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財務分析実践編:大塚家具2017年12月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、大塚家具の2017年12月期を、中小企業の視点から簡易な財務分析を行います。 本来、財務諸表は貸借対照表→損益計算書の順で行いますが、財務分析が苦手な方でも入りやすいように損益計算書→貸借対照表の順で行っていきます。

今回は財務状態を表す、資金別貸借対照表の2期比較をもとに分析を行います。

◆ 財務状態を見る貸借対照表

資金別貸借対照表の2期比較

 資金別貸借対照表の前期と当期の比較です。
 資金別貸借対照表とはお金を安定性によって色分けすることで、会社の財務体質をわかりやすくしたものです。 どのような方法でお金を調達し、どのような方法にお金を使ったかを、資金を安定性の面から区分けして見ることができます。

 損益資金:会社がこれまでの経営で蓄えた資金
 固定資金:長く安定して利用できる資金調達と、長期間資金が寝てしまう資金運用のバランス
 売上仕入資金:売上債権と支払債務のバランス、特にサイト(債権回収もしくは債務支払の期間)の差
 流動資金:すぐに支払う債務、すぐに受け取る債権のバランス

 簡単に言えば、上のほうにあるものは、安定した動きの少ない資金、下のほうにあるものは出入りの激しい資金です。

 大塚家具の2017年12月期の資金別貸借対照表を確認すると、第1にもっとも安定した資金である損益資金が急激に減少しています。 これは、当期に多額の赤字が発生したことが最も大きな要因です。そのため、繰越利益剰余金が大きくマイナスに傾いてしまい、 会社がこれまで培ってきた成果を短期間で失ってしまう結果となりました。 また、前期からの赤字を貸借対照表上で、少しでも問題の少ない状態に改善を行ったことにあります。 これは、資本の部の積立金勘定を取り崩して繰越利益剰余金のマイナスを少しでも解消しようとしていることからわかります。 過去の蓄積を使い、会社の状況を少しでも良く見せようとしている努力はよいのですが、 それを多額の赤字が帳消しにしてしまっていることが見て取れます。

 次に固定資金が大きく増加しています。これも大幅赤字による損益資金の減少分を支える行為だと考えられます。 棚卸資産と固定資産が大きく削減されており、固定資産の減少は新宿ショールームで大きな赤字が出ているため、建物価格を下げたためです。 その結果、貸借対照表上、固定資産の数字が減少して資金が自由になったように見られるため、固定資金が改善しているように見えます。 しかし、実態としては、資産価値を下げただけなため、現金に余裕が出るものではありません。

 3つ目の売上仕入資金の増加は、前受金を多く受け取っていることにあります。 家具の販売にかかわる前受金のようなので顧客に先払いを推進する等、前もって入金を促進する施策を実施している可能性があります。 しかし、前受金は一時的なものなので、翌期以降これだけの資金調達が可能かは疑問があります。 そのため、翌期以降さらに不安定になる可能性があります。

 ここまでの資金をすべて加算したものを安定資金と呼び、会社が投資を行うための基準となる資金です。 しかしここまでの結果では、固定資金で見せかけの資金を作り出したにもかかわらず、安定資金がマイナスとなっています。 これまでの分析傾向から検討すると来期はよりマイナスが加速すると思われるため、投資余力が非常に低いといえます。 現にネットキャッシュ比率(現金/総資産)が、11%から6%に低下しています。現金商売ではあってもカード販売等もあるでしょうから、6%の資金状況では危険な状況です。 現状を打開するには、今後、改革が必要となりますが、そのための資金を捻出できないため、流動資金の部に含まれる短期借入金等の不安定な資金に頼る必要があります。


次回は、今後のとるべき方針と事例から学ぶことです。


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