2023.04.14
インボイスを出さなくて良い取引
インボイス発行事業者の義務
インボイス出すようになるといくつが義務が増えます。
①インボイスを出す義務
②返還インボイスを出す義務
③修正インボイスを出す義務
④インボイスのコピーを保管する義務
①は相手方がインボイスが欲しいと言われたら出さないといけないよという義務です。請求されなければ出さなくてもよいし、消費税のかからない取引の場合もインボイスを出さなくても良いです。保険適用の医療などはその典型ですね。とは言っても経営上、なにも出さないということはないでしょう。また、課税と非課税で番号を出す・出さないをしていると手間なので結果的にインボイスに登録した事業者は全部出すということになるでしょう。
めんどくさいと言われていた(今は改善された)のが②です。
返還インボイスというのは返品や値引きがあった場合、返品や値引きをしましたよというインボイスを出さないといけません。しかも、面倒なのは絶対出さないといけないということです。相手から請求されるかどうかは関係ありません。一時期、これが問題になりました。元請け・下請け構造の鳥日における商慣習に、代金を受け取る側が振込手数料を負担する習慣があります。銀行で言えば振込手数料を振込料から引いて振り込むという手続きです。しかし、民法上はどうなっているかと言うと代金を払う側が負担する義務があります。商法・税法は民法を基本として成り立っているので、「税務上はこの分が値引きになる→返還インボイスの乱発→コストUP+手間UP」となりそうでした。結局、かなりもめたので、その後の改正で、税込み1万円未満は必要なくなりました。まぁ、手数料値引きはそのままで良いよと言うことですね。
③は①や②のインボイスが間違っていた時に出すものです。④は元の記録は自分のとこでも取っておいてねですね。こうしてみると、結果的には、インボイス開始前と、このあたりの取引は大きく変わらなかったということになりました。
インボイスを発行しなくてよい場合
インボイスを登録するといろいろな義務が増えるけどいつも出していると大変です。そこで例外的に出さなくてもよい場合があります。発行することでかなり手間がかかるからという現実的な問題です。さきほどの1万円未満の値引きもそうですね。
インボイス出さなくてもよいよというのは次のケースです。
①3万円未満の公共交通機関
バスでお金を払う時に逐一出していたら大変ですね。電車の券売機もレシートを出す構造になっていません。もし義務化するとパニックになるかと。さらに言えば、ICカード(Suica等)を使う場合、どうするのか?という問題も出てきます。
②出荷者が卸売市場で行う生鮮食料品等の販売
市場での大量の取引なので都度出すのが困難という判断かもしれません。というのも市場は生産者と購入者をつないでいる場なので、実際に、その場で生産者と購入者が直接取引をするわけではありません。そういった面から難しいのでということでしょうか?ただ、清算のタイミングで発行するものをインボイスにすれば可能だと思うんですけどね。それがめんどくさいというなら、他の事業者もめんどくさいわけですし。
③生産者が農協・漁協・森林組合に委託して行う販売
いわゆる農協特例です。小規模農家はまずインボイス発行事業者になりません。農協特例を作らないと、買取の場合農協がほとんど消費税を負担することになります。実際、商品の値段が上がるのかな?ただ、これってスーパーとかでも同じ問題が、起きると思うんですけどね。スーパー特例はないです。また農協が委託を受けるという場合だと、②の市場と同じようにどうやって受け渡しをするのか?という問題はありそうです。それでも農協と農業だけ優遇されているように見えてきます。
④3万円未満の自動販売機等で行われる販売
ジュースの自販機をイメージしていただければわかりやすいですね。コインロッカーなどもそうです。今さら日本中の設備をインボイス発行式に変更するのはまず無理でしょう。とんでもない費用負担が出てしまいます。
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便
※ポストに出したもの限定
一般的な会社だと①、④、⑤が多いですね。特に公共交通機関は都度発行すると考えるとかなり大変です。農業・漁業関係者等であれば②、③が加わります。ここは消費税に大きな問題を残しそうな気がします。
ETCはインボイスが必要
こういった事例は取引の状態から見て現状、インボイスを出すことにするとものすごくコストがかかるので例外にされました。自販機すべてに設置とか現実的ではないですからね。しかし、インボイス発行を義務化するうえでかなりコストがかかる事例が残されました。
・有料道路のETC利用
・コインパーキング
です。
コインパーキングは今でもレシートが出てきますが、仕組みがかなり古いものもありそうなので改修がかなり大変なのではないかと思います。
そして最も面倒なのがETCカードの利用料。これは従来はカード明細で処理してしまっていることが大半だと思いますが、インボイスが開始されると許されません。しかし、ETCを通る都度、インボイスを受け取るのだとしたら何のためのETCなのか…。というわけで、現実的には、ETC利用紹介サービスというものを使い、ETCの利用明細を出さなくてはいけません。ではこれ、印刷すればよいですか?と言うと。それもダメです。電子帳簿保存法が絡んでくるからです。ここでは電子帳簿保存法は置いておき、とりあえずETC利用紹介サービスからダウンロードするんだなと覚えておいてください。