6-1 まずはAIに「どんな画像が合うか」聞いてみよう
求人票を作る際、テキスト情報はかなり具体的に整っていても、「どんな写真を載せたらいいか分からない」という悩みは多くの企業に共通しています。そこで活用してほしいのが、ChatGPTなど生成AIに“画像のイメージ”を聞いてみることです。画像生成AIでなくとも、ChatGPTのような会話型AIは「この求人に合う写真構成を3つ提案して」といった相談にも柔軟に応じてくれます。撮影計画のヒントや、必要な写真の方向性をつかむためのツールとして、まずAIに相談するところからスタートしてみましょう。
やり方はとてもシンプルです。まず、自社で作成した求人票の本文をChatGPTにコピー&ペーストします。次に、以下のような指示を与えるだけで、AIが写真のイメージや構図案を提案してくれます。たとえば、
「この求人票の内容に合った写真の構図案を3つ教えてください」
「この求人に興味を持ちそうな人が安心するような、職場の雰囲気が伝わる写真の種類を提案してください」
このようなプロンプト(指示文)に対して、ChatGPTはたとえば以下のような回答をしてくれます。
作業中の社員を自然に撮影した写真(工場現場、事務所でのPC作業など)
休憩中の談笑シーン(社内の人間関係の雰囲気を伝える)
オフィスや店舗の内観(清潔感・働きやすさの視覚情報)
こうした提案は、AIがこれまで学習した大量の求人情報や広告データから、効果的なビジュアル表現を抽出したものです。初めての採用担当者でも、ある程度“使えそうな案”が得られるため、ブレスト(アイデア出し)としてとても有効です。
実際に使えるプロンプトとして、以下のような言い回しを参考にしてください:
「この求人票に合う写真構成を3〜5個、箇条書きで出してください」
「応募者が安心できるような写真素材の案を提案してください」
「中途採用向けで、職場の雰囲気が伝わる写真のアイデアを教えてください」
「この求人票をもとに、実際にスマホで撮影可能な構図を教えてください」
「求職者が“ここで働いてみたい”と感じる写真の特徴を5つ挙げてください」
こうしたプロンプトは、「目的(安心感、信頼感)」「対象(若年層、中高年、主婦層など)」「撮影手段(スマホ、自然光)」などを含めると、より具体的な提案が返ってくる可能性が高まります。
AIから得た写真構成案は、単なるアイデアとして終わらせず、実際に撮影計画に落とし込むことが重要です。以下のようなステップを踏むことで、具体的なアクションに移しやすくなります。
必要な写真のリストを作る
→ 作業風景/社員インタビュー風景/オフィスの一角/集合写真/昼休みの様子など誰に出演してもらうかを決める
→ 自然体で映ることが大切なので、いつもの雰囲気が出せる社員に声をかける撮影のスケジュールを調整する
→ 営業日・勤務中にサッと撮れるように段取りを工夫スマホでも十分。とにかく“今あるもので撮る”意識を持つ
→ 光の当たり方や背景を少し工夫するだけで、格段に印象は変わる
ChatGPTに聞くことで、「何を撮ったらよいか分からない」という最初のハードルを越えられます。そしてそこから、自社らしい雰囲気を“見せる”写真を用意するための土台を整えることができるのです。
写真というのは「見てすぐ伝わる」情報のかたまりです。しかも、今やスマホ一つで十分なクオリティの写真が撮れます。「カメラマンを雇うのは無理」「いい構図が思いつかない」といった不安も、ChatGPTをうまく使えばある程度解消されます。まずは聞いてみる、そして自分たちの“日常”をそのまま写真にしてみる。そんな一歩が、求人票の印象を大きく変える第一歩になるのです。
6-2 会社の“リアルな空気”を写真で伝えるには?
求人票に「職場の雰囲気が伝わる写真を載せましょう」と言われても、多くの中小企業では「カメラもないし、プロに頼むのも大変」と悩むことでしょう。しかし実は、スマホで撮った自然なスナップショットこそが、求職者にとって“信頼できる写真”なのです。今回は、会社のリアルな空気感を写真で伝えるためのポイントを解説します。
特別なカメラや編集ソフトは不要です。スマホで撮れる自然な写真で構いません。むしろ、作り込まれすぎた写真より、日常のリアルを切り取ったスナップ写真の方が、見る人の心に響きます。無理にポーズを取らせるよりも、普段通りの姿を撮るほうが「ここで自分も働くイメージ」が持ちやすくなるからです。とはいえ、ただ何でも撮ればいいというわけではありません。どんなシーンを撮るか、どんなことに注意するかを知っておくことで、求人票の魅力を何倍にも高めることができます。次のようなシーンは、職場の雰囲気や人間関係の良さが伝わりやすいため、撮影におすすめです。
作業中の様子
社員が仕事に取り組んでいる姿。製造業なら機械を操作しているシーン、オフィスならPC作業をしている様子など。「働いている姿」が求職者にとって一番リアルに感じられる瞬間です。休憩中・談笑の様子
リラックスした雰囲気の写真も重要です。社員同士が和やかに話している姿は、人間関係や職場の空気感を伝える手段になります。集合写真
小規模な会社ほど、社員全員での集合写真は効果的です。人数やバランスが一目でわかるだけでなく、「顔が見える会社」は安心感につながります。
自然なスナップといっても、最低限の見栄えは必要です。以下のポイントに注意しましょう。
背景の整理
散らかった机やゴミ箱が映り込まないように。不要なものは一時的に片づけ、なるべくスッキリした背景を選びましょう。服装の清潔感
普段着のままでOKですが、汚れた作業着や乱れた髪型などは避けたいところ。少し整えるだけで印象は大きく変わります。光の当たり方
暗い写真や逆光の写真は雰囲気が伝わりにくくなります。窓際の自然光を活用する、部屋の照明を補うなどの工夫をしましょう。表情とポーズ
カメラを意識しすぎると不自然になります。むしろ無理にポーズを取らせるよりも、作業中の自然な表情をそっと撮るぐらいでちょうど良いのです。
すでに社内で使っているパンフレットやSNSの写真があれば、それを流用するのも有効です。とくに以下のような素材は、求人票でも十分に使える価値があります。
会社案内パンフレットのスタッフ紹介写真
地元イベントや展示会の参加時に撮影した写真
社内報やブログ、Instagramに投稿していた写真
これらはすでに“社外向け”として発信されている写真ですので、再活用しやすく、社内でも使い回しの許可を得やすい素材です。また、過去の社員旅行や懇親会の写真も、人間関係を伝える材料として効果的です。できるだけ従業員には顔出しをしていただきたいですが、個人の顔が明確に映る場合は必ず本人に使用の許可を取るようにしましょう。
求人票に載せる写真に求められるのは、決してプロレベルの画質ではありません。求められるのは「ここで自分も働けそう」という実感を持ってもらえる写真です。そのためには、リアルで自然な空気感、働く人の表情、会社の日常の一場面を切り取ることが何よりも大切です。スマホで、今いる人を、今のままに。その一枚が、未来の仲間との出会いにつながるかもしれません。
6-3 「映え」より「伝わる」を意識した撮り方のコツ
求人票に掲載する写真や画像において、私たちはつい「映えるかどうか」「見栄えがいいかどうか」を気にしてしまいがちです。もちろん見た目の良さは大切ですが、それ以上に重要なのが「どんな職場なのかがリアルに伝わるかどうか」です。ここでは、“伝えること”を目的とした写真撮影の基本と、誰でも実践できるコツを紹介します。
まず大前提として、高価なカメラ機材やプロ並みの編集スキルは不要です。むしろ、スマートフォンでも十分ですし、重要なのは「誰が」「何を意図して」撮るかです。たとえば、社内の雰囲気をよく知る社員が、同僚の自然な姿を撮る場合、リラックスした表情や日常の空気感を引き出しやすくなります。一方で、プロのカメラマンが一瞬だけ職場を訪れたとしても、ただ“整っただけ”の写真になることも少なくありません。つまり、機材のクオリティよりも「撮影者と被写体の関係性」や「職場の理解」が重要だということです。写真が伝えるべきは“現場の温度”であり、そのリアルさこそが応募者の心を動かします。
「写真を撮ります!」とカメラを向けると、どうしても皆が構えてしまい、不自然な表情になります。多くの場合、こうした“カメラ目線”の写真はどこか堅苦しく、見る側にとっても「演出感」が伝わってしまいます。おすすめは、作業中や会話中の“ふとした瞬間”を撮ることです。例えば:
製造ラインで真剣に作業する様子
休憩中に自然と笑顔がこぼれたシーン
会議中に誰かの話にうなずいているところ
こうした場面は、演出ではない“リアルな表情”が多く含まれており、求職者にとって「この人たちと働くんだ」というイメージがしやすくなります。どうしてもポーズ写真が必要な場面(集合写真など)では、撮る前に軽く会話をして場を和ませたり、撮影中にジョークを挟むなどして自然な笑顔を引き出す工夫をすると良いでしょう。「きれいな写真」を目指すよりも、「いい雰囲気が伝わる写真」を意識してください。求人票に掲載する写真は、単なる“おまけ”ではなく、職場の空気を言葉以上に伝える大事なコンテンツです。応募者にとっては、「この会社、雰囲気よさそう」「なんか安心できるかも」という印象の入り口になります。
スマホで、職場の日常を、あなたの目線で切り取ってください。それだけで、言葉では伝えきれない魅力が、きっと届きます。
6-4 パンフレット・社内資料・イベント写真も使える
求人票に「画像を添える」というと、多くの方が“わざわざ撮影しなければならない”と考えがちです。しかし、実はあなたの会社にはすでに使える「視覚素材」が眠っていることが少なくありません。先に述べたように、過去に作った会社案内のパンフレットや、社内イベントの写真、広報誌や社内報など。これらはすべて、あなたの職場のリアルな雰囲気を伝える貴重なビジュアル資産なのです。採用活動のために作成されたパンフレットや会社案内資料があるなら、それはそのまま求人画像に活用できます。紙媒体であっても、スマホで撮って画像化したり、PDFから切り出したりすることで、求人票に「視覚的な補足情報」を付け加えることが可能です。
特に、以下のような内容は有効です:
社員インタビューの一部(写真+コメント)
オフィスや工場の外観・内観写真
福利厚生や取り組みを図解したページ
職場の一日の流れ(イラストや写真付き)
こうした情報は、「文字で説明しようとすると長くなってしまう内容」をひと目で伝える力を持っています。求人票がWeb媒体に掲載されることを考えると、画像による訴求はむしろ“読ませる前に伝える”重要なポイントになるのです。
地域密着型の企業や、社員の結びつきが強い職場では、地元のお祭りやイベントへの参加、社内の懇親会などの様子も積極的に素材として活用すべきです。
たとえば:
地域清掃ボランティアに参加した写真
夏祭りでの出店風景
新年会やBBQなどの社内レクリエーション
これらは、「人間味」や「働く人の関係性」「楽しそうな雰囲気」といった、文章では表現しにくい空気感を視覚的に伝える手段です。求職者は、企業の制度や給与以上に、「この人たちと一緒に働けそうか?」を感覚的に判断しています。イベントの写真には、その“感覚的な魅力”を伝える力があるのです。
採用担当者の立場からすると、「もっと職場の魅力を伝えたい」「誤解なく伝えたい」と思うあまり、求人票の文章が長くなってしまうことも多いでしょう。しかし、求職者の立場からすると、長すぎる文章は読まれないことが現実です。そのときこそ、写真の出番です。
作業風景の1枚で「何をやっている職場か」が伝わる
集合写真の1枚で「職場の年代層や雰囲気」が伝わる
地元イベントの写真で「地域との関係性」が伝わる
これらは、数百文字の説明よりも強く印象に残り、応募の意思決定に直結します。つまり、画像は“文章を補足するもの”ではなく、むしろ“主役”にもなり得る要素なのです。
過去のパンフレットやイベント記録は、人事部門や総務、広報、場合によっては社長室などに眠っていることが多いです。少し手間はかかりますが、「求人用に使えそうな写真や資料がないか」を一度社内で探してみてください。スキャンや写真撮影で画像化するだけで、大きな武器になります。また、素材を持っているのが別部署だった場合は、「使っても良いか」を一言確認してから使用するのがマナーです。社内の素材は財産であると同時に、取り扱いにも配慮が必要です。
新たに写真を撮ることはもちろん大切ですが、すでにある素材を「使い切る視点」もまた重要です。パンフレットや広報誌、地域活動の記録写真は、作成や撮影に時間とコストをかけた貴重なコンテンツです。これらをうまく求人票に組み込むことで、「読ませる」ではなく「見て伝わる」求人づくりが実現できます。「何も用意してないから始められない」ではなく、「社内にあるものでまず一歩踏み出す」ことから始めてみましょう。
6-5 どうしても写真がないときはAI画像を使ってもよい?
求人票や採用広報において、写真は欠かせない要素です。しかし、業種や職種によっては、社内に写真を撮れる人がいない、社屋や職場が撮影に向かない、あるいはそもそも撮影を許可できない事情があるなど、「写真を用意できない」という状況もあります。では、そのようなときに最近注目されているAI画像を使ってもよいのでしょうか。結論から言えば、AI画像はあくまで「最終手段」であり、「イメージ画像」として限定的に活用するのが望ましいです。実際の職場風景や社員の顔が載っていないと、応募者は「実態がわからない」と感じる可能性があります。そのためAI画像は、リアルな情報を補うものではなく、雰囲気を伝えるためのイメージとして慎重に扱う必要があります。
では、AI画像を使う際の具体的な方法について考えてみましょう。まず、求人票の文章に含まれる情報をプロンプトとして入力し、関連するイメージを生成するのが基本です。例えば「アットホームな雰囲気のオフィス」「製造現場で仲間と協力して働く」「パソコンを使って集中している社員」など、職場の特長を短いフレーズにしてAIに指示します。重要なのは、求人票の内容と画像の雰囲気が乖離しないことです。応募者がイメージと実際のギャップを強く感じれば、かえって不信感を招きます。
ここでフリー素材との違いも整理しておくとよいでしょう。フリー素材の写真は実在の人物やオフィスを撮影したものが多く、リアリティは高いものの「どこかで見たことがある」「他社と同じ画像を使っている」といった印象を与えてしまうリスクがあります。一方、AI画像は独自性が高く、求人内容に合わせて細かく調整できる点がメリットです。しかし、逆にリアルさが不足して「作り物っぽい」と見抜かれてしまう可能性もあります。したがって、フリー素材とAI画像のどちらを使うかは、雰囲気の整合性を見極めて判断することが大切です。
さらに忘れてはならないのが、著作権や商用利用のルール、そして虚偽の印象を与えるリスクです。AIで生成した画像は基本的に著作権の帰属が曖昧ですが、利用規約によっては商用利用が禁止されている場合があります。また、「実在の人物や社屋ではないにもかかわらず、あたかも自社の写真のように見せる」ことは虚偽表示につながりかねません。応募者が入社後に「求人で見た環境と違う」と感じれば、早期離職や信頼の失墜につながるでしょう。AI画像を使用する場合は、必ず「イメージ画像です」と明記し、誤解を避ける姿勢が必要です。
まとめると、AI画像は写真が用意できないときの「最終的な補助手段」であり、常用すべきものではありません。基本は社内で撮影した写真を使い、それがどうしても難しい場合に限ってAI画像を「雰囲気を伝える参考」として使う。その際は、求人内容との整合性を確認し、利用規約や著作権を遵守し、応募者に誤解を与えないように明示する。このようにルールを守れば、AI画像は採用広報における新しい選択肢として活用できるのです。
6-6 写真だけじゃない!視覚効果を高めるデザインの工夫
求人票や採用広報において「写真を載せる」ことはもはや当たり前の時代になりました。しかし、ただ写真をそのまま貼り付けただけでは、十分に応募者の心を動かすことはできません。写真は確かに強力な視覚情報ですが、それをどのように見せるか、どんな工夫を加えるかによって印象は大きく変わります。ここでは、写真をより効果的に活かすためのデザイン上の工夫について紹介します。
まず取り入れやすいのが、写真にひと言キャプションを添える方法です。たとえば、社員が笑顔で働いている写真に「未経験スタッフがこんなに成長しました!」と書き添えると、見る人はその写真から具体的なストーリーを想像できるようになります。単に「笑顔の社員」という情報が、「新人でも安心して働ける職場」というメッセージに変わるのです。キャプションは長文である必要はなく、むしろ短いほど効果的です。「チームワークが自慢」「資格取得を応援」「子育て世代も活躍中」といったシンプルな言葉を写真に組み合わせることで、応募者に強い印象を与えることができます。
次に、複数の写真を並べて「物語」を作る工夫です。1枚の写真では伝わらない魅力も、複数のカットを組み合わせることでストーリー性が生まれます。たとえば「朝の朝礼 → 作業風景 → 昼休みの笑顔 → 終業後の集合写真」といった流れを載せれば、1日の働き方や社内の雰囲気が視覚的に伝わります。また、入社式の写真と研修の様子、先輩と後輩の交流シーンを並べることで、成長のプロセスをイメージさせることも可能です。このように「時間の流れ」「役割の違い」「人間関係のつながり」を写真で見せることで、応募者は自分がその場にいるような感覚を得やすくなります。
さらに、近年はCanvaなどの無料デザインツールを使えば、誰でも簡単に見栄えの良いビジュアルを作成できます。写真をただ並べるのではなく、フレームや背景色を加えたり、フォントを工夫したりするだけで、印象は大きく変わります。また、統一感のある配色やフォントを使うことで、会社全体のブランディングにもつながります。ただし、ここで注意したいのは「過度な装飾は逆効果」という点です。デザインに凝りすぎて文字が読みにくくなったり、写真の良さが埋もれてしまったりすれば本末転倒です。あくまでも主役は写真やそこで働く人たちであり、デザインはその魅力を引き立てるための手段にすぎません。シンプルさを基本にしつつ、キャプションや色使いでアクセントを加えるのが最も効果的です。