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ブログBlog

2025.10.02
事務所通信 第87号(2025年10月)

あいさつ

大澤賢悟です。今年の夏山は、次男にとって小学生登山の集大成となる挑戦でした。

登山道に雪が降り始めれば難易度は一気に跳ね上がり、子供と共に夏のような難路へ足を踏み入れることはできません。そのため、この夏にこそ臨むべきと決めたのが、大キレットとジャンダルム。いずれも西穂高から槍ヶ岳を最短で結ぶルート上にあり、一般登山道の中でも最高難度に数えられる区間です。特に、西穂高岳から奥穂高岳を抜けるジャンダルムのルートは「最難関」と呼ばれ、登山者の間でも憧れになっています。

前日の山小屋では、「小学生と一緒に本当にその道を行くのか」と初めて確認を受けました。確かに、岩場の多い難路では、大人と子供の体格差が足場の困難さに直結します。だからこそ、このルートではハーネスを着け、ロープで確実に確保しながら進みました。安全のための一歩一歩に神経を注ぎ、緊張の糸を切らすことはありませんでした。正直ソロなら、どれだけ気が楽かと思う場面もありました。

実際に、私たちが通過する前日に一人、さらに通過してわずか一時間後にも一人が滑落して命を落としています。通過した後ろで救助ヘリが長時間にわたって捜索活動をしているのを見ると、「お世話にならないようにしないといけない」と気が引き締まる思いでした。この夏山の挑戦は、単なる登頂ではなく、次男のこれまでの歩みを凝縮した集大成。難関を越えた経験は、山に限らずこれからの人生においても大きな糧となるに違いありません。

 

リース資産のリスクと借入活用の考え方

事業を始めるときには、売上を生み出すために欠かせない資産が必要になります。運送業であればトラック、歯科医院であれば治療機器、飲食業であれば厨房設備といった具合です。これらを導入する際に「リース」を利用するケースは多く見られます。初期費用を抑えられ、起業直後でも比較的契約しやすいという利点があるからです。しかし、その裏には大きなリスクが潜んでいることを忘れてはいけません。

リース契約の最大の特徴は、資産の所有権がリース会社にある点です。事業者はあくまで「使用する権利」を得ているにすぎません。そのため、万が一リース代金が払えなくなると、契約は解除され、リース資産は返却しなければならなくなります。しかも、残りのリース料を一括で請求されるケースも多く、「資産を失うだけでなく負債が残る」という二重の負担を抱えるリスクがあります。

特に注意が必要なのは、事業の中核を担う主要な資産をリースした場合です。運送業であればトラック、歯科医であれば診療機器を失えば、その時点で本業を継続できなくなってしまいます。つまり、リースの返済不能は単なる資金繰りの悪化にとどまらず、事業そのものをストップさせる危険性をはらんでいるのです。

一方で金融機関からの借入は、返済に行き詰まったとしても「リスケジュール」という仕組みで返済条件を変更できる余地があります。元金返済を一時的に止めて利息のみを支払う、といった措置が認められる場合があるのです。もちろん銀行との交渉や改善計画の提示は必要ですが、事業を続けながら立て直す可能性が残されている点は、リースにはない大きなメリットといえるでしょう。

もちろん、借入もリースも「返済義務のある負債」であることに変わりはありません。大切なのは調達手段そのものではなく、事業計画をしっかり立てたうえで、返済可能な範囲で最小限にとどめることです。起業時にはリースの方が簡単に利用できるため頼りたくなる気持ちは理解できますが、事業の安定性を考えると、むしろ堅実な事業計画を作成して借入を中心に考える方が望ましい選択です。

まとめると、リースは便利な資金調達方法である反面、代金が払えなくなったときのリスクは極めて大きいものです。主要な資産をリースに頼るのではなく、借入や自己資金を組み合わせてリスクを分散し、負債は最小限に抑える姿勢が経営の安定につながります。事業を成長させるための資金調達こそ、慎重に戦略を立てることが求められます。

 

安くて便利 Gemini-API

最近では生成AIをブラウザから気軽に使えるようになり、多くの方が文章作成や情報収集に活用しています。確かに便利なのですが、実際にビジネスで使おうとすると不便を感じることも少なくありません。たとえば同じ作業を何度も繰り返さなければならなかったり、長い文章を作らせると処理が終わるまで手を止めて待たなければならなかったりします。こうした小さな手間が積み重なると、経営の現場では思ったほど効率化につながらないのです。そこで私が試してみたのが、Gemini-APIをPythonというプログラミング言語を通じて利用する方法でした。最初は難しそうに感じましたが、実際に導入してみると驚くほど簡単で、しかもとても便利でした。

一度仕組みを作ってしまえば、何度も同じ操作を繰り返す必要がありません。Pythonに任せておけば自動的にAIが文章を生成してくれるので、人がつきっきりで操作する必要がないのです。夜にまとめて処理を仕掛けておけば、朝には結果が揃っているという使い方もできます。これなら待ち時間を別の仕事に充てられるため、限られた時間を有効に活用できます。さらに大きな魅力はコストです。実際に7000文字ほどの記事を160本生成させたのですが、かかった金額はわずか1846円でした。1本あたりに換算すると10円ちょっと。もし外注に頼めば数万円はかかるであろう作業が、これだけ低コストで済んでしまうのです。しかもGoogleはさらに安価なモデルも発表しており、今後はもっと安く利用できる可能性が高いとされています。

もちろん「Python」と聞くと専門的で難しい印象を持たれる方も多いと思います。ですが、環境設定のやり方はインターネットにあふれており、特別な知識がなくてもマニュアルに沿って進めればすぐに動かせます。もし周りに少しパソコンに詳しい人がいれば、導入のハードルはさらに低くなるでしょう。

人手や資金に余裕がない零細企業こそ、こうした仕組みを取り入れるメリットは大きいと感じます。定型的な作業をAIに任せてしまえば、経営者はもっと大事な判断や顧客対応に時間を使えるようになります。限られたリソースを最大限に活かすための有効な手段として、Gemini-APIをPythonから使う方法はとても有望です。

実際に試してみて、私は「これは経営の強い味方になる」と確信しました。人手不足や外注コストに悩む経営者の方こそ、この便利さを体験してほしいと思います。ブラウザだけでの利用に比べてひと手間かかりますが、その効果は想像以上です。もし「同じ作業を繰り返して時間を無駄にしている」「外注費を抑えたい」と思っているのであれば、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

 

3Dプリンター住宅が変える人手不足時代の家づくり

家づくりの常識が、今まさに大きく変わろうとしています。3Dプリンターを活用して住宅を建てる技術が、いよいよ実用化の段階に入りました。 この新しい工法では、壁面を専用のモルタルで積み上げ、その内部に鉄筋やコンクリートを流し込む構造をとります。従来は熟練の型枠職人が必要でしたが、型枠部分を工場で生産できるため、現場では少人数でも建築が可能です。最近のマンション建築では、建築費高騰の原因が資材価格から人件費に変わりつつあります。3Dプリンター住宅であれば、必要な人数が減り、効率が格段に上がります。結果として、1人当たりの建築棟数が増えると、総人件費を抑えつつ、一人当たりの生産性を高めることで職人の賃金向上が可能になります。販売価格は一般的なハウスメーカーの約半額が想定されており、家を持つことのハードルも大きく下げそうです。 もちろん、新技術ならではの課題もあります。現段階では専用モルタルの価格が高く、また3Dプリンター本体への設備投資も大きな負担です。しかし、普及が進み量産体制に入れば、こうしたコストは確実に低下していくと予想されます。棟数が増えるほど、1棟あたりの費用は大幅に抑えられ、コスト面の課題は時間とともに解決していくでしょう。将来を見据えると、この技術はAIとの融合が期待されます。既にコンピュータ化された基本図面があるため、これをもとに、AI制御の重機が鉄筋やコンクリートの施工まで行えば、建築現場はさらに少人数化できるでしょう。建築の効率性と安全性が飛躍的に向上する未来は、もうすぐそこまで来ています。

「人手不足の時代に、いかに家を建てるか」という課題に挑む3Dプリンター住宅。住まいの常識を変え、未来の暮らしを支える存在として、その可能性は日々広がっています。

 

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