求人票を作成するとき、どうしても「言葉」にばかり意識が向きがちです。業務内容、勤務時間、給与、福利厚生……。もちろん、それらは最低限必要な情報です。しかし、実際に応募の“最後の一押し”になるのは、そうした「数値」や「制度」の部分ではありません。
多くの求職者が気にしているのは、「この職場で本当に自分がやっていけるか」「人間関係はどうか」「雰囲気は合いそうか」という、いわば“空気感”の部分です。ところが、この「空気感」というのは、文字だけで伝えるにはあまりにも漠然としていて、しかも伝え手の主観が入りすぎてしまいやすい領域でもあります。こうした“空気感”をもっとも端的に伝えてくれるのが、職場の写真です。
スタッフが笑顔で話している様子
デスクや作業スペースの整理状況
休憩スペースの雰囲気
外観や社屋の光の入り方
これらは、見る側にとって「どんな環境で働くのか」を瞬時に伝えてくれます。特に初めてその企業に接する求職者にとっては、写真は“第一印象”を決める大きな材料となります。
たとえば「アットホームな職場です」と書いてある求人は数えきれないほどありますが、実際にスタッフ同士が笑顔で交流している写真が1枚添えてあるだけで、説得力は何倍にもなります。「和気あいあい」という言葉より、「自然体で笑っている2人」の写真の方が、遥かに信頼されやすいのです。
また、Z世代・ミレニアル世代など、SNSに慣れ親しんだ世代は、「文章よりも写真・動画で判断する」傾向が非常に強くなっています。求人票をスクロールするスピードも速く、読み込む前に“感覚的に”判断しているケースも多いのが現状です。つまり、求人票に画像がないだけで「情報が不足している」と判断され、応募対象から外れてしまうことすらあるのです。逆に、たった1枚の写真が「応募してみようかな」という心理的ハードルを下げてくれることもあります。特に中小企業や個人経営の事業所の場合、「どんな人が働いているか」「どんな空間か」が想像しづらいため、ビジュアルの有無が応募率に大きく影響します。
よく「写真なんて撮る時間がない」「プロに頼まないといけないのでは」と尻込みする声も聞かれますが、実はスマートフォンで撮った自然な写真の方が、応募者には好感を持たれやすい傾向があります。
作業の合間に撮った風景
スタッフがランチを楽しんでいる様子
職場の日常を切り取ったスナップ写真
これらは「無理して取り繕っていない姿」だからこそ、リアルに映ります。そしてその“リアルさ”こそが、求職者の不安を取り除き、「ここなら自分も働けるかも」という気持ちにつながるのです。
文章が伝えるのは“情報”であり、画像が伝えるのは“印象”や“信頼”です。採用活動において、どちらが欠けても「伝わらない求人票」になってしまいます。求人票の作成は、「どんな人に来てほしいか」を考える作業です。その人の目にどう映るかを意識したとき、言葉だけでなく写真というもう一つの“言語”を使うことは、もはや必須といえるでしょう。