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ブログBlog

2026.08.03
事務所通信 第97号 (2026年8月)

あいさつ

大澤賢悟です。

富士山が7月1日開山しました。今年も観光客でごった返しそうです。しばらく話題に

なっていた「閉山期間中の登山禁止」の議論も、とりあえず一休みになったようです。

私は前々から冬の富士山に登りたかったので、この話題が出始めた2025年1月1日に

登ってきました。勘違いされがちですが、閉山期間は登山禁止期間ではありません。あくまで山小屋等が閉まる期間です。環境省、山梨県、静岡県により構成された富士山オフィシャルサイトでも、閉山期間中は「登ってはいけない」ではなく、必要な要件を守って登ってください、とされています。かなり雑に言えば、「素人はやめてください」という話です。

個人的には救助費用の有料化には賛成です。ただし、救助費用を有料化するのであれば、徴収・回収・現場判断まで含めて制度設計すべきです。取りやすい人からだけ取って、支払わない人や外国人観光客は逃げ得になるのであれば、それは制度というより「お金を取りやすいところから取っているだけ」に見えてしまいます。制度を作るなら、取れる人から取る仕組みではなく、逃げ得を許さない仕組みにしていただきたいです。

 

 

電子帳簿保存法は緩和された。だからこそ、電子データの保存義務はますます高まった

電子帳簿保存法というと、「すべての電子データをダウンロードして保存しなければならない」「ファイル名は日付・金額・取引先を入れないと違法」といった話を耳にすることがあります。しかし、令和6年以降の国税庁Q&Aを見ると、実際の運用はかなり整理されています。

例えば、AmazonなどのECサイトでは、保存期間中いつでも領収書等を確認できる状態であり、電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、必ずしもダウンロードして保存する必要はありません。また、ETC利用証明書についても、すべての利用分を取得・保存する必要はなく、取得した利用証明書のみが保存対象となります。売上高5,000万円以下の事業者では、検索機能の要件も大幅に緩和されており、以前ほど複雑な運用は求められていません。

一方で、誤解してはいけないのは、「電子データの保存義務がなくなった」ということでは決してないという点です。上記のように要件は緩和されましたが、電子取引データを会社が適切に保存するという基本は、まったく変わっていません。税務行政は今後もデジタル化を強力に推進していく方針であり、電子帳簿保存法への対応は、これからの標準的な経理事務になります。制度開始からすでに相当の期間が経過しており、「まだ対応できていない」「私は知らない」という理由が通用する時代ではなく、むしろ保存義務は強くなりました。

特に重要なのは、原始記録となる電子データを会社で適切に保存しておくことです。税務調査では、会社で管理しているシステムやクラウドサービス等に保存された電子データの提示を求められます。原始記録が保存されていなければ、「資料が存在しない」と判断される可能性もあります。また、会計事務所に資料を渡すだけで、電子データを会社で自主的に保存・管理していない等、会社の意思が不十分であることが調査の際に露見すると、その保存状況や関連する取引について、調査官がそこが盲点だと考え、より厳しい指摘を受ける可能性が高くなります。

税理士へお渡しいただくデータは、会計帳簿や申告書を作成するための資料であり、会社が保存すべき原始記録そのものをお預かりして管理するものではありません。税務調査への対応は、会社が主体となって、自社で管理するシステムやクラウドサービス等に原始記録を適切に保存しておくことが原則となります。電子帳簿保存法は以前より運用しやすくなっていますが、だからこそ「原始記録を確実に保存する」という基本だけは、各会社が責任を持って実践しなさいという国税庁からの意思表示です。会計事務所に資料を送っていれば大丈夫という安易な考えは非常に危険です。ご注意ください。

 

 

A5和牛の供給過多に見る、「価値」の賞味期限

和牛の最高ランクとされるA5が増えすぎています。以前はA5であること自体に高い価値がありましたが、生産技術の向上や品種改良によってA5を作る参入障壁が下がれば、当然その価値も下がります。実際、A5の出荷比率は8割近くまで上がり、A4との価格差も縮小しています。

ここで重要なのは、「価値が高い」という基準は固定ではないということです。顧客ニーズや市場環境が変われば、求められる商品も変わります。物価高で消費者や飲食店が価格を重視するなら、脂の多いA5よりも、A4の方がコスパが良いと評価される可能性があります。

むしろ、この事例では、あえて価値が低いとされてきたA4を低コストで安定的に作る方法を考えてもよいと思います。さらに言えば、A3を低コストで作り、「脂が少なくヘルシーな和牛」として売り出す方法もあります。ちなみにA5のAは肉がよく取れる歩留まり、5は脂肪の入り具合などの肉質評価であり、A5だから必ず美味しいというわけではないようです。

 

 

「暗号資産=危ない」で止まっていると、経営判断が遅れます

先日、丸井が若者向けに暗号資産を活用し始めたという記事を紹介しましたが、今回のステーブルコインの記事は、より法人向けの実務に近い話だと思います。ステーブルコインとは、ドルや円などの法定通貨に価値が連動するように設計された暗号資産の一種です。価格変動が大きいビットコインなどとは異なり、決済や送金に使いやすい特徴があります。

米サークルと野村HDは、日本企業向けに外貨の即時決済を始めるとのことです。これまで大規模な為替取引には半日程度かかる場合がありましたが、ステーブルコインを使えば瞬時に外貨へ替え、送金や投資に使える可能性があります。

法人にとって大きいのは、スピードだけではなく手数料や待機資金の削減です。海外送金が必要な企業や、外貨決済が多い事業者には非常に相性がよい仕組みです。消費者としては、普及してから後追いで使えば十分かもしれません。しかし、経営者としては違います。金融・決済・海外取引のコスト構造が変わる可能性がある以上、最低限ウォッチしておく必要がある分野だと思います。

 

「バイトで乙ですね」が煽りに聞こえた話

源泉所得税の話をしていたときのことです。アルバイトとして働いている人について、何気なく「○○さん、バイトなので乙ですね」と説明しました。

ここでいう「乙」とは、源泉徴収税額表の乙欄のことです。扶養控除等申告書を提出している主な勤務先以外から給与を受け取る場合などに使われます。

その人との話が終わった直後、近くで聞いていた人から「なんでそんなに煽っているの?」と横から言われました。意味が分からず聞き返すと、「乙」がネットスラングの「お疲れ」「残念だったね」という表現に聞こえたとのこと。

税務では当たり前の言葉でも、一般の人には別の意味に聞こえる。専門用語には説明が必要だと感じた出来事でした。

 

 

今年の夏は暑すぎますね。気温がいきなり40度を超えたため、最高気温が33度程度と聞くと、涼しく感じてしまいます。暑さに負けず、夏を最後まで元気に乗り切りたいものです。

 

 

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