、まさに“秘書のようなAI”です。今後、HTML編集や画像生成、サイトの公開作業までもAIが一括で担う未来が来るかもしれません。

しかし、本稿執筆時点では、AIエージェントがノーコードツールと連携して、自動的にクラウド上にページを公開したり、デザインを操作したりすることは難しいのが現状です。まだ「素材を作る」「構成案を出す」までが中心で、実際にページを仕上げて公開する作業は、人間側の手作業が必要になります。

■ 自分で作るなら「ペライチ」や「Wix」も有効な選択肢

そのようなときに役立つのが、ペライチ、Wix、STUDIO、Jimdoなどに代表されるクラウド型ノーコードツールです。これらは、ドラッグ&ドロップの操作で美しい求人ページを作成できるサービスで、特にWeb制作の知識がない人にとっては強力な味方です。

テンプレートを選んで、写真や文章を差し替えるだけで、プロが作ったようなページが完成するのは大きな魅力です。スマホ対応もデフォルトで備わっており、フォーム機能やSNS連携などもワンクリックで追加できます。クラウド上で完結するため、サーバーやFTPの知識も不要で、公開までも非常にスムーズです。

ターゲットが若年層の場合や、ビジュアル面の印象が強く影響する業種(美容・アパレル・飲食など)では、「見た目の美しさ」も採用活動の成否に直結することがあります。そうした場合は、ペライチやWixのようなノーコードツールを活用するのは非常に理にかなった戦略と言えるでしょう。

■ でも、一番大事なのはやっぱり「中身」

ただし、どれだけスタイリッシュなページを作っても、「内容」が薄ければ、応募者の心には届きません。求職者は、数ある求人の中から「自分に合った職場」を探しています。おしゃれなレイアウトやきれいな配色よりも、「自分がここで働く姿を想像できるかどうか」が判断基準になるのです。

そのためには、やはり中身――つまり、「写真」「社員の声」「仕事内容」「理念や価値観」など、自社のリアルな情報が不可欠です。本書で紹介したように、ChatGPTを活用して構成を整えたり、社員にアンケートをとってインタビュー記事を作ったり、日常のスナップ写真を活用したりすることが何より大切です。

ノーコードツールは、そうして準備した“中身”をより魅力的に「見せる」ための手段にすぎません。順序を間違えてはいけません。まずは伝えるべき情報をしっかり用意し、それを最適な形で届けるためにツールを選ぶ――この順番を守ることが、採用LPづくりの基本です。

■ 最後に:中小企業にとっての現実解として

特に中小企業や小規模事業者にとって、時間もお金も人手も限られています。その中で「なるべく費用を抑えつつ、応募者にしっかり伝える求人ページを作りたい」と考えるなら、「AIで中身を作り、ノーコードツールで仕上げる」という組み合わせは、現実的かつ効果的な方法です。

理想を言えば、プロのデザイナーに外注したり、撮影チームを呼んだりするのが一番かもしれません。しかし、限られたリソースで採用を成功させるには、「中身を自分で作り、見せ方を工夫する」という姿勢が必要です。そのための道具として、生成AIとノーコードツールは、これ以上ないパートナーになってくれるはずです。