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財務分析実践編:未来工業2018年3月期

 分析は、有価証券報告書をもとに実施します。有価証券報告書とは株式公開をしている会社が会社の情報を報告するために義務付けられているものです。 今回は、未来工業2018年3月期を、中小企業の視点から簡易な財務分析を行います。 本来、財務諸表は貸借対照表→損益計算書の順で行いますが、財務分析が苦手な方でも入りやすいように損益計算書→貸借対照表の順で行っていきます。

今回は財務状態を表す、資金別貸借対照表の2期比較をもとに分析を行います。

◆ 財務状態を見る貸借対照表

資金別貸借対照表の2期比較

 資金別貸借対照表の前期と当期の比較です。
 資金別貸借対照表とはお金を安定性によって色分けすることで、会社の財務体質をわかりやすくしたものです。 どのような方法でお金を調達し、どのような方法にお金を使ったかを、資金を安定性の面から区分けして見ることができます。

 損益資金:会社がこれまでの経営で蓄えた資金
 固定資金:長く安定して利用できる資金調達と、長期間資金が寝てしまう資金運用のバランス
 売上仕入資金:売上債権と支払債務のバランス、特にサイト(債権回収もしくは債務支払の期間)の差
 流動資金:すぐに支払う債務、すぐに受け取る債権のバランス

 簡単に言えば、上のほうにあるものは、安定した動きの少ない資金、下のほうにあるものは出入りの激しい資金です。



◆ 未来工業2018年3月期の財務状態

 長期にわたって安定した利益が上がっていることが見て取れます。損益資金の部では繰越利益剰余金によって しっかりと利益がたまり、現在の会社の原資になっています。 これまで積み上げた利益は現在の売上の1年分にあたります。

 固定資金ではマイナスが増えています。しかし、まったく問題ありません。 財務状態を確認すると、企業規模の割に非常に借入金が少なく自己資本で回しています。 実際に自己資本比率を計算すると80%と高い数値を示しています。 未来工業は電設資材等を作成する製造業なため、 建物や機械装置を保有が必要です。 この費用をほとんど借入することなく、自己資金で賄っているため、 固定資金の入金分が、運用分に比べて少ないため固定資金がマイナスとなっているだけです。

 売上仕入資金もマイナスとなっています。支払債務を売上債権で割った値が約54%、 原価率が60%であることからどちらも同じ支払いサイトが設定されているのではないかと考えられます。 この部分の改善のためサイト調整をという経理マンもよくいるのですが、 このサイト調整は取引先と関係することであり、信用問題にもかかわってきます。 未来興行も俗にうサイト負けではありますが、この部分も損益資金で賄うことによって 解決しており、問題がありません。

 きちんと利益を上げ、資金に余裕を持ち、サイト負けを意図的に作るという考えの会社も存在します。 このような会社はパートナーである外注先からの印象がよくなるため 企業として好循環に入ることができます。

 資金別貸借対照表は上から下に向かって安定した資金から不安定な資金へ変わっていきます。 そのため、理想はすべて損益資金で賄うことであり、未来工業はその考えが実践できているといえます。

 また、現金の保有量が非常に多いです。ネットキャッシュ比率が57%に達しており、 十分な資金があるためサイト負けは問題になりません。 今後必要な投資についても自己資金で対応可能だと考えられます。 また2018年3月期の現金保有量は、売上の8か月分、販管費の2年半にあたります。 つまり、未来工業は大地震等でまったく業務を行えなくなったとしても、 2年半は現在のまま会社を維持することが可能なだけの資金を保有しています。 これは、多くの従業員にとって安心できる材料になります。 つまり貸借対照表の面からも社員を幸せにする会社であることが見て取れました。

 2回にわたって未来工業の財務分析を行いましたが、 中小企業のお手本のような数字だと感じました。 さすが、日本一社員を幸せにする会社だなぁと感じました。 社員を幸せにするからこそ、成果に現れるのだと思います。


今回で本事例を終わります。よろしければ、他の事例もご確認ください。


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