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2022.08.05
宿泊業が経営問題を確認する理由とは

◆宿泊業とは

宿泊業とはホテルや旅館などが一般的で、人々の旅行や出張をサポートするための業種です。 ビジネスホテルなど都心のビジネスマンを対象としたものでは飲食が提供されない場合もありますが、 宿泊業にとって、提供する飲食物は大きな意味を持つことが多くなっています。 宿泊設備の規模によっては宴会部門を有していることもあり、結婚式などを行っている施設もあります。

観光地では観光産業と密接なかかわりを持つ宿泊施設も多く、観光地でのアクティビティや 他業者との連携、自社でアクティビティの提供を行っている宿泊施設もあり、 規模に応じて事業内容に幅があります。

業務はフロント業務や接客業務が一般的にイメージされますが、厨房での料理の製造や、清掃など 宿泊を支える部分でも多くの人員がかかわっています。 また、大規模な宿泊チェーンになると全体を管理する会社等があることもあります。

このように多様な面があるため、施設維持や主要業務以外に外部業者を活用する場合もあります。

 

◆宿泊業の会計上の特徴とは

宿泊業は、宿泊設備が資産の大部分を占めます。また、定期的な改修により設備が増強されることもあり 、設備の使用内容等に合わせた適切な会計処理を求められます。

集客は旅行代理店経由が多く、その手数料が大きな負担となります。 近年はインターネット上の集客サイト等も充実しており、 集客サイトへの手数料も増加傾向です。 インターネットでの集客が増加してきたため、自社サイト等の活用により これらの手数料の抑制が利益に大きな影響を与えます。

経費上の重要な項目に人件費があります。 経営戦略やビジネスモデルにもよりますが、多くの宿泊業は接客が重要な要素となっており人員の確保が重要です。 そのため、人件費が多くなる傾向にあります。 飲食を提供しないビジネスホテル等では、人員を極端に抑えることができる場合もあります。

売上は、宿泊料が最大の収入源です。また、飲食を提供している場合には、飲食代も売上に大きな影響を与えます。 総売上額は、「宿泊収入×顧客数」または「(宿泊収入+飲食収入)×顧客数」でおおむね表すことができます。 そのため、宿泊における顧客単価がいくらなのか?飲食における顧客単価がいくらなのか?いくらに設定できるのか?が 利益をあげるうえで非常に重要な要素となります。

現場や事業内容、ビジネスモデルなどにより、個々の会社ごとの数字は異なってきます。 まずは、自社の情報をもとに、正しい原価計算を行い、経営改善に活用することが、とても重要です。

 

◆定期的な確認が重要な3つの理由

経営上の数字は、定期的な確認が必要です。お話を伺うと、「うちはきちんと定期的に確認している」という会社さんでも、小規模・零細企業や個人事業の場合、細かく確認するのは1年に1回、決算のタイミングだけということは珍しくありません。 しかし、1年に1度というスパンでは、現実的にはあまり効果的とは言えません。

① 情報が古い

確認が年に1回では、直近の情報はともかく、それ以外の情報はだいぶ古くなってしまいます。あの時はこうだったけど、今は…。となってしまったら、せっかく振り返っても役に立てることができません。 なるべく新しい情報を活用することが、よりよい経営判断につながります。

② 細かい内容を思い出せない

1年に1度という長いスパンでは、個々の業務の細かい内容を思い出すことができません。例えば、「10か月前に行った集客イベントの利益について…」とか「この月の利益率が…」という問題点などを考えようとしたときに なんだっけ?となってしまいます。現に、今、10か月前とは言わなくても半年前の業務のことを細かく思い出せますか?

③ 効果的な改善ができない

スパンが長くなってくると、経営上の問題点がわかるのは、ずっと後のことになります。そのため、その間は問題が改善されないため、利益を思ったほど得られなかったり、損失を出し続けることになってしまいます。 そのうえ、②のように細かいことが思い出せないと、実際に改善すべき根本的な理由がはっきりとしません。その結果、効果的な経営改善につなげることができず、利益が伸び悩んでしまいます。 せっかくビジネスモデルを新たにしようと思っても、情報の活用もできません。

 

◆月次で振り返りで経営問題確認を

宿泊業の経営判断を行う上では、毎月1回の振り返りがおすすめです。 一般的には頻繁にイベント等を行い集客を活性化するような、宿泊施設からのアクティブ活動は少ないため、週に1回精密なチェックを行うと多くの時間がとられてしまいます。

そのため、日ごと・週ごとの振り返りは、業務の実施内容や進捗状況などの数字確認にとどめ、ざっとした振り返りを行ってください。 月に1回、予算(予想していた数字)と実際の数字との差異を確認し、個々の業務内容や目標管理などの現状の経営問題が浮き彫りになってきますので、そのタイミングで調整を行うと効果的です。

時期的な集客の波がある場合、集客シーズンの開始当初に、集客の試みを行う場合には、短期間での収益や利益の状況の確認は必要です。