AIは非常に便利なツールです。求人票を作る際にも、たたき台として使えば、時間と手間を大きく削減できます。しかし、AIに任せてはいけない領域があることを、忘れてはいけません。それが、「法律上、書かなければならない項目」や「書き方を間違えると違法になる可能性のある表現」です。たとえば、試用期間の明示、残業代の支給ルール、給与の構成要素、雇用形態の記載方法、みなし残業の取り扱い…。こうした項目は、表現を誤ると、求職者とのトラブルだけでなく、法的責任を問われる可能性すらあります。ここで注意すべきなのが、AIは「正確な法律の解釈」を提供するために設計されているわけではないという点です。AIはあくまで「言葉のパターン」をもとに、それらしい文章を生成する技術であり、その内容が正しいかどうかを法的に保証するものではありません。ネット上にある情報をもとに生成されるため、古い情報や間違った表現が混じってしまうこともあります。
では、正しい情報をどこで手に入れればよいのでしょうか?答えはとてもシンプルです。ハローワークの職員に聞けばいいのです。ハローワークは国が運営する公的機関であり、求人票の作成支援も完全に無料(0円)で行っています。しかも、実際の求人票を審査・掲載する窓口なので、労働基準法や職業安定法などに基づいた実務的なアドバイスを、その場で受けることができます。
「わざわざ窓口に行くのは手間」と感じるかもしれませんが、実際には電話での問い合わせでも十分対応してくれるケースがほとんどです。「試用期間がある場合、どのように書けばいいですか?」「みなし残業について正しい表記は?」といった質問を電話で相談すれば、担当者が丁寧に教えてくれます。つまり、正確な情報を“無料で、最小限の手間で”得られるのがハローワークの強みなのです。一方で、AIはあくまでも「仮の文章」や「たたき台」を作るためのサポートツールとして使うのが最適です。とくに、AIが出してきた表現が法律的にグレーゾーンか心配なときには、最終的な判断はプロに委ねることが大切です。
見落としがちなポイントですが、「きれいな日本語で、説得力がありそうな文」が出てきても、それが正しい内容とは限らないというのが、AI時代のリスクでもあります。自然な文章であればあるほど、誤った情報に気づきにくいのです。だからこそ、AIを使うほどに、「最後は人に確認する」習慣を持つことが、信頼される求人票づくりの秘訣になります。特に、法的な記載義務に関わる部分は、ハローワーク職員という「無料のプロ」に遠慮なく頼ってください。AIとハロワ職員、この両者を活用することが、採用成功への最短ルートなのです。細かい要素をハロワ職員に聞く場合は、求人票をもってハロワに訪れると全体的に確認できます。また、ハロワ求人票をオンラインで作成すると法律的に問題のある個所は指摘してくれます。生成AIで基本的な部分をチェックしつつ入力したらオンラインでハロワ求人票を作ってしまうのも1つの手です。
2025.10.08
コラム:法律要件はAIではなく「ハロワ職員」に聞け!