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2022.08.01

◆建設業とは

建設業は一般的に、規模の大きいものはスーパーゼネコンを、小さいものは街の工務店を頂点とした階層構造が作られることが特徴的な業態です。 その階層規模は、元請けから実際に現場で活躍する一人親方まで二次下請け、三次下請けといった多層構造をとることが一般的です。

小規模・零細企業であっても元請けが受注する業務はリフォーム等で数百万円から、新築一戸建てであれば数千万円からと、他の業種と比べて単価が高くなります。 中堅企業が元請けとなる場合、億を超えることも珍しくありません。 このように個々の事業規模が大きくなる傾向にあるため、景気の影響を非常に受けやすいのが特徴です。

そのため各事業者は、工事内容や工事規模に応じて、下請け業者を都度確保することを基本的な経営方針としています。 下請けを効果的に活用することで、社内で抱える人員が削減できるため、固定的にかかる人件費が削減されます。 その結果、景気後退時の売上低下に対応できるといった、経営の弾力性を持たせてきました。

下請け業者は、1社の元請け業者の専属もしくは、1社に売上の多くを依存していることも多く、元請けとの価格交渉、業務交渉に弱い立場にあることが多くなっています。

 

◆建設業の会計上の特徴とは

建設業は、小規模・零細企業や個人事業であっても、先に述べたように個々の事業規模が大きいため、個々の現場の単価が高くなることが会計上の最も大きな特徴です。

そのため、一つの工事に対して、使われる材料や関与する外注が多く、経理の手間暇がかかるため、専任の経理人員がいない場合、経理作業が後回しになります。

しかし、個々の単価が大きいため、きちんとお金の管理を行わないと、受注後の時間経過とともに赤字に陥ったり、ほとんど利益のない現場になることがあります。 これでは頑張っても頑張っても楽になりません。

そのため、適切な売値(各現場の売上)はいくらなのか、適切な仕入れ値(材料・外注等を合わせた原価)はいくらなのかを知らなくてはいけません。 しかし、現場や事業内容、ビジネスモデルなどにより、個々の会社ごとの数字は異なってきます。

まずは、自社が関係している工事の情報をもとに、正しい原価計算を行い、売値、仕入れ値を知ることが重要です。個々の現場の情報を正しく管理し、経営改善に活用することが、とても重要です。

 

◆定期的な確認が重要な3つの理由

経営上の数字は、定期的な確認が必要です。お話を伺うと、「うちはきちんと定期的に確認している」という会社さんでも、小規模・零細企業や個人事業の場合、細かく確認するのは1年に1回、決算のタイミングだけということは珍しくありません。 しかし、1年に1度というスパンでは、現実的にはあまり効果的とは言えません。

① 情報が古い

確認が年に1回では、直近の情報はともかく、それ以外の情報はだいぶ古くなってしまいます。あの時はこうだったけど、今は…。となってしまったら、せっかく振り返っても役に立てることができません。 なるべく新しい情報を活用することが、よりよい経営判断につながります。

② 細かい内容を思い出せない

1年に1度という長いスパンでは、個々の業務の細かい内容を思い出すことができません。例えば、「10か月前に行った工事のこの材料について…」とか「この月の利益率が…」という問題点などを考えようとしたときに なんだっけ?となってしまいます。現に、今、10か月前とは言わなくても半年前の業務のことを細かく思い出せますか?

③ 効果的な改善ができない

スパンが長くなってくると、各工事の問題点がわかるのは、ずっと後のことになります。そのため、その間は問題が改善されないため損失を出し続けることになってしまいます。 そのうえ、②のように細かいことが思い出せないと、実際に改善すべき根本的な理由がはっきりとしません。その結果、効果的な経営改善につなげることができず、利益が伸び悩んでしまいます。 せっかくビジネスモデルを新たにしようと思っても、情報の活用もできません。

 

◆月次で振り返りで経営問題確認を

建設業の経営判断を行う上では、毎月1回の振り返りがおすすめです。 事業規模が大きいことから、1週間単位では、大きな成果が出てきませんので、週に1回精密なチェックを行うと多くの時間がとられてしまいます。

そのため、日ごと・週ごとの振り返りは、業務の実施内容や進捗状況などの数字確認にとどめ、ざっとした振り返りを行ってください。 月に1回、予算(予想していた数字)と実際の数字との差異を確認し、個々の業務内容や目標管理などの現状の経営問題が浮き彫りになってきますので、そのタイミングで調整を行うと効果的です。

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