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2025.10.15
第4章 「タイトルがキモ!」読まれる見出しの作り方

4-1 タイトルが変われば応募が変わる

求人票を書くとき、多くの中小企業経営者や担当者が見落としがちなのが「タイトル(見出し)」の重要性です。ところが実際には、求人タイトルは求人票全体の中でも最もインパクトが大きく、応募者数に直結する要素です。なぜなら、ハローワークでも求人サイトでも、求職者の画面にずらりと並ぶのは「タイトル」だからです。スマホの小さな画面で、一瞬で見比べられる何十件もの求人。目立たなければそもそも読まれません。中身がいくら良くても、クリックされなければ存在しないのと同じ。つまり、タイトルは求人票の「入り口」であり、「命」でもあるのです。

たとえば目を引くタイトルの例をあげると、「製造スタッフ募集」→「未経験OK!土日休み×軽作業」や、「営業職」→「営業未経験からでもOK!ルート中心の法人営業」などです。BeforeのタイトルよりAfterのタイトルのほうが、興味がそそられる可能性が高いですよね。タイトルに「誰向け」「どんな仕事」「メリット(休みや待遇など)」を入れるだけで、読み手の反応は大きく変わります。特に「自分にもできそう」と思わせる要素があると、求職者はグッと引き寄せられます。

それでもなお、求人票のタイトルは軽視されがちです。理由は、「タイトルを考える経験がない」「どうせ他の部分が大事」と思われることもあるでしょうが、一番はその必要性に気づいていないケースです。しかし、これはマーケティングでいうところの「広告見出し」と同じです。チラシでもSNSでも、まずタイトルで引きつけなければ中身を読んでもらえません。スマートフォンに流れてくる広告やYoutubeではインパクトの強いタイトルが多い傾向にあります。これは多くの情報の中で興味を持ってもらうことが目的だからです。このような釣りまがいの行為は良くありません。しかし求職者の立場に立てば、「仕事内容はやさしい?給料はどう?自分に合ってる?」そう考えている時に、「製造スタッフ」や「営業職」だけのタイトルでは、目にも留まらないのです。

ありがたいことに、今はChatGPTなどの生成AIを使えば、魅力的なタイトル案をいくつも出してもらうことができます。例えば、「軽作業×主婦歓迎」「20代活躍中」「地元密着で安心」など、いくつもの要素を組み合わせたタイトル案を、短時間で生成してくれます。

AIは無限にアイデアを出してくれるので、自分の頭だけでは思いつかない表現や、他業種の求人に使われているヒントも手に入ります。しかも、ブラッシュアップも可能です。「もっと若者向けに」「少し真面目なトーンに」など、感覚的な指示にも対応できるのが強みです。

求人票は「文章」ではなく「広告」である――この感覚を持てるかどうかが、求人成功の分かれ道です。広告の世界では、見出しの完成度がその後の反応を9割決めるとも言われています。求人票もまさに同じです。これまで「求人票の内容を丁寧に書こう」と意識していた方も、次の求人ではぜひ「タイトルから始める」という意識に切り替えてみてください。そして、AIという強力な相棒に、見出し作りを手伝ってもらいましょう。

4-2 AIでインパクトのあるタイトル案を複数出す

求人票を作る際、タイトル(見出し)は求職者の目に最初に触れる重要な要素です。そして、この「タイトル案のアイデア出し」において、生成AI――特にChatGPTのようなツールは非常に優秀です。ここでは、ChatGPTを「求人用コピーライター」として活用する方法をご紹介します。

人間がひとりでタイトルを考えると、どうしても視点が固定されがちです。特に中小企業では、毎日の業務に追われ、創造的な言葉をひねり出す余裕などなかなかありません。「とりあえず無難に」「他社もこうしてるし」といった意識で、“埋もれるタイトル”をつけてしまいがちです。しかしChatGPTを使えば、さまざまな角度から、何十通りもの言い回しや切り口を短時間で提示してくれます。 これは、複数のコピーライターを社内に雇ったようなもの。無料または低コストで使えるこのAIを活用しない手はありません。

たとえば、ハローワークで出す「倉庫内軽作業スタッフ」の求人について、ChatGPTに以下のような指示をしてみます。

「20代・30代が多く働く職場で、未経験OK、力仕事少なめ、冷暖房完備、正社員登用あり。そんな求人のタイトル案を10個ください」

すると以下のような案が出てきます。

  1. 【冷暖房完備】未経験歓迎の軽作業!正社員登用あり

  2. 体力に自信がなくてもOK♪力仕事少なめの倉庫スタッフ

  3. 20〜30代活躍中!キレイな倉庫で快適に働けます

  4. 未経験から安定の正社員へ!倉庫内軽作業スタッフ募集

  5. 接客ナシ!モクモク作業で自分のペースで働ける◎

  6. 土日休みOK!プライベートも充実の倉庫ワーク

  7. 倉庫作業=キツいはもう古い!快適職場で働こう

  8. コツコツ派にピッタリ!未経験歓迎の軽作業

  9. 空調完備で快適作業!男女ともに活躍中

  10. 正社員も目指せる!安定勤務の倉庫内ワーク

こうしたタイトルをもとに、さらに「女性向けに寄せた案も」「30代より上を意識して」といった修正も、チャット形式で追加していけます。

求人タイトルには、求職者が検索しそうなキーワードを意識的に入れることも大切です。たとえば「未経験」「土日休み」「正社員登用」「主婦歓迎」「シフト自由」「駅チカ」など。AIにタイトルを作らせる際にも、こうしたキーワードを指定することで、SEO(検索最適化)効果の高いタイトルが生成されます。さらに、「地域名(豊田市・名古屋市など)」や「勤務時間帯(夜勤なし・日勤のみ)」も組み合わせると、よりピンポイントで求職者に刺さります。

ChatGPTから出てきた案をそのまま使うのではなく、複数案から選んで、さらに修正するのがコツです。たとえば、10個のうち3つをピックアップし、次のように指示を出します。

「この3案をベースに、より若年層に刺さる表現に言い換えて」
「“軽作業”の代わりに“かんたん作業”という言い回しにして」
「ハローワークのフォーマットに合うように20文字以内に収めて」

こうしたやりとりを数回繰り返すだけで、自社の求人にぴったりのタイトルが見つかるはずです。

最後に注意点をひとつ。AIは非常に有能ですが、最終的な「OK」を出すのはあくまで人間です。たとえば「目立つけど、やや誇大表現では?」という案も混じってきます。法的に問題がないか、会社の方針に沿っているかなど、判断が必要な部分は人の目でしっかりチェックしましょう。タイトルは、求人の第一印象を決める「広告見出し」です。AIを使えば、センスに自信がなくても、何十通りもの提案をもとに「読まれるタイトル」をつくることができます。

4-3 求職者が検索する条件をどう入れるか?

インターネットで求人情報を探す時代において、求職者が入力する「検索条件」は、求人の“見つけやすさ”を大きく左右する要素です。どれだけ良い職場で、待遇が整っていたとしても、検索結果に出てこなければ意味がありません。求職者の多くは、「エリア × 職種」「条件 × 働き方」など、ある程度絞り込みながら求人情報を探します。
たとえば──

  • 「名古屋市 倉庫 軽作業」

  • 「週3 主婦歓迎 シフト自由」

  • 「正社員登用あり 土日休み」

といった検索条件です。

これは、Googleや求人サイト、ハローワークの検索窓でも共通して言えることで、タイトルや本文にキーワードが含まれていなければ検索結果に出にくくなってしまいます。

キーワードは大きく分けて、以下の4種類に分類できます。

① 地域キーワード

求職者が自宅から通える範囲で探すため、地域名は非常に重要です。

  • 「豊田市」「名古屋市中村区」「○○駅チカ」など

② 職種・仕事内容キーワード

仕事の内容が具体的に伝わる単語を入れましょう。

  • 「軽作業」「ピッキング」「フォークリフト」「清掃」「接客」など

③ 働き方キーワード

ライフスタイルに合う条件で探す求職者に刺さります。

  • 「週3~OK」「シフト自由」「土日休み」「残業なし」「日勤のみ」など

④ 特典・制度キーワード

働くメリットを短く伝える要素も重要です。

  • 「未経験歓迎」「正社員登用あり」「交通費支給」「冷暖房完備」「服装自由」など

ChatGPTなどの生成AIに「求人タイトル案を作って」と依頼する際、上記のようなキーワードをプロンプト(指示文)に必ず入れてください。 たとえば──

「名古屋市内、軽作業、未経験歓迎、週3日OK、冷暖房完備、20〜30代活躍中という条件でタイトルを10個出して」

このように具体的に条件を伝えることで、AIは自動的にキーワードを盛り込んだ見出しを生成してくれます。逆に、キーワードを指示しないと、魅力的なコピーにはなっても、条件にヒットしない見出しができてしまうことにもつながります。注意したいのは、キーワードを羅列しすぎると、逆に読みづらくなるという点です。たとえば──

「名古屋市 軽作業 週3日 未経験歓迎 主婦歓迎 冷暖房完備 駅チカ 正社員登用あり」

といったタイトルは、検索には強いかもしれませんが、ユーザーの目には“スパムっぽく”映ってしまいます。この場合は、本文内にキーワードを散りばめ、タイトルは2~3語に絞るなど、バランス感覚が求められます。

求人媒体の検索傾向を見ると、最近では「やさしい言葉」で検索する人も増えています。

  • 「かんたんな仕事」

  • 「しずかな職場」

  • 「一人でできる」

このような曖昧なキーワードは、求人票には書かれにくいですが、ChatGPTに「そうした検索ニーズに対応した言葉選びをして」と指示することで、案外的確に対応してくれます。どれだけ魅力ある職場でも、求職者の検索に引っかからなければ存在していないのと同じです。AIにタイトルや本文を作らせる際には、「キーワードを意識する」ことを必ず忘れずにプロンプトへ組み込みましょう。

4-4 タイトル案のブラッシュアップ法

求人票において「タイトル」は、いわばお店の看板です。読まれるかどうか、応募されるかどうか。その入口となるのがタイトルです。だからこそ、タイトルは「1回で確定しない」ことが重要になります。

ステップ①:まずは複数案をAIに出させる

タイトルは「一発勝負」ではなく、まず10〜15案をAIに出してもらうのが基本です。
たとえば以下のようなプロンプト(指示文)で依頼します。

「名古屋市での軽作業、週3日勤務OK、未経験歓迎、冷暖房あり。こういった条件で、求人票のタイトル案を15個考えてください。求職者の目を引くようにしてください」

このように、条件・特徴・希望するトーン(インパクト重視、親しみやすさなど)を伝えると、AIはバリエーション豊かな見出しを生成してくれます。

ステップ②:案ごとに“人間の目”でチェック

AIから出力された複数のタイトル案は、以下の4つの観点で評価すると効果的です。

  1. 視認性:目を引く言葉が使われているか

  2. 検索性:求職者が検索するキーワードが入っているか

  3. 訴求力:働きたくなる魅力が伝わっているか

  4. 誤解がないか:事実とズレた誇張がないか

この評価は、社内の別のスタッフや友人に見てもらっても構いません。「実際にこのタイトルだったら応募しそう?」という視点が大切です。

ステップ③:「なぜ良いのか/悪いのか」をAIに伝えて再提案

良さそうな案があれば、それをベースにAIに「もっと改善して」と依頼しましょう。
たとえば──

「タイトル案①の“コツコツ作業”という言葉は良かったです。これを軸に、他の要素も入れて5案出してください」

あるいは──

「このタイトルでは仕事の内容が曖昧なので、“商品の仕分け”と明記して再構成してください」

このように「フィードバックを与えてから再依頼」することで、AIの出力精度が一段と上がります。

ステップ④:「比較用」のタイトルを作ってテストしてみる

最終的にタイトル案が2〜3本に絞られたら、どれを掲載するか悩んでしまうかもしれません。その場合は、2つ以上の案をA/Bテスト的に使ってみるのも手です。

  • ハローワーク用のタイトルと、インディード用のタイトルを変える

  • タイトルだけ変えて、本文は同じまま1週間ずつ様子を見る

  • 自社サイト内でタイトル別クリック率を比較する

このようにして「実際の反応」を見ながら、最も応募に結びついたものを正式採用するといった判断もできます。タイトルの選定は非常に重要です。ポイントとしては、

  • 「親しみやすくする」だけでなく「見つけてもらえる」こと

  • 「何の仕事かが5秒でわかる」こと

  • 「ターゲットに刺さる言葉」が入っていること

等を意識してください。生成AIは、このプロセスを一緒に試行錯誤してくれるパートナーです。最初の出力が気に入らなくても、対話を通じて修正を重ねれば、かなり実用レベルのタイトルが生まれます。AIは優秀ですが、最初から完璧なタイトルを出してくれるわけではありません。複数案 → 評価 → 再生成 → 比較 → 決定というプロセスを踏むことで、より良いタイトルに育っていきます。「AIは指示次第」という原則を理解し、“上手なフィードバック”を与える人こそ、AI時代の求人作成で大きな成果を出せる人です。

4-5 タイトルに“NGワード”はあるか?

求人タイトルには、その一言で応募の流れが決まるほどのインパクトがあります。これまで「AIを活用してタイトルを出す方法」「求職者の検索キーワード」「ブラッシュアップのプロセス」などを見てきましたが、最後に注意すべき点がもうひとつあります。

それが、「使ってはいけないNGワード」です。実は、一見するとポジティブに見える言葉でも、応募者にとっては“地雷ワード”として敬遠されるものがあるのです。

求人の定番ワードとしてよく見かける「アットホームな職場」ですが、実はこの言葉、求職者の間では“ブラック臭”のする言葉として知られています。なぜなら、「アットホーム=プライベートにも踏み込まれそう」「なれ合いの職場=上下関係が曖昧そう」「仲良し=馴染めなければ居心地が悪そう」など、ネガティブな想像をされてしまうからです。さらに言えば、アットホームという言葉は何とでもとれる「よさげな言葉」でもあるからです。明確に数字で表現すると変更ができません。でも、もやっとした抽象的な言葉はあっているのか、間違っているのかが断定できません。使いやすいがために嘘くさいというイメージにつながります。本当に温かい雰囲気の職場であっても、「アットホーム」という抽象的な表現では伝わらないどころか、かえって誤解を招く恐れがあります。どうしても伝えたいのであれば、「週1でランチ会があります」「社員旅行が毎年あり、家族も参加OKです」など、具体的なエピソードに置き換えるほうが良いでしょう。もしくは、後で出てくる画像・ビジュアルで本当にアットホームなんだなということが伝わるようにするという方法もありです。

「未経験でも歓迎」は、間口を広げる意味では必要な表現です。しかし、タイトルにストレートに書くと「誰でもできる=やりがいがなさそう」「簡単=成長できなさそう」と感じる人もいます。特に、スキルアップやキャリア形成を考えている若手には、「未経験OK」が“退屈な仕事”のように映ることもあります。この場合も、「研修制度が充実」「先輩社員がマンツーマンで育てます」など、安心して働ける環境があることを伝える表現に変えると、印象が良くなります。

「急募」もありがちな言葉ですが、「人がすぐ辞めたのかな?」「人手不足で忙しそう」といった疑念を生む可能性があります。もちろん、事実としてすぐ人が必要なこともあるでしょうが、それを求職者に“焦らせる表現”で伝える必要はありません。むしろ、「採用が決まり次第締切」「すぐに働きたい方歓迎」など、受け手の希望に寄り添う形で表現した方が安心感につながります。

AIにタイトルを考えさせる場合も、「避けたいワード」をあらかじめ指定しておくことが重要です。たとえば、プロンプト(指示文)に

「“アットホーム”“急募”“未経験OK”といった表現は使わずに、魅力的なタイトルを10案考えてください」
と書いておくだけで、避けたい表現を使わずにAIが工夫してくれるのです。さらに、「具体的な働き方」「教育体制」「雰囲気が伝わる一言」を加えるように指示すれば、より応募者の心に刺さるタイトルが生まれやすくなります。

NGワードを避けることは重要ですが、それだけでは不十分です。大切なのは、どんな言葉なら応募者に“伝わる”のかを考えることです。
たとえば、

  • アットホーム → 「休憩中はゲーム談義で盛り上がる職場」

  • 未経験OK → 「入社半年でリーダーに昇格した先輩も」

  • 急募 → 「今月から一緒に働ける方を探しています」

など、「理由」「背景」「具体例」がセットになれば、同じ意図でもまったく違った印象になります。

AIはとても優秀ですが、「よく使われる言葉=良い言葉」と判断してしまうことがあります。だからこそ、人間側が“避けるべき言葉”を教えてあげることが必要なのです。タイトルは求人の顔。NGワードで損をしないために、常に“応募者の視点”で見直すクセをつけておきましょう。そして、AIにタイトルを考えさせるときは、「こういう言い回しは避けて」と具体的に伝えることを忘れずに。そのひと手間が、応募数を大きく左右します。