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財務分析実践編:スカイマーク2015年3月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、スカイマーク2015年3月期を、中小企業の視点から簡易な財務分析を行います。 本来、財務諸表は貸借対照表→損益計算書の順で行いますが、財務分析が苦手な方でも入りやすいように損益計算書→貸借対照表の順で行っていきます。

 今回は収益性を表す損益計算書の3期比較をもとに分析を行います。

◆ 収益性を見る損益計算書

3期比較売上・粗利益・経常利益・固定費

3期比較粗利益率・経常利益率


こちらが、グラフのもととした数値です。
損益計算書抜粋

 上図が売上、粗利益、経常利益、固定費(販管費・営業外損益)の3期比較、下図が粗利益率、営業利益率の3期比較です。 有価証券報告書では変動費と固定費の分解がきちんとできませんが、本コラムは簡易な分析ですので、売上原価を変動費、販管費等を固定費として取り扱います。 適切な分析を行う場合には、売上原価に該当するものを変動費と固定費に分解する必要があります。 また、営業外損益は毎期大きな変動は少なく、その金額も販管費と比べると少ないため固定費に含んでいます。
※通常は経常利益を用いていますが、今回は営業利益を利用しています。

簡単な用語解説
変動費:売上の増減に応じて変動する費用。主なものは材料費。
固定費:売上の増減にかかわらず毎期一定の費用。主なものは人件費や建物の減価償却費。
粗利益:売上総利益の別称。売上から原価を引いた利益。
営業利益:粗利益から固定費を引いた利益。営業外を含まない。



◆ スカイマーク2015年3月期の収益性

 2015年3月期をもって民事再生を行ったスカイマークですが、その経営状況を見ていきます。

   売上推移を確認すると、2015年3月期は前期比6%減となっている。 前々期の経営成績では損益分岐点売上高は売上高の約45%(38567/85943)なため、多少の売り上げ減は問題ないように見えます。 しかし、実際は当期の売上を見るととても悪い状態になっています。

 原因は売上原価の急増である。売上高原価率を数字で見ると前々期90%なのに対して、当期は117%と増加しています。 この内訳をみると機材のリース料、業務委託費等が大幅に増加しており、業務内容や当時の数字の点から 最大の要因は円安だと考えられます。

 当時の円価格を見ると、1ドルあたりの円を見ると2013年97.6円、2014年106円、2015年121円と急増しており、 ドル建てで支払っていたリース料、業務委託費等が急増したようです。 海外取引を行っている企業は為替が大きな影響を与えることは当然把握しておかなければいけません。 2013年の円高状況から考えると、本来2013年の経営状況は単年の数字は非常によくとも、リスクの高い状況であったと考えられます。

 結果的に、スカイマークの収益性を考えると、売上よりも原価が高くなるビジネスモデルとなってしまっていた。 2013年の時点では円安のおかげで偶然、好成績であったが、当時から対応を行っておく必要があった。 後の経営破綻の最大の要因はエアバス社に対する違約金の支払いとなっているが、そもそも業務改善を行わないと 早晩立ち行かないビジネスモデルといえます。 かなりの円安が基準で当面のビジネスを行っていく予定だったと考えられる。 営業外の収益に為替差益があることからある程度のヘッジは行っていたと思われるが ここまで悪化する予想はなかったのでしょう。

 自身の行っているビジネスの粗利益率とその要因についてはシビアに分析し、業務内容を変更していかないと 悪化しきってからでは立ち行かなくなってしまう。なぜ悪くなったのかわからないではなく、常に動向を把握 しておくほうが望ましい。


次回は、資金別貸借対照表を用いて財務状態を分析します。


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