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財務分析実践編:株式会社ケフィア事業振興会2010年3月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、現在投資詐欺ではないかと問題になっている、株式会社ケフィア事業振興会の2010年3月期がインターネットで見つかりましたので、 こちらを使って分析してみます。インターネットで検索した限りは、2期分しか見つかりませんでした。 1期目は1年(8月〜7月)ありましたが、2期目は8か月(8月〜3月)しかなかったことと、大赤字でしたので収益性の評価は行わず 財務状態のみの評価となります。
 時期としては古い資料ですが、最新の資料と比較することで最新の広告情報に隠された問題が透けて見えてきます。 会社の沿革を確認すると、この時期には健康食品等に手を出しており、現在のビジネスの基本が成立していた模様です。

今回は財務状態を表す、資金別貸借対照表の2期比較をもとに分析を行います。

◆ 財務状態を見る貸借対照表

資金別貸借対照表の2期比較

 資金別貸借対照表の前期と当期の比較です。
 資金別貸借対照表とはお金を安定性によって色分けすることで、会社の財務体質をわかりやすくしたものです。 どのような方法でお金を調達し、どのような方法にお金を使ったかを、資金を安定性の面から区分けして見ることができます。

 損益資金:会社がこれまでの経営で蓄えた資金
 固定資金:長く安定して利用できる資金調達と、長期間資金が寝てしまう資金運用のバランス
 売上仕入資金:売上債権と支払債務のバランス、特にサイト(債権回収もしくは債務支払の期間)の差
 流動資金:すぐに支払う債務、すぐに受け取る債権のバランス

 簡単に言えば、上のほうにあるものは、安定した動きの少ない資金、下のほうにあるものは出入りの激しい資金です。

   株式会社ケフィア事業振興会の2010年3月期の資金別貸借対照表を確認すると、損益資金の部が大きな赤字となっています。 資金別貸借対照表では棚卸資産に計上している「営業投資有価証券」という、ベンチャーキャピタル等の投資会社にしかない科目が 損益計算書上で大きな損失となっているためです。2009年から2010年にかけて大きくマイナスになっており、事業なのか投資かは不明ですが 大きな損失を計上しています。時期的にリーマンショック直後ですので、リーマンショックで大きなマイナスが生じた可能性もあります。

 事業のマイナスを支えているのが、多額の出資金です。会員制の倶楽部で集めたと思われる資金が、ほぼすべて投資に流れ損失に変わっています。

 貸借対照表の記載が荒いため、売上仕入資金と流動資金の差がわかりにくかったため、未払金・未収入金に関係するものは流動資金にすべて計上しています。 未払金・未収入金の一部は、売上仕入資金に該当するものかもしれませんが、全体から見ると大した影響はありません。

 重要な点は、これほど大きな貸借対照表上の数字があるにもかかわらず、結果的に最終現預金は数百万円しかないことです。 2009年のネットキャッシュ比率が0.039%、2010年のネットキャッシュ比率が0.028%しかありません。 この資金状態では自転車操業であったと思われます。 資産上、営業投資有価証券を持っているため、今すぐ資金ショートをせず、資金が不足する場合は、市場で売却して現金をねん出してしのいでいた可能性が高いです。 その結果が、損益計算書上の莫大な損失につながっていると推測されます。

 こちらが、最新の公告された貸借対照表です。
資金別貸借対照表の2期比較
 先の資金別貸借対照表を見た後であれば、なぜ、資産科目をまとめているかが透けて見えるようです。 このような財務状況でよく、同様の事業を継続したものだと思います。 事業の継続だけを優先するのであれば、資金に変える資産があるため、 資金ショートまでの間、これまでと同様の方法で出資金を募れば先延ばしが可能です。 しかし、これは、タコ足どころか体まで切っているようなものです。 犠牲者が増えたうえ、いずれ資金のねん出ができなくなり、破綻することが目に見えています。 さらに、破綻した時点では出資金の返済原資はどこにもない状況になるでしょう。

犠牲になった多くの方は非常に気の毒でありません。


今回で本事例を終わります。よろしければ、他の事例もご確認ください。


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