求職者が求人を探すとき、最初に目にするのは一覧画面に表示されるタイトルです。これは言うなれば“第一印象”のようなもの。ほんの数秒で「これ、気になる」と思わせられるかどうかがすべてです。ただし、タイトルだけで応募が決まるわけではありません。興味を持った求職者は、必ず求人本文を読み込みます。仕事内容、職場の雰囲気、待遇、求める人物像……。ここに“納得感”がなければ、どんなに魅力的なタイトルでも応募には至りません。
つまり、タイトルで得た「関心」を、本文で「信頼」へと変換する。この2段構えがあって、初めて“読まれる求人”から“選ばれる求人”になるのです。
たとえば、タイトルに「在宅勤務OK!柔軟な働き方」と書いてあったのに、本文を読むと「基本は出社、在宅は応相談」と書かれていたらどうなるでしょうか。求職者は裏切られた気持ちになり、すぐにページを閉じるでしょう。これは、単なる記載ミスでは済まされません。「ああ、この会社は応募者を釣るためにいい加減なことを書いているのだな」と受け取られてしまうリスクがあるのです。タイトルと本文の整合性は、思っている以上に重要です。
AIで本文を作成する場合も、「自動で出力される内容に任せきり」では、こうしたズレが起きがちです。タイトルで「自由な職場」とうたっておきながら、AIが生成した本文が「チームワーク重視」「細かいルールあり」のような内容になっていたら逆効果です。実は、本文こそAIが最も力を発揮できるパートです。論理的に文章を構成し、わかりやすく分かち書きをしてくれる点では、人間以上かもしれません。特に中小企業では「文章を書くのが苦手」「表現が毎回ワンパターンになる」といった悩みを持つ方も多いでしょう。そこをAIがカバーしてくれるのは非常に大きなメリットです。さらにAIなら、求職者目線の言葉を意識した表現も得意です。「アピールポイントを入れて」と指示すれば、職場の特徴をうまく抽出してくれますし、「20代向けの文体で」と言えば、それに応じた柔らかいトーンに変えてくれる柔軟性もあります。
ただし、最後の仕上げはやはり人間の役割です。AIがどれだけ自然な文章を作っても、「この言い方はうちの会社っぽくないな」と思う部分はあるでしょうし、「本当はこうじゃない」といった事実とのズレもあるかもしれません。AIを使ううえで大事なのは、「全部任せる」ことではなく、「下書きとして使う」姿勢です。AIが作った叩き台を元に、企業の温度感を反映する表現へとチューニングする。これが“読まれるだけでなく、信頼される求人”に必要な工程です。
2025.10.16
コラム:タイトルで惹きつけ、本文で信じてもらう
求人票における「タイトル」と「本文」は、実はまったく異なる役割を持っています。第4章では、いかにしてタイトルで求職者の目を引き、クリックしてもらうかに焦点を当てました。ここで一息、次章に入る前に「そもそも、タイトルの先にある本文はどんな意味を持つのか?」を改めて考えてみましょう。