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財務分析実践編:シャープ2018年3月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、シャープの2018年3月期を、中小企業の視点から簡易な財務分析を行います。 本来、財務諸表は貸借対照表→損益計算書の順で行いますが、財務分析が苦手な方でも入りやすいように損益計算書→貸借対照表の順で行っていきます。

 今回は収益性を表す損益計算書の3期比較をもとに分析を行います。

◆ 収益性を見る損益計算書

3期比較売上・粗利益・経常利益・固定費

3期比較粗利益率・経常利益率


こちらが、グラフのもととした数値です。
損益計算書抜粋

 上図が売上、粗利益、経常利益、固定費(販管費・営業外損益)の3期比較、下図が粗利益率、経常利益率の3期比較です。 有価証券報告書では変動費と固定費の分解がきちんとできませんが、本コラムは簡易な分析ですので、売上原価を変動費、販管費等を固定費として取り扱います。 適切な分析を行う場合には、売上原価に該当するものを変動費と固定費に分解する必要があります。 また、営業外損益は毎期大きな変動は少なく、その金額も販管費と比べると少ないため固定費に含んでいます。

簡単な用語解説
変動費:売上の増減に応じて変動する費用。主なものは材料費。
固定費:売上の増減にかかわらず毎期一定の費用。主なものは人件費や建物の減価償却費。
粗利益:売上総利益の別称。売上から原価を引いた利益。
経常利益:粗利益から固定費を引いた利益

 2016年3月期に比べ2017年3月期に売り上げが17%低下したものの、2018年3月期ではおおむね回復しており、 売上の面では大きな波が生じているもののまずまずといえます。
この間に、大きな組織改革が行われていると考えられます。その大きな要因は下記2点です。

 ・粗利益率が8%改善されている(9%→17%)
 ・固定費が25%以上削減されている

 2つ目のグラフに粗利益率の改善が顕著に表れており、その影響で経常利益率が改善されていることが見て取れます。 固定費は一般的に大きな変動が生じないため、粗利益"額"を改善する施策を行うことで最終利益に大きな影響が出ることをわかりやすく示しています。 さらに、今回は固定費の改善にも着手していますので、より顕著に経常利益に影響が出てきます。

 次に固定費削減の内訳をみてみると給与等の低下とともに、研究開発費が削減されています。 安易な研究開発費の削減は、将来の売上低下につながりかねません。 そのため組織改革とともに、無駄な領域を削減し、自社の強みである領域にフォーカス下のではないかと推測されます。 その結果、損益分岐点売上高が大幅に改善され、2016年3月期より2018年3月期のほうが売上は若干低下しているものの、経常利益が黒字となっています。 損益分岐点売上高を、事業の継続性にとって現実的な数値に落とし込むよう適切な経営改善が行われたことが見て取れます。


次回は、資金別貸借対照表を用いて財務状態を分析します。


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