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財務分析実践編:スカイマーク2015年3月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、スカイマーク2015年3月期を、中小企業の視点から簡易な財務分析を行います。 本来、財務諸表は貸借対照表→損益計算書の順で行いますが、財務分析が苦手な方でも入りやすいように損益計算書→貸借対照表の順で行っていきます。

今回は財務状態を表す、資金別貸借対照表の2期比較をもとに分析を行います。

◆ 財務状態を見る貸借対照表

資金別貸借対照表の2期比較

 資金別貸借対照表の前期と当期の比較です。
 資金別貸借対照表とはお金を安定性によって色分けすることで、会社の財務体質をわかりやすくしたものです。 どのような方法でお金を調達し、どのような方法にお金を使ったかを、資金を安定性の面から区分けして見ることができます。

 損益資金:会社がこれまでの経営で蓄えた資金
 固定資金:長く安定して利用できる資金調達と、長期間資金が寝てしまう資金運用のバランス
 売上仕入資金:売上債権と支払債務のバランス、特にサイト(債権回収もしくは債務支払の期間)の差
 流動資金:すぐに支払う債務、すぐに受け取る債権のバランス

 簡単に言えば、上のほうにあるものは、安定した動きの少ない資金、下のほうにあるものは出入りの激しい資金です。



◆ スカイマーク2015年3月期の財務状態

 収益状況でも見たように、急激な為替の変化で赤字が積みあがったため、損益資金は当然悪化しています。 これを固定資金、売上仕入資金、流動資金、実現金で吸収しています。

 固定資金では固定負債が大きく増加しています。固定負債の中で特に増回しているのが定期整備引当金とリース債務であす。 リース債務はオペレーティングリース取引(レンタルに近いリース)を行っているため、貸借対照表に計上しておらず 状況によって悪化した分ではないかと考えられます。

   売上仕入資金では、支払債務が増加しています。特に営業未払金が大きく増えており、この内訳を見るに 国交省や国税局等、通常支払い可能な費用まで支払いができなくなってきており、資金繰りの悪化が見て取れます。

 流動資金ではその他流動負債が増加しています。 その他流動負債でもっとも増加している費用は短期借入金です。大きく悪化した経営を維持するためのつなぎ資金ですが、 この資金は代表取締役からの役員借入金等で対応しています。 この規模の会社になると、実質的に役員借入金で賄うことは困難ですが、中小企業であれば、一時的なつなぎ資金として 役員借入金は非常に有効な手段です。 中小企業では、役員報酬の金額設定のときに、資金のプールという点もふまえる必要があると思います。

 このように急激に悪化した結果、ネットキャッシュ比率が3.5%と悪化しています。 当然、現金の状況からは、ほぼ破綻した状況と言えます。 2013年3月期では31.2%と非常によい現金状態だったため、急激に資金繰りが悪化しています。

 これまでを通して、やはりリース債務のオフバランス(貸借対照表に載せない)処理と、為替の影響で非常に よい経営ができていたような錯覚を得ていたことが原因だと考えられます。

 LCC(格安航空会社)の航空機のリース取引で、オペレーティングリース(レンタルに近いリース)が取引実態としてあっていたかははなはだ疑問です。 通常LCCは同じ航空機を使いきることでコストを下げます。そのため、経済実態は購入と大きく違わないように感じます。 であるならば、ファイナンスリース(購入に近いリース)取引だと考え貸借対照表に乗せておくべきでした。 そうであれば、財務諸表上からもリスクがわかりやすくなり資金状況にももう少し気を配ることができたのではないかと思います。

 その結果、安全面に不安があることが理解されていれば、銀行取引を事前に行っておくことで急な資金調達への準備も行えていたかもしれません。 スカイマークは無借金経営であったため、金融機関との取引がありません。そのため、急激な資金不足に対して、金融機関から資金をねん出することができなかったようです。

 中小企業でも無借金経営が推奨されますが、業態によっては、金融機関からの借り入れを行っておき実質無借金状態を作っておいたほうが良い業種(製造業・建築業等)も少なくありません。 この場合、不要な資金を借り入れている期間の支払利息は、経営リスクに対する保険料という考え方です。 中小企業の場合、セーフティー共済という手段もありますので、必要資金を検討しての利用がおすすめです。
 


今回で本事例を終わります。よろしければ、他の事例もご確認ください。


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