『メタバースさよならアトムの時代』
西見公宏(著)
集英社(2022/4)1,560円
【感想】
メタバースプラットフォーム「cluster」を運営し、Forbes JAPANでは「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出された加藤直人さんの著書。様々な企業とメタバースでのビジネスを進めた実体験をもとに、メタバースについてまとめた本。
本書を読んで、日本は世界中でメタバースに最も向いている国だと感じました。インフラが整っていて一定以上の教育水準があります。また、漫画・アニメに生まれたときからたくさん触れ突拍子もないことへの抵抗が少ない。そしてどんどん貧乏になっています。
今、海外旅行にはものすごく費用が掛かるように、今後は、現実世界(本書ではアトムと表現)での移動には高い費用がかかりそうです。メタバースにはこの問題を解消できる可能性があります。一度世界を構築すれば、世界中から利用ができるため、長期的な視点で考えるとコストを下げることができるからです。今後は、メタバースを通じて少額のサブスクリプションで色々な体験ができるような時代が来るかもしれません。そのような時代には、メタバースがビジネス上の重要な市場になるでしょう。これからのビジネスにおいて重要な市場について知っておくために、ぜひ読んでいただきたい1冊です。
【以下、引用】
ドラえもんで英才教育を受けた日本人
モビリティの時代において、最も効率よく富を増やすことができたのは産油国だった。エネルギーの源泉としての石油を採掘で来たからだ。
しかし、これからの時代、世界がめざすのは、気候対策型の経済だ。化石燃料への投資をやめ、炭素ゼロ、カーボンニュートラルの世界を志向する。
モビリティの時代からバーチャリティの時代へ。それにともなって世紀湯からデータへと資源が移行していくだろう。ではメタバース時代において、データを生み出す源泉となるものは何か。
それは想像力であり、妄想力だ。
・・・
『ドラえもん』が4次元ポケットから出すアイテムは突拍子もないものばかりだった。「何だそれ(笑)」とあきれて笑ってしまうような発想力。現実にはあり得ないものがたくさん出てくる。物理法則なんて完全に無視だ。
しかし、めたばーすでは当たり前のように実現できるものがたくさんある。
『ドラえもん』はメタバース時代を先取りした作品なのだ。
何を想像してもいい。妄想でかまわない。むしろその妄想こそが大切だ。