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外注は戦略的に利用するもの

3枚のお札
昔話で経営塾。今回は3枚のお札がテーマです。
栗拾いにいく小僧さんに、やまんば対策にと3枚のお札を渡す和尚さん。 小僧さんは、すっかり帰りが遅くなりやまんばにつかまってしまうが、 3枚のお札を使って命からがら逃げかえる。 最後は和尚さんの知恵でやまんばをやっつけてしまうという話。 (※ 詳しく知りたい方は、wikipedia:三枚のお札を参考)

ここでとり上げたいのは、お札の役目。 このお札、小僧さんが必死に逃げる間、小僧さんの依頼で、小僧さんのかわりにやまんばが追いかけるのを防ぎます。 もしお札がなければ、小僧さんは自分で、やまんばをなんとかしなければなりません。 つまり、お札は小僧さんの代わりをしてくれています。

これは、経営で言うところの外注(請負・委任等)と同じです。 つまり、小僧さんから見ると、お札=外注となります。 そこで、3枚のお札から外注の使い方について考えます。

◆ 小僧さんの目的

3枚のお札では、小僧さんはやまんばにつかまって食べられそうになり必死に逃げます。 小僧さんはなんとか安全なところまで逃げ帰らなくてはいけません。 つまり、小僧さんの目的は和尚さんのところまで逃げ帰ることです。

小僧さんは、やまんばにつかまるという良くない事態を招きましたが、 逃げ帰るという一貫した目的を貫き、お札を効率的に使ったことが勝因です。

◆ 会社の目的

会社にとっての目的は何でしょうか? 会社ごとに経営理念等があり目的は様々です。 しかし、どのような理念であったとしても、短期的にはたった1つです。 粗利(売上総利益)を上げることです。

会社にとって重要なのは売上ではありません。 いくら売り上げを伸ばしても粗利が減ってしまえば意味はありません。 しんどいだけで、儲けは出ないからです。

売上を伸ばすときは必ず粗利が増えるように伸ばすことが必須です。 (細かく言うと粗利率等ありますが、ここでは割愛します。) つまり、小僧さんと同様に会社も粗利を増やす目的で外注を使う必要があります。

◆ 外注(=お札)利用の基本的な考え方

会社は外注を戦略的に使う必要があります。 従って、会社によっていろいろな方法が選択されますが、指標として基本的な考え方があります。

 1.外注は利益を生まない業務に使う
 2.内製より外注のほうがコストが低い場合に使う
大きくは、この2つに集約されます。

小僧さんで言うなら、1はやまんばを妨害するという行為にのみお札を使います。 逃げるという行為には使いません。逃げる力を高めるためです。 お札を逃げることに使っては、逃げ方は上手になりません。

小僧さんが、今後、やまんばに追われることはないかもしれません。 しかし、商売では利益を生む行為はずっと行われます。 利益の生む行為を外注に出せば、利益を生む力は高まりません。

2は、自分でやまんばを妨害したほうが簡単なら自分でやるということです。 和尚さんは、お札を使わず自分でやっつけてしまっています。 お札を使うよりはるかにコストが低いです。

1.外注は利益を生まない業務に使うとは?

外注戦略の基本的な考えの1つ目は、外注は利益を生まない業務に使うことでした。 利益を生まない業務は極力自分でやらないということでもあります。 小僧さんが、やまんばを妨害する業務はやらないということです。

これはどういった業務かというと、その作業をおこなったら、粗利が増えるかどうか?で判断します。 多くの会社さんから見ると、バックオフィスと呼ばれる事務方の業務が利益を生まない一般的な業務です。 私たち士業なんかは典型です。 ですので、多くの会社は、自社で行わず依頼しています。 ただし、コンピュータ化されやすいという点も含めて、 コンピュータの活用とどちらが良いかは2つめの基本原則によります。

この原則は逆に考えると、利益を生む業務には極力使わないということです。 その理由は"専門性の向上"と"人材の集中"です。 特定の業務を集中的に行わせた場合、専門性が増えます。 この時、利益を生む業務の専門性が上がれば、利益が増えますが、 そうでない業務は、結局利益につながりません。

業務が効率的であれば、コストダウンにつながりますが、会社の目的である粗利を増やすことにはつながりません。 このあたりを自社で行うか、外注に依頼するかはやはり2つめの基本原則によります。

とくにこの基本原則は、人材不足に陥った現在、より顕著です。 数少ない人材を、利益を生まない業務に使うことで、得られるはずの利益が減るのです。

経理や総務の仕事を、社長や職人が行っているというのはよくあることです。 意味があって行っているのならともかく、そうでなければ損をしておりもったいないです。

小僧さんも、自分でやまんばをなんとかしようと思ったらうまくいったでしょうか? きっと、やまんばのおなかの中だったのではないでしょうか?

2.内製より外注のほうがコストが低い場合に使うとは?

ここでいうコストとは、単に支払い費用のことだけではありません。 その作業を行うために必要な時間による利益を失うことや、 将来への投資ができなくなること等、様々なものを総合して考えます。

内製をすることで専門性が高まるまでは、素人が行うためミスが出ます。 そのミスによって抱えるリスク等も踏まえなければいけません。

コンピュータ化も導入コスト、運用コスト、トラブル対応コスト、習熟コストと多くのコストがかかります。 実は思ったほど、低コストではありません。

小僧さんが自分でやまんばをなんとかするという行為は、 小僧さんが簡単に喰われるかもしれないというリスクがあります。 このリスクはコストに換算するとかなり高額になるでしょう。

ですから、結論としては、小僧さんは自分ではやらないということとなります。 ここでは、とりあえず、内製コストの基本的な考え方を説明します。

◆ 内製コストの基本的な考え方

そうはいっても、いろいろなリスクを踏まえ数字化は、簡単にはできません。 そこで目安となるコストとして、売上5,000万円程度の場合、 事務作業に1時間程度かけたときのコストは8,000〜16,000円ぐらいです。

以下、計算式になりますので興味がありましたら、ご確認ください。ご興味がないようでしたら次のラインまで飛ばしてください。


コストの計算に当たっては、社長の1時間当たりのコストを見ていきます。 小さな会社だと、社長が経理も事務も全部やっていることが多いからです。
最低コスト:1時間当たり8,300円以上
 対象となるコスト:社長の役員報酬+販売管理費(人件費除く)の社長分
 
 例:社長の役員報酬:1,000万円
   人件費除く販売管理費が3,000万円
   人員3人(社長含むの場合です)
   月の労働日数:25日
   1日の労働時間:8時間
 (1,000万 + 3,000万 ÷ 3) ÷ 12 ÷ 25 ÷ 8 = 8,333円/時間

社長の最低コストを計算する場合は、"社長の報酬+会社維持費の社長分"が対象となります。 会社維持費の社長分は、概算で販売管理費より人件費を控除した部分としています。 そのコストを12ケ月/25日/8時間で割っており、今回の事例の場合、1時間当たり8,333円です。

社長が経理や給与処理、事務作業、通帳記帳等様々な業務を行っていると思います。 しかし、これらの作業を行うのに10時間かかっていれば83,000円以上のコストがかかっていることとなります。 例えば、外注に出したときに、50,000円なら、30,000円以上の儲けがでます。 思ったよりかかっているのではないでしょうか?しかし、これは最低コストです。
 
最高コスト:1時間当たり16,000円以上
 対象となるコスト:粗利(売上総利益)
 年間売上高:5,000万
 粗利率:80%
 その他:上記と同じ
 (5,000万 × 80%) ÷ 12 ÷ 25 ÷ 8 = 16,666円/時間

最高コストは粗利(売上総利益)です。上記例では5,000万円×80%で計算していますが、 損益計算書の売上総利益の欄となります。 詳しくは別コラムにて説明しますが、ざっくり言うと損益計算書の粗利より下は、売上によらず基本的に固定です。 そのため、社長が経理を行うのではなく、売上の上がる仕事を行えば、1時間当たり16,000円以上利益が増えます。 この場合、10時間の作業は166,000円以上のため、外注が50,000円なら、116,000円以上の儲けです。
※正しくは粗利ではなく限界利益を用いますが、ここでは粗利で説明します。


興味がありましたら、内製コストの大まかな計算をもとに、ちょっと計算してみてください。 社長が普段やっている作業は、かなりの損になっていませんか?

小僧さんが逃げ切れた理由はお札を上手に使ったことだと思います。 これはやはり自分のできない分野、苦手な分野を徹底してお札にまかせて、 自分でしなかったことに尽きると思います。

◆ 社長の言い分

この話をすると、やめてもその分、売上が上がるわけではないから…と、おっしゃられます。 しかし、あくまで、上の計算ではそのぐらいの損が出ているということを感じてもらいたかったのです。 なぜなら、経営者として行うことは今の利益だけではなく、将来の利益を得るための行動が必要です。

利益にならない作業に、会社が強くならない作業に時間を費やすのではなく、 その時間をつかって、経営を考え、将来の利益を生む活動を行うべきです。 もし月10時間なら、年120時間あります。 120時間を将来に向けて投資してください。 それこそ、何倍にもなって帰ってきます。


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次回は、かぐや姫のセールスを考えます。 ポイントは"売り込まないからこそ高値がつく"です。


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