前回は貸借対照表の資産のお話をしました。
今回は、その資産を色々な種類に分けて考えます。
負債が流動負債と固定負債に分けて考えるように
資産も分けて考えます。
資産はまず大きく2つに分けて考えます。
流動資産と固定資産です。
実はこの他に繰延資産という特殊な資産があります。
繰延資産は本当は資産に含まれないものだけど
特別ルールで資産にしてもよいとされているものです。
中小企業ではほとんど出てこないのと、概念的なものだったり
考え方が難しいので、ここでは省きます。
流動資産と固定資産の分け方は、流動負債と固定負債の分け方と
基本的には同じ考えでできています。流動資産に入るものは、
@ 営業活動でできたもの
A 1年以内にお金に換えられるもの
になります。そして、固定資産とは資産のうち、流動資産に含まれないものです。
営業活動でできた資産とは、商売を行っていくうえで出てきた資産です。
損益計算書の営業利益より上に関係するものです。
科目でいえば、売掛金や受取手形、前払金や前払費用と呼ばれるものです。
科目ざっくり説明するとと、商品を売ったりサービスを行ったけど、まだお金をもらっていないものが売掛金です。流動負債の買掛金や未払費用に対応しています。
売掛金の代わりに手形という形で、代金の受け取りが遅くなるものが受取手形です。流動負債の支払手形に対応しています。
前払金や前払費用は、商品やサービスに対してお金を先に払ったものです。
前払費用は継続的にサービスを受ける場合の先払い分、前払金は商品仕入れや一時的なサービスを受けるため等の先払い分になります。
一応、このように分けて考えますが、わかりにくい場合は、1年以内にお金にかわるかどうか?で考えても
ほとんど間違うことはありません。
例えば、売掛金は1か月から2か月ぐらいでお金をもらうことができます。
受取手形はもう少し長く、3か月から6か月ぐらいでお金をもらうことができます。
では、前払費用や前払金は流動資産なのでしょうか?
例えば、2か月後に100万円の車を買うために10万円前払いしたとします。
2か月後に起きるお金の流れは、次のようになります。
まず@では10万円を先払いすることで、「前渡金」という資産を持ちます。
その次にAで車と100万円を交換します。
この状態では、自動車会社に110万円払っています。
そのため、前渡金分10万円と実際の10万円を交換します。
その結果、前渡金10万円は実際のお金10万円に変わります。
現実的な商売の流れでは、この途中の部分を飛ばして、
90万円を払いますが、この時、資産をお金に換えるという視点で見ると
上記のように前渡金は10万円に変わっています。
このように考えると流動資産に含まれる理由もわかると思います。
次は固定資産です。
固定資産は資産のうち、流動資産に含まれないものです。
基本的には1年以内にお金にならなさそうなものがここに入ってきます。
わかりやすいものは土地、ビル、工場、車などです。
他にもソフトウェアや子会社の株式などもあります。
このような資産は、一般的にすぐに売ってしまってお金に換える目的ではなく、
将来の商売に使う予定の物ばかりです。
そのため、1年以内にお金に換える予定がないということで固定資産に含まれます。
ちなみに、不動産屋さんの土地や中古車会社の車などは、
営業活動の中ででてくるものに含まれます。
これらの商品が売れると売上として計算するものなので、
営業利益より上、つまり@営業活動でできたものとして
流動資産になります。
さて、固定資産ですが、さらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分かれます。
有形固定資産とは形のある資産です。土地、ビル、車など、実態の形があるものは
すべてこちらに入ります。
形のないものが無形固定資産と、投資その他の資産になります。
形のない資産のうち、営業活動に直接使うものが無形固定資産に含まれます。
ソフトウェアや特許権などになります。
投資その他の試算とは、固定資産のうち有形固定資産にも
無形固定資産にも含まれないものです。
子会社の株式などがここに含まれます。
子会社は自社とは別の会社です。間接的に自分の会社に
利益をもたらすかもしれませんが、工場のように自社の製品を作ったり
ソフトウェアのように自社の効率化を図るものではありません。
そのため、営業活動の中に含まれると考えられないため、
投資その他の資産になります。
ここまで踏まえて貸借対照表の左側を分類すると下の図のようになります。
資産については以上になります。資産とは、お金の使い道である。
そして、その資産がどのくらいお金に変わりやすいかで分類分けをしているのが
貸借対照表の資産の書き方になります。
次回は、貸借対照表と損益計算書の関係を見ていきます。
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